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【1993 〜日本格闘技近現代史〜】 第24回 道場破りがやって来た。

2013/10/31 15:01 投稿

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  • 平直行
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  • 1993〜日本格闘技近現代史〜
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第24回 道場破りがやって来た。

話しが少し先に跳ぶ。何も知らないところから、ようやくグレイシー柔術の仕組みを理解した僕は道場にも馴染むことができた。結局、それから何度もサンフランシスコへ行くようになった。何度も行き、カーリーや道場のみんなと深い絆が出来た。そして、深い絆が出来た頃に道場破りがやって来た!

道場破りといえば、日本ではいきなりやって来て道場主と一騎討ちなんて雰囲気だが、実際にカーリーの道場で僕が体験したのは、そうじゃなかった。日本で道場破りなんて話はまず聞かない。だから道場破りは漫画や小説の中の話だったりする。

僕はサンフランシスコで道場破りと遭遇した。素手のバーリ・トゥードが当たり前だった頃。オープンフィンガーグローブなんて無かった時代の道場破りの話。それは漫画や小説の中の話とは全く違っていた。

まず道場に電話がくる。「○○という格闘技をやっていて、何月何日の何時に行くから強いヤツを用意しておけ」。相手が素人じゃなければ、こんな感じでまず電話してくる。それも結構挑発的な感じで電話してくる。そうすることで、道場もベストメンバーを揃えて迎え撃つ態勢をとる。そこが彼らの狙いなのだ。

しかし、電話で指定した当日には、弱そうなヤツが来る。間違っても道場破りなんてできそうもないヤツが来る。僕がいた時もいかにも弱そうなヤツが、しかも彼女連れで来た。ベストメンバーで待ち構えていた僕たちは肩透かしを食らうことになる。そしてそいつは電話の勢いとはまるで別人のように作り笑いを浮かべながらこう言うのだ。

「いやー、そんな道場破りだなんてとんでもないですよ」「僕はカリフォルニアに来たついでに有名なあなたの道場を見せて頂きたいと思っただけなんですよ」「そもそも今日は彼女も一緒なんですよ」と。

そこまで言われれば、闘うことは出来ない。ブラジルから来たというその男は早々に道場を後にした。全く拍子抜けしてしまった。日本の漫画とかで描かれている道場破りのイメージとあまりにかけ離れていた。何しろ彼女と一緒に来るんだから……。

 

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