第100回全国高校野球選手権は桐蔭学園が春夏の連覇で優勝した。だが、今年の甲子園での大会で、最も注目を集めたのは決勝に進んだ金足農(秋田)であった。
私も「秋田県勢の決勝進出は103年ぶり。金足農が勝つといいな」とツイートした。私のツイートを見た人が「今回100回記念でしょ。103年ぶりは間違っているんじゃないの」とコメントした。
選手権は1941年、戦争の影響で中止された。そして戦後、1946年西宮球場で再開された。
須賀しのぶ著『夏空白花』(ポプラ社)は戦後、困窮にあえぐ日本で再開にこぎつけるまでの状況を「史実に基づいたフィクション」として描いた。作品中の主人公は朝日新聞
の記者神住匡である。
こうした作品が成功の鍵は、フィクションとしての展開に事実をどう適格に織り交ぜていくかにある。
本は戦中の報道状況の描写から始まる。「朝日新聞が主要紙として存続
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コメント
私には甲子園の開会式から受ける印象は何だか神宮球場で行われた学徒出陣のパレード重なって見えて「嫌だな」という感じなんです。
私が尊敬する むの たけじ は敗戦の翌日朝日新聞と決別したが、主人公神住は「新聞を武器として米英殲滅まで戦い抜け」という確信犯的新聞記者で、そういう社員が朝日新聞には当時沢山いたということでしょうか。そして、次の営業目標が「マッカーサーをヨイショする」。
私がずっと抱いていた「朝日新聞に対する、”そうだったのではないか”という仮説」が「夏空白花」で証明された、と、実にいい気分に浸っています。
そして、その朝日が、確信犯的新聞起者、神住が甲子園大会再開に走る。やっぱりそうなんだ、甲子園開会式が学徒出陣に似ているのは当然なんだと一人で納得しています。
昔懐かしい野球少年の時代を思い出しています。
現在のようにモノが豊かでなく、また野球具など買ってもらえないことが子供心に分かり、バットはナイフで削って作り、ミットは厚手の布を手縫いして作り、ボールも糸をまいたりして、何も苦痛もなく、野球をやりたい一心で、一生懸命に作ったことを思い出す。
私は、学生野球より、プロ野球の「赤バット」の川上、「青バット」の大下、「物干しざお」の藤村にあこがれて、写真入りのメンコ(名前は不確か)をたくさん集め、仲間同士で交換したことも思い出す。
歴史をひも解くと、1945年11月18日に神宮で早大対慶大戦が行われた。同じ年11月23日にプロ野球東西対抗戦があり、1946年には、学生野球、社会人野球、プロ野球が行われ始めたが、野球の復活は、GHQの占領政策の中で行われたとみるべきでしょう。学生の野球復活にかけた先人たちの史実に基づいたフィクションとしてみれば面白そうであり、図書館で見られるようであれば読んでみたい。
>「朝日新聞が主要紙として存続していられるのは、ひとえに軍部が後ろ盾にあるからだ」
>「なにしろ今日まで、社の方針は“新聞を武器として米英殲滅まで戦い抜け“だった」
>「マッカーサーが来たらひたすらヨイショすればいいんです」
「戦後史の正体」にある件を裏付ける描写と思う━「...日本は事実上、軍人をボスとする封建組織のなかの奴隷国であった。そこで一般の人は、一方のボスのもとから他方のボス、すなわち現在のわが占領軍のもとに切りかわったわけである。彼ら多くの者(にとって)はこの切りかえは、新しい政権のもとに生計が保たれていければ、別に大したことではないのである。」(『トルーマン回顧録』)
しかし、係る小説では若者はそうはいかないという。やはり、子供にとっては生計が全てではない、かけがえのないものが他にあるということだろう。
だが、ドレイと自覚させない「麻薬」としても効き目十分だった感は否めない。日本人には冷徹に現実と向き合う戦略的思考がなかったことも浮き彫りにする小説でないか。
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