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【平直行「東方武術見聞録」】その25 武者修行が重なる。(前半)

2014/12/02 13:10 投稿

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その
25 武者修行が重なる。(前半)


伝統療法カンファレンスの前日に行われた関係者限定の勉強会。そこで初めて出会った腱引きの代表と、関係者の方々。時間っていうのは実は案外適当なのかな? あっという間に彼らと打ち解けていった。夜には懇親会をやってもっと打ち解け、それから同じホテルで遅くまで、もっと打ち解けた。その後、彼らと再会したのはその年の秋のことだったが、その時には何年も会っていなかった幼馴染みのような感じで再会した。

勉強会の翌日がカンファレンスの本番で、一般の方々が参加する。朝に控室へ行くと、怪しいおじさんがいた。スキンヘッドで首に何か巻いてるお洒落な感じで怪しい感じの人。怪しいので僕は先に挨拶をすることにした。こんな時には先手必勝なのだ。そうしたら、僕を見てニコっと笑いながらこう言った。


「膝とか悪いでしょ」


出会ってホンの少し、僅か数分の出来事だった。それで、「こっち来てごらん」と呼ばれた。怪しい人に逆らうとロクなことがないのだ。僕は本能的にそれを知ってるから、すぐに近くに行ったのだ。


「俺さ、面白いやり方するんだ」


そう言うとバックから何かを出してきた。金属の棒だ。しかも先端が尖ってるぞ。相手が短刀を持っていたらどうするんだっけ? まだ学びの薄かった心眼流の技を思い出しながら準備をする(笑)。でも、本当は何だか分からないけど最初から信用して安心していたのだ。僕はそういう時にその人がどういう人なのかなぜか分かったりするのだ。この人は怪しく見えてもとても良い人なんだって僕には最初から分かっていた。


怪しいおじさんは膝には触らずに、ふくらはぎとか膝に関係ない箇所に先の尖った不思議な棒でスッと撫でるように擦っていった。そうすると不思議なのだ。膝が楽になったのだ。そして、ほどよいところで伝統療法カンファレンスが始まる時間が来た。不思議な感触と施術を思いながら会場へ向かう。僕の席は怪しいおじさんの隣だった。おじさんも講演を行うから一緒の控室だったのだ。まあ、そもそも無関係の人は控室にはいないのだ(笑)。


カンファレンスでは最初に怪しいおじさんが講演をした。その場で身体の調子の悪い人を何人か改善したり、独自の施術の理論を話したりしたが、観衆が講演に引き込まれているのを僕は感じた。怪しいおじさんは、格闘技の世界でいえばメインイベンターの素質があるといった感じなのだ。


格闘技のプロとは強さだけが求められるのではない。もちろん弱ければ駄目だ。ところが、強いだけでも駄目なのがプロスポーツの本質なのだ。強いだけではなく人を惹きつけるという、何か持って生まれた才能のようなものがある。最初からそれを出せる選手もいれば、プロの試合を重ねていくうちに出せる選手もいる。とにかくプロとは強いのが当たり前で、それプラス人を惹きつける目には見えないものを観客に見せることができる選手が、人気者になってメインイベントで試合をすることが許されるのだ。


プロの格闘技と武術や武道との最大の違いは、観客も相手にするという点なのだ。僕はそういう部分をシュートボクシングで教わり、K-1でも教わった。チーム・アンディでも教わった。


 

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