第18回 あなたも未遂の愛を儚く成仏させよう。復讐の一念で。
以前勤めていた会社(非円満退職済)にいた後輩女性から突然、連絡があった。
「保険のセールスに転身したので話を聞いてほしい」。営業に苦戦していることは想像に難くない。知り合いに声を掛けるのは常道だ。しかし私は彼女の行動に裏があるような気がしてならなかった。
告白しよう。私は彼女に恋をしていた。入社直後から彼女の可憐さに私は釘付けになった。親身に相談に乗り、仕事を教えた。ある日、彼女からメールが送られてきた。「困っています」そんな不穏な一文ではじまるメールは「ある先輩に迷惑している」「断り方がわからない」という困った同僚についての相談を第三者に持ち掛けるものであった。よくある話だ。ひとつ希少性があるとするならば、糾弾の対象が私であったこと。彼女は私を非難糾弾する内容のメールを誤って私自身に送ってしまったのだ。やるせない悲しみが私を掴み、離さなかった。直後に送られてきた言い訳メールは読まずに消した。
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