【No.25】特定原子力施設の検討会で明らかになった規制委の奇妙な姿勢
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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
2015/2/13(No.025)
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[目次]
1.東電福島第一原発事故トピック
(1)死亡事故の発生に、工程順守のプレッシャーが影響──それでも規制委は海洋放出を推奨
(2)海洋放出は早く判断、燃料デブリ取り出しはいずれ判断── 規制委の奇妙な二重基準
2.気になる原発事故ニュース
3.編集後記
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1.東電福島第一原発事故トピック
(1)死亡事故の発生に、工程順守のプレッシャーが影響──それでも規制委は海洋放出を推奨
<田中委員長の事故原因分析を、東電は否定>
前々号で、原子力規制委員会の田中俊一委員長が、福島第一のリスクを減らすためにはALPSで処理したトリチウム汚染水は海洋放出したほうがいいと主張したことの奇妙さをお伝えした。
福島第一で発生した作業員の死亡事故を受けた、田中委員長の規制委での発言は以下のようなものだった。まず事故について「やっぱり排出の許容濃度以下になった水を捨てないから、どんどんタンクを増設する中で起こっているわけです」と述べ、次のように指摘したのだった。
「ほんとにそれ(貯めること)が必要なのか、必要なリスク低減化なのかと。他と比べて。そういうところもきちっと受け止めないといけないと思う。そこが世論とかいろんなところに、いろんな意見を聞くのは大事ですけども、迎合して人の命をなくすようなことにつながっては元も子もないんですよね」
このような認識を根拠に海洋放出を推奨した田中委員長が、傍聴席からの批判の声に対して「人が死んでもか」と応じたことは、ネットで大きな話題になった。
一方の東電は記者会見で、タンク建設が死亡事故につながったことを否定。さらに2月2日に開かれた事故原因の調査結果を発表する記者会見では、姉川尚史・原子力立地本部長が「放出は別次元の議論が必要」であり、事故の発生に「直接、これ(タンク建設工事)がつながっているのではない」という考えを述べたのだった。
そして東電は公表した事故原因のひとつに、「推定」と括弧書きしつつも、「検査が遅れると考え、ハッチの蓋を開けることを急いだことから、危険予知が行われず安全帯の使用も失念した」と記述したほか、これまでの問題点として「スケジュール順守のプレッシャーに押され、事故後の再発防止活動が拙速になり、点検や対策の範囲が狭くなった」と分析していた。現場に工程へのプレッシャーがあったことを認めたのだった。
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