風立ちぬ」はまさにハリウッド映画の対極にある。

 「風立ちぬ」ではその宣伝において、「堀越 二郎と堀辰雄に敬意をこめて」と書いてあるように堀越 二郎のゼロ戦は開発と、堀辰雄の、「風立ちぬ」の純愛の二つをテーマにしたシンプルな筋立てである。

 他方ハリウッド映画は通常これでもか、これでもかとアクションを繰り出す。

 逆に「風立ちぬ」は無駄なものを意識的に切り捨てたようだ。単純に、単純に徹した。

 私は、木曜日4時の時間帯にみにいった。満員である。

 客層は20代―30代が最も多い。

 ひたむきに飛行機の開発を続ける主人公、この主人公に結核でなくなっていく女性を結婚相手とする。筋に何らの驚きはない。淡々と進んでいく。

 主題歌「ひこうき雲」がこの映画の雰囲気を現す。

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 「白い坂道が 空まで続いていた

ゆらゆらかげろうが あの子を包む

誰も