第68回 あなたを踏み台に立身出世したカエル君の正体とは?
駅前で不動産屋に雇われて働いている着ぐるみのカエル君がポケットティッシュをくれないので私の生活は破綻寸前。私が近づくと忌避するように背中を向けてしまうこともしばしば。断言する。世界一ポケットティッシュを求めている人間は私だと。なぜなら妻から激しい叱責を受けているから。私にはハンカチで鼻をかむ癖があり、その産物たる鼻水の付着したハンカチを家に持ち帰ると妻は「なぜハンカチで鼻をかむのですか。文明人ならティッシュを使いなさい。バカなのですか」と怒り心頭なのだ。もう叱られるのはイヤだ。そういう深刻な理由から私はポケットティッシュを求め続けている。それなのにカエル君は背中を見せるばかりで、私にポケットティッシュを渡さない。許されない。私はカエル君がポケットティッシュをくれない理由について熟考し、カエル君の中の人のプライドの問題という結論に至
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