ロック様ことドウェイン・ジョンソン主演の筋肉スペクタクル・アクション映画『ヘラクレス』のブルーレイ/DVD発売を記念して、筋肉の専門家による筋肉座談会が行われました。
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ロック様の肉体のすごさ、そして運動不足な方々にも役に立つ、筋言の数々をご覧ください。
左から:ルネサンス株式会社・山田幸浩さん、
セントラルスポーツ株式会社・引地雄介さん、
株式会社THINKフィットネス (ゴールドジム)・荒川孝行さん
――『ヘラクレス』を観た感想・好きなシーンを教えてください。
荒川孝行(以下、荒川):基本的には筋肉万歳! っていう映画なんですよね。筋トレしている人にはたまらないっていう。最近映画でいうと、ちょっと細みのイケメン俳優とかが活躍する映画が多いですが、『ヘラクレス』はどちらかというとゴリゴリマッチョで。1980年代カムバックみたいな。そういう感じがすごく良くて、私としては「ここまで振り切ってくれたか!」とそこが嬉しかったですね。
引地雄介(以下、引地):私も筋肉が好きなので、見ていて気持ちよくさせていただける映画だなと思いました。この体をしていて、弱い訳ないじゃないですか! でも仲間と共に戦っていくっていうのは、今まであった「ヘラクレス」っていう映画の中で、神格化された存在から我々人間一般の目線まで下りて描かれているというのが、すごく斬新だなと思いました。
山田幸浩(以下、山田):肉体を酷使したアクション映画っていうのは今本当に少ないですよね。我々はロッキー世代でもあるので。シルベスター・スターローンとかシュワルツネッガーといった、今までの人ではなく、新しいヒーロー像としてのドウェイン・ジョンソン、そしてヘラクレス。新しい肉体派映画という意味ではすごく新鮮さがありました。
――映画の中で、一番良かったなと思うポージングはなんでしょうか?
引地:僕は飯食ってる時のシーンですね! 腕がめちゃめちゃでかいなって。
山田:そうですね。やっぱり腕と肩はすごいですよね。ドウェインはプロレスラーの時の衣裳も必ずノースリーブで、腕と肩を出していました。頭が小さくて、その下にどっしりとした体格というバランスがすごくいい。そういう印象でしたね。
荒川:ライオンとの決闘のシーンはやっぱりかっこいいですね。一番良く見えるライティングとポーズをちゃんと考えて作りこんでいると思います。
――「ヘラクレス」のロック様(ドウェイン・ジョンソン)の筋肉について、ここが凄い! という点があれば教えて下さい。
山田:「魅せる」要素が重要だと思いますね。肩と腕に圧倒的な印象を出さないと、力強さや強さって出ないんです。肩と腕の筋肉が大きいっていうのはもちろんなんですが、脂肪を排除してより目立つように、盛り上がりが強調されるような形でしっかりダイエットをしながら、見せられる筋肉っていうのを映画に向けて絶対作っているハズです。
準備期間がもちろんあって、ある程度体が仕上った状態でクランクインして、撮影期間内で維持している状態ですね。メリハリがあって、見た目に隆々とした状態を映画の中では拝見できますね。筋肉自体も作らなきゃいけないんですが、加えて脂肪がのっているとハッキリ見えないんですよ。余分な脂肪を全部そぎ落として筋肉がもこもこっと見える状態で臨むと、本来持っているよりも大きく見えるんです。
筋肉の陰影が美しいロック様
この写真(画像1)で言うと、腕の筋肉なんかは横から見たときに、腕の筋・筋肉。ただ腕の太さだけでなくて、横からボコッとでた筋肉の筋。ただ太いだけでなく、溝が出来るので、迫力があります。日光が上から当たっていますから、陰影が出来るんですよね。より筋肉が目立ってはっきりみえるというか。手の向きもかなり考えているんじゃないかなと思います。上に向けてしまうと、上から光が当たるじゃないですか、それだと横から見たときに陰影が出なくて薄っぺらく見えてしまうんですよ。ちょっと腕を立てると、迫力が全然違う。この形で見せると、腕が一番太く見えるんです。そこは意識しているんじゃないですかね。
引地:一般の方と、総合格闘家であるとかプロレスラーであるとか、体を使って戦うことを生業としている方々って、肩と僧帽筋(そうぼうきん、首から肩にかけての筋肉)っていう首の所の発達の具合が全然違うなと思います。
胸板厚いって方は結構いますが、首からこれだけ筋肉が出てる人はなかなかいないので、男として憧れる部分ですね。WWE時代はそこまで首から肩にかけての筋肉が目立っていた印象は無かったんですが、今回ヘラクレスでここが物凄いと感じましたね。みごとじゃないですか。こんなカーブ見たことあります?(笑)
山田:スピードスケートとか競輪選手とかをイメージしてもらうといいと思います。外に出てますよね。
荒川:首ってやっぱり大事なんですよ。首が安定しないと体も安定しないので。
筋肉は常に油断していないロック様
山田:(画像2を見ながら)これもただ立っているだけですけど、絶対力抜いてないと思うんですよ。ただ立っているだけのシーンでも、手にくっと力を入れたりだとか、肘の位置を少し上げたり。この姿勢って楽じゃないんです。棒立ちじゃこんな風に見えません。足の位置もちょっと外に力をいれて踏ん張る事によって、筋肉が出たりするんです。
だから、ドウェインが 言う「最後にどっと疲れた」って言うのはいろんな意味があったのかなと。アクションで動いて疲れて、ただ立っているだけでも消費して。力抜く時間ってのは、カメラが回っていない時だけだったんじゃないかなって思います。気を抜く時間がなかったんでしょうね。
――ドウェインは撮影のために1日7~8食の食事をとっていたとのことでしたが、筋肉の維持にはそこまで食事をとる必要があるのでしょうか?
山田:撮影は相当過酷なはずなんですよね。いくつものシーンが続きますし、同じことを何度も繰り返しますし、アクションですから活動量も多いじゃないですか。つまり消費量も物凄く多い。消費する事で筋肉って小さく見えて行ってしまうんですね。栄養分がたくさんあって、筋肉に要素がいきながら血液も水分も入っていれば大きな筋肉が保てます。
短期間であればトレーニングもそんなにしなくても問題ないかもしれないですが、長期間の撮影の中で、同じ体を維持しようと思うと撮影しながらもトレーニングしないと維持できないんです。撮影と並行してトレーニングをしながら、何回も食事をとりながら栄養が体の中から抜けていかないように、常に栄養素を体に蓄えながら撮影をしていかないといけない。アクションを撮影する時には、なるべく消化スピードの早いものを食べながら撮影に臨んだんじゃないかなと思います。
引地:ドウェインの7~8 回の食事って言うのは、量はそこまで多くなく、食事内容を毎回変えているようなので、食事に関しても良く考えて大切にされていたんでしょうね。
――これだけの筋肉だとドウェインは体重もかなりありますが、飛んだり跳ねたり凄いですよね。やっぱりこれも大変なことなのでしょうか?
山田:大変だと思います。ただ、プロレスも同じような動きをしますので、動ける肉体を持っているんでしょうね。
荒川:わざとぴょんぴょん跳ねてる部分もあるんじゃないかなと思います(笑)。昔のスタローンとかシュワルツネッガーとかって鈍重な動きが多かったんですね。ロッキーの戦うシーンとかも。もちろんそれはそれで武骨なかっこよさがあるんですけど。
ただそれだと、筋肉の付いていない「えせマッチョ」が「筋肉つくと動きが遅い!」とかいうじゃないですか(笑)。そういう声に対抗するために、ぴょんぴょん跳ねたんじゃないかなと。重厚感がある意味全くないんですよ! 跳んだり跳ねたり、軽やかなんです。それは狙っている気がします。たぶんですけど(笑)。
この肉体でも軽やかな動きを見せるロック様
山田:プロレスラーの方って凄いですよね。あれだけの重みがあって、あれだけ動けるのは本当に凄いと思います。
引地:体を酷使していると思いますし、練習もすごいんでしょうね。だからできるんだと思います。私はプロレスが好きで、まさにプロレスの試合を見に行ってから、自分もインストラクターとして教える側なので、体型を気にしなきゃいけないなと思いました。それがきっかけでトレーニングを少しずつするようになったんです。
新日本プロレスに「G1 クライマックス」っていう大きな大会があるんですけど、たまたま見に行った時に、鈴木みのる選手がすぐ横を通ったんですね。リング上の印象では、あんまり体が大きくない、どちらかというとレスラーの中では小さい方だなって言う認識だったんですけど、目の前を横切って行った鈴木みのる選手が信じられないくらいぶ厚かったんですよ。くそでかいなっておもいました。「脱いだらすごい」ではなくて、脱がなくても分かる力強さ、「絶対強い!」っていうのがにじみ出てたんですよね。それがすごい私の中で新鮮で。
男として生まれ落ちたからにはこうありたいなと思ったんで、筋肉をつけるトレーニングを始めたんです。それもあって、体を絞っていくという風にはなかなかいけないというか。脂肪もあって、筋肉もあって、体もデカくてっていうプロレスラーへの憧れを、ただの憧れで終わらせるのではなくて、そこに近づいて行くためにたくさん食べて、筋トレも出来るかぎりたくさんの頻度を確保してやっていくというのが、自分のこだわりではありますね。
――筋肉量がある=相対的に握力や腕力があるということで良いんですか?
荒川:そうですね。あと、筋肉があると速く動けます。
引地:そのとおりです! そこはぜひお話ししたかったんですけど、昨今のゲームとかアニメとかで、筋肉キャラって少しかませ犬的な立ち位置に収まってしまう風潮があると思うんですね。でも、絶対にそんな事ないですから! 筋肉があった方が絶対速いし、強いんです! 持続力の面では期待できない部分はあるんですけど、瞬発的なスピードがあんなにノロいわけないです。
――一般の人がドウェインみたい...にとまではいかないまでも、筋肉をつけるにはどういったことに気をつければいいのでしょうか?
荒川:月に1回運動をやるかやらないか、それだけでも大きな違いが出ます。意味が無いとは全く思いません。精神的にも良くなるでしょうし、自分のモチベーションにもつながるでしょうし。ぜったいやった方が良いと思います。
できるかぎりしっかり、基本通りにやるのが良いですね。死ぬほど食事を食べて無理に体重を増やそうとしたり、1日でガーッと6時間も7時間もトレーニングしたりするのではなく、定期的に・確実に紡ぎ上げていくっていう、基本的なことをやるのが近道なんじゃないかなと思います。
――たまにジムにいって、ガーッとやるのではなく、定期的にやっていく方がいいんですか?
山田:そうですね。続けていく事が大事です。あと、本人がどれだけ自分の中でモチベーションを持ち続けられるかも重要ですよね。確かに週1回しかジムに通えなかったとしても、家で十分できるんですよ。やれる方法はいくらでも提供できるんですけど、本人がこういう風になりたいっていう思いを持ち続けられるかが一番重要です。
我々はお客さんを抱えている以上いつも思うんですが、最初はお客様も「こうなりたい」っていう思いが強いんですが、だんだん時間が経つにつれて、効果とモチベーションとのバランスがどんどん崩れていってしまって、やがて足が遠のいてしまうお客様が多いんですよね。
なんとか続けていけば、体ってちゃんと変わっていきますし、正しい方法でやっていけば、今よりも良くなるはずです。家でも例えば、1日5分だけのトレーニングを7日続ければ全然違うと思います。それで1週間に1回ジムに来て、やり方があっているかを確認にしていただければと。「こうなりたい」という具体的なイメージを持った方がいいと思います。
――逆に鍛えすぎると負担がかかるとか、そういうことはないんですか。
荒川:たぶん、鍛えすぎって人は人類史上いないです。よく「鍛えすぎると...」とか「筋肉つきすぎると...」とかありますが、大丈夫ですよ(笑)。
引地:ありますね。「ムキムキになりたくない」って方がいらっしゃいますが、簡単にはなれませんよ!(笑)
山田:細マッチョも意外と大変なんですよね。
荒川:ムキムキを目指して、初めて細マッチョになれる、っていうくらいですから。本当は。
――筋肉をつけたくないっていう女性の方も多いかと思いますが...
山田:筋肉が付いた方が逆に代謝も上がりますから、ダイエットしやすくなります。みなさん筋肉がついちゃうんじゃないかと心配されていますが、やらないとダイエットしづらくなりますという風に、普段の現場ではご案内をさせていただいています。
――メディアでもいろんなトレーニング方法が取り上げていて、何をしたらいいかっていうわからない方も多いかもしれません。
山田:体幹トレーニングは主流になっていますね。ルネサンスでもコアトレのメニューがあります。インナーの骨盤周りをトレーニングする事によって姿勢バランスだったりとか、内側から鍛えることで、燃焼力を上げたりだとか。体を支える筋肉を整えるっていうことは、動きにつながる動作なんですよね。日常生活がとても楽になります。体のラインを整えて、日常生活のコンディションを整えるっていうのが今の主流のトレーニングになっていますね。
いろんな方法がありますが、どれも間違いではないはずですから、まずはやってみて、これ合うなっていうものがあればそれを続けていけばいいと思います。人によってやりやすさだとかとっつきやすさがあると思うので。やってみて、これはどうなんだろうっていうのを相談するといいです。ジムであれば相談できる人がいますしね。どのトレーニング方法もそれぞれ良さがあるんです。ただ、その人がやりやすくないとなかなか継続できないと思いますので。
荒川:私も山田さんと全く同じ意見ですね。自分に合ったものを選んで続けていただくのが良いと思います。その中でも、ご自宅で出来る簡単なトレーニングは続けやすいですよ。腹筋運動とか腕立て伏せとか。10~20年前からある運動方法が長く今も存在しているのは、効果があるって事なんだと思います。そういうものをやっていただければ良いんじゃないですかね。
写真左から:山田さん、引地さん、荒川さん
一番スゲーのはプロレスなんだよ! と改めて叫びたくなるくらい、ドウェイン・ジョンソンの、そしてプロレスラーの凄さを感じます。今後のアニメやゲームに本作でのヘラクレスくらい、力も敏捷性もある筋肉キャラが登場することにも期待したいところです。
筋肉の専門家たちも絶賛する、ロック様の筋肉の妙技が味わえる映画『ヘラクレス 怪力ロング・バージョン ブルーレイ+DVDセット【2枚組】』は、4,700円+税で現在発売中。
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(スタナー松井)
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コメント
筋肉有る方が速いに決まってる。短距離アスリートの太腿見てみるとスゲエパンパンだからね。
筋肉ってのはエンジンだからな。そりゃエンジンでかいと速いさ。
ただしエンジンパワーを生かすためにチューニングは必要ではあるが。
ボアアップ(筋トレ)とチューニング(素早く動く練習)で最強。
ボクサーが筋肉つけすぎちゃいけないのって、重く鈍くなるからじゃなくて、
階級の都合でノッポと戦わされちゃうからじゃないですかね
(ID:30874241)
鬼鮫かな?