中根千枝氏(1926年生まれ)は社会人類学者。中根千枝著『タテ社会の人間関係』(講談社、1967年より。

・日本人が外に向かって(他人に対して)自分を位置づける場合、好んでするのは、資格よりも場を優先することである。記者とか、エンジニアであるということよりも、A社、S社の者ということである。(中略)「会社」は個人が一定の契約関係を結んでいる客体としての認識でなく、私の、また我々の会社であると認識されている。

・日本社会に根強く潜在する特殊な集団認識の在り方は「イエ」(家)の概念に代表される。

・「家」よりも大きい集団としては、中世的な「一族郎党」の集団がある。

・「資格」の異なる者に同一構成員としての認識、その妥当性をもたせる方法としては、外部に対して、「われわれ」というグループ意識の協調で、それは外にある同様なグループに対する対抗意識である。「同じグループ成員」という