知られざる「真珠湾攻撃」の真相解明に挑戦した著書「日米開戦の正体」から2年。元外務省・国際情報局の孫崎享氏は、本作で昭和史に刻まれる「ゾルゲ事件」を解き明かすことで、日米開戦で隠蔽された歴史を暴き出した。これが事実なら、日本の近代史が変わる衝撃の一冊となるだろう。     *

孫崎氏がゾルゲに興味を持ったのは約40年前、ある人物の来日がきっかけだと明かす。

「クラウス・メーナルトという、日本に真珠湾攻撃の入れ知恵をしたとされる人物で、彼は私にこんなことを言ったのです。『東京へ来ると、ゾルゲの家に泊まっていた』と。“真珠湾攻撃の父”と言われ、アメリカと強いパイプを持つメーノルトが、なぜゾルゲの家に泊まっていたのか?」

 その違和感につき動かされるようにゾルゲ事件について孫崎氏は調べ始めた。そして、あることを確信したと話す。

「日本の近代史を勉強している人なら、誰もが気付