出典:G.B.サンソム、『世界史における日本』(岩波新書、一九五一年) 

サンソムは一九〇四年に駐日英国大使館に配属。コロンビア大学東アジア研究所の初代の所長。前掲書よりの抜粋。

サンソムが指摘する秀吉時代は、田中角栄の時代を彷彿させるようにも思われる。

〈エリザベス時代は乱暴な時代、惨酷な時代であり、多くの点で粗悪通俗な時代であったが、そこには希望と勇気をもって、ゆるぎない確信と純粋な情熱でもって世界に立ち向かう血気盛んな若さというようなあらゆる好ましい素質が一世紀位の間はあったのであります。〉

〈私は信長や秀吉の時代にエリザベス時代をきわ立たせるものと同じ素質を見出すものであります。日本は封建主義体制の終末と社会改造への懸命な努力をむかえます。いまや新しい人々が権力を握り、新しい地平線が日本にとって開いて参ります。世間には冒険心があり、前の時代ならば世に出なかったであろう人々の心に大胆