第22回 あなたも可憐な女学生から赤い羽根を付けてもらおう
ストーカー。変態。迷惑者のせいで善意が衰弱死するのは痛ましいことだ。
たとえば過日。駅前で女学生の一団が赤い羽根募金を呼びかけていた。「赤い羽根募金にご協力お願いしまーす」「しまーす」。若く、可憐。告白しよう。もし募金箱を抱えていたのが屈強なラグビー部員の一団であったら、私は気にもとめず通過したにちがいない。しかし、実際的にはオシャレ制服に身を包んだハイティーンの女学生。
ポケットを探ると塩大福を買った際のお釣りがあった。私は映画『アルマゲドン』のエンディングテーマを口ずさみつつ、ポケットの中の硬貨たちを弄りながら女学生の可憐な声に向かっていったのである。「ハイティーンの女性と触れ合うのはいつ以来だろう…」と頬を朱に染めて…。
募金箱を抱えた女学生一団が至近距離。私は、目を合わさないように、それでいて、大人だから五百円くらい痛くも痒くもないのだよという威厳を適度に誇示しつつ募金行為に及ぼうとした。
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