私はイラン・イラク戦争の時、イラクで勤務していた。戦争が終わってカナダに赴任になった。カナダ外務省のアジア局長とは懇意になり食事も一緒にした。私はこの局長に次のように嘆いた。局長はフランス系である(そのことは重要な意味を持っているのだが)。
「オタワは素晴らしい。町は清潔だ。文化水準も高い。先日ベラフォンテを聴きに行った。ゴルフは出来る。スキー場も近くにある。家族は満足している。でもね、一寸不満なこともある。日本とカナダの関係は良好だ。外交的に何の問題もない。つまり私には仕事がない。これまでのソ連やイラクや英国などでは仕事は山のようにあった」
局長は笑いながら「あなたは馬鹿だ」と言う。私は驚いて「何故」と聞く。彼は次のように解説した。
「日本の外交で一番重要なのは対米外交でしょう。対米外交で一番苦労しているのはどの国ですか。カナダですよ。“米国との関係をどうするか”、我々位苦労してきた国は
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安倍政権の特徴、米軍戦略参加のため、自衛隊を海外で軍事参加できるよう体勢を整備したこと、それも国民の強い反発を押しのけ実施。2013年12月 特別秘密保護法成立賛成24%、反対60.15年9月安全保障関連法成立賛成34反対53等、憲法改正はできず
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自民党次期総裁選両院議員総会で決める方向へ。党国会議員145人と22都府県の地方議員ら約400人署名の総裁選で党員投票実施要望書が二階幹事長に。空白を作らないためと言っているが、安倍首相は最後まで頑張る姿勢。石破はずし、菅擁立のための動き。
コメント
>>18
アパルトヘイト制裁で南アから殆どの企業が去ったことを忘れていました。思い出させていただいてありがとうございます。
今、アパルトヘイトを実行しているのがイスラエルです。だが、西側の国国はイスラエルを批判しません。トランプがイスラエルに倣ったのか、黒人、ラテイノに対してアパルトヘイトを実行しそうな鼻息です。トランプは元が不動産屋だから、黒人を忌み嫌うのは習性でしょう。今後、米国がアパルトヘイトの南アみたいになったら、日本のメデイアはどのように記事を書くんでしょうか。もう既にアパルトヘイトだと断定するフリーのジャーナリストがいますし。
今後、米国の社会がどう変容するのか、私の興味は尽きません。
南アフリカのアパルトヘイトにたいする嫌悪、それに伴う制裁は
欧米の民衆から沸き起こったものです、実は。
それがボトムアップして企業や政府を動かしました。
欧米政府などは長きにわたってアパルトヘイトなど真剣に非難しま
せんでした。
とくにイギリスのサッチャーなどは南アフリカ擁護の論陣をはった
ことをよく覚えています。
彼女は南アフリカ白人政権の良き友だったようです。
まあでも、どの国も西側諸国の政府はサッチャーと大同小異でした。
今、香港の民主運動に口角泡を飛ばしているのはお笑いぐさです。
ジョンソンの話はどこかで読んで知っていた。孫崎さん自身の著書で読んだのかもしれない。
最初に読んだ当時は、ジョンソンの凶暴性が印象に残ったとおもうが、いまふたたび考えてみると、たとえばトランプが、北京大学で中国の香港政策について批難の演説をするといったようなもので(あくまで大雑把に言えば。細かな点は無視)、そりゃまあ、習近平はいい気分ではないだろう。「つるし上げ」はしないにしろ。
カナダの立場を「正義」と孫崎さんが総括しておられるのも、そりゃ「正義」なこともあればそうでないこともあるのではないかと感じる。だいたい、カナダは米国があるために、かなり得をしているのではないか。メキシコはじめ中南米からの不法移民は、それこそ米国という厚い壁があるので、直接は来ない。先住民にろくでもないことをしたのは、米国と同じだろうに、米国ほどは目立たない。などなど。
孫崎さんが局長に言ったのは、わたしが勝手に意訳すると「カナダの、他国との外交は楽でいいですね」という感想になるが、この随想を読んでも、その感想は変わらない。ろくでもない国々に囲まれている(そのラスボスが米国)日本に比べると、寝ているようなものだとおもう。
(ID:18367902)
友好的であるが、激しく対立もする近隣諸国との関係を外交的にどのように解決していくか。お互いに腹を割って話し合える関係が築かれているかどうかが分かれ道なのでしょう。価値観が共有できないと極めて難しい。
日本には韓国と中国がある。過去には友好的関係が築かれていた時もある。再燃している対立は、中国とは尖閣の領土問題である。韓国とは過去の清算であり、日本としては巨額の賠償で解決したと考えているが、韓国の清算がどの時点まで遡るかわからない状況にある。
中国とは「棚上げ」論がある尖閣の問題がある。最大の不幸は人間的関係が少ない民主党政権が扱いを間違えたこともあるが、中国が日本のEEZ境界線付近で海底の掘削を始めたことであり、日本が共同掘削を提案したが無視されたことであり、中国漁船が日本の海上保安庁の船に体当たりしたことが大きい。当時都知事の石原氏が寄付金を集め個人から所有を移転しようとし、政府が所有を決め日中友好が崩れてしまった。
安倍政権が友好関係改善に動き始め、習近平訪日を決めた。コロナが訪日を延期させているが、今後の動向は次の政権の最大課題になる。大きな荷物を背負って進むことになる。ハンドルさばきを間違えると取り返しのつかないことになるのでしょう。
米中にとって極めて重要な日本の対応にかなり神経をとがらせており、政府の米中のかじ取りは極めて難しい。中途半端が一番愚策となるのでしょう。
問題の本質は価値観を共有できるかどうかであり、単に経済的互恵ができるかどうかでは済まないことである。中国との外交が厄介なことは、強気にならなければ中国民をまとめきれない危うさが隣り合わせなことであり、外交的話し合いが極めて難しくなっていることです。