孫崎享のつぶやき

元検察官有志意見書(全文)①黒川氏留任に法的根拠ない。②政財界の不正事犯も当然捜査の対象。政権圧力で不起訴なら刑事司法は崩壊。③改正案中重要は、役職定年延長に関する部分。➃政権の意に沿わない検察の動きを封じ込めことを意図⑤心ある国民の声に期待。

2020/05/17 07:47 投稿

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 東京高検検事長の定年延長についての元検察官有志による意見書

 1 東京高検検事長黒川弘務氏は、本年28日に定年の63歳に達し退官の予定であったが、直前の131日、その定年を87日まで半年間延長する閣議決定が行われ、同氏は定年を過ぎて今なお現職に止(とど)まっている。

 検察庁法によれば、定年は検事総長が65歳、その他の検察官は63歳とされており(同法22条)、定年延長を可能とする規定はない。従って検察官の定年を延長するためには検察庁法を改正するしかない。しかるに内閣は同法改正の手続きを経ずに閣議決定のみで黒川氏の定年延長を決定した。これは内閣が現検事総長稲田伸夫氏の後任として黒川氏を予定しており、そのために稲田氏を遅くとも総長の通例の在職期間である2年が終了する8月初旬までに勇退させてその後任に黒川氏を充てるための措置だというのがもっぱらの観測である。一説によると、本年420

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コメント

ロッキード事件の不可解さは、事件をよく見てきたものにとっては、忘れることができない。

ロッキード社の経営が傾きかけ、各国政府要人に賄賂が配られたことは明きらかになっている。

様々な方が、「冤罪」を主張されているが、日米政府の謀略とみている。検察が自由に行動できたといえる、小沢事件の時も同じであり、中国に大使節団を送るような中国寄りの小沢氏に対して、当時の民主党幹部は、検察の自由にさせていた。マスコミは検察が流す情報を新聞で大きく報道し、小沢氏悪を既成事実化しようとしていた。特に米国の裁量が働いていたことは、米国に始めて最高裁長官が出かけたとき、米国の了解を得るために出かけたということが明確化した。

検察は、自民党の中国寄りを阻止する米国のお墨付きをもらってロッキード事件、小沢事件を采配してきた。今回は自民党と米国のお墨付きがあるがどうかはわからないが、日本の検察機構ほどいかがわしい組織はないとみるべきでしょう。特にOBは全く信用できない。

No.1 53ヶ月前

前に表明したとおり、わたしは、
1、基本的に省庁の幹部クラスは政権の意向に沿った人事をすべきで、政権にその権限を認めるべきだ。
2、しかし、検察は準司法であり、1をそのまま適用することはできない。
との原則的な考えをもっており、結果的に、黒川氏の定年延長についての閣議決定には反対している(※1)。
とくに意見書の2のロジックはその通りだと思っている。
なお、検察庁法改正案問題は、黒川氏の定年延長問題とは別であるが、意見書の4にいう黒川検事長の定年延長を決定した決議の後追い容認というのは、ありうるのかもなあとおもう。

そのうえで、今回の出来事について考えてみると、結局のところこれは、「検察に対する民主的コントロール」をどのように設計するかという問題なのであろうとおもわれる。

今回の「元検察官有志意見書」は、わたしは醜悪な文書として読んだ(※2)。どのような組織であっても、たとえば零細企業のなかの数人の組織であっても、いったんできあがってそれなりの伝統をもてば、外からあれこれ言われるのを嫌い、自律性や自治性をもとうとする。まして検察にあっては、自律性や自治性をもとうとする意識はすさまじいものであろう。

しかし検察は(どこの国でもそうだがとくに日本では)非常に強力で権力をもった組織であり、ある点では、裁判所以上の司法的権力をもつ。こういう組織を「自律・自治」に任していていいのか。今回の「元検察官有志意見書」には、ルイ14世だのロックだのまで引用して権力へのコントロールを説いているくせに、この点についての言及、つまり「では当の検察権力に対してはどのように民主的コントロールを及ぼすか」についての言及がただのひとこともないのだ(※3)。だから醜悪なのである。「自律・自治」のなかには、OBも「検察の一員」として含まれているだろう。わたしには、「われわれの権益を侵すな。このままにしろ」という文章に見える。

検察OBであるなら、ほぼすべては、弁護士であり、大半は、検察OBとしてそれなりの企業の顧問だったり役職についているだろう。あるいは最近までついていただろう。もしそういう肩書も付せば、文書の印象はかなりかわるはずだ。あるいは、財務省OBが、財務省人事に対してこういう意見書を出した場合を想像して、どうおもうかを考えてみればよい。

しかし、検察に対する民主的コントロール問題は、適切に答えるのが難しい。
韓国では、文大統領派の不正を捜査する検事総長が注目を浴びていた。ロジカルにいえば、いまの問題で安倍政権を批判するひとたちは、この韓国検察の動きを、おおいにたたえなければならない。しかし、そうはなってない。むしろ、文大統領をたたえる人たちが、安倍政権を批判しているのだ。

わたしは冒頭に掲げた原則論は原則論とするが、やはりその先にあるもの、はっきりいえば、誰がどういう政治的意図でこの問題に対しているかについて、今後も注目していきたい。

※1 ただし、反対派のなかには、牽強付会的な議論や無理な議論を繰り広げる者もいる。ここでいちいち説明しないが、ネットをみれば、簡単に反対派のそうした議論への反論を見ることができる。たとえば、ツイッター〇〇万件など、からくりを知ってみれば、言ってるヒトビトが馬鹿にしか見えなくなる。また、芸能事務所にどういう勢力が影響をもっているかも想像できる。

※2 たぶんCHANGEさんの感覚に近い。

※3 「検察に対する民主的コントロール問題」は、今回のできごとの本筋ではないという議論はありうる。しかし、本筋ではなくても本質である。

No.2 53ヶ月前
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