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第42回 あなたは“レッド”が栄光への架け橋だと知っていたか?

哀愁ある背中をもつ、陰のある男を目標に生きてきた。

努力は祟り、私は暗いだけの、ただただ陰気な男になり果てた。一言でいうなら日陰者。原因は明らかで私には光がない。光あってこその陰。光とはすなわち栄光。栄光は易々と手に入るものではない。それなら形から入って雰囲気だけでも明るくしようとなるのが現代人。闇に飲まれてしまうその前に、私は明るくなる。なろう。私が往来でニヤニヤしたり鼻歌を歌い始めたのは、こうした理由があるのだ。栄光のために薄暗い自宅のトイレも明るくしなければならない。就業時間を終えた私は光の射す方へ。光ファイバーの集まる場所へ。つまり電気量販店へ。

フロア全体が一様に照明がなされている電気量販店。陰気な私には明るい場所がわからない。困り果てた私は近くにいた店員にLED電球コーナーの場所を訊ねた。読み方がわからないので「レッドはどこで買い求められる?」。店員は私がLEDをレッドと呼ぶのをバカにするように「エル、イー、ディー」と不快なエセ外人のような言い方で場所を説明してくれた。