第11回 シューティングの始まり。
シューティングのインストラクターになった頃、事件が発生した。僕の格闘技人生は事件の連続なのだ。振り返ると面白い事件がいっぱい起きた。振り返れば面白くても、その時はもう大変で、まさに“青天の霹靂”なんて言葉を思ったりする。
見習い期間を終えて、僕はスーパータイガージムのインストラクターになった。僕の目的はインストラクターじゃなく、旧UWFでデビューしてプロになることだった。少し前に先輩インストラクターの宮戸優光さんが、旧UWFのリングでデビューした。インストラクター見習いの頃だった。僕はその試合を一緒に後楽園ホールに連れて行ってもらい観ている。なぜか客席で観るように言われた。その時には何とも思わなかったけど、その意味を僕はそれからだいぶ経ってから知ることになる。
まだ見習いの頃から次にデビューするのは僕だとみんな言ってくれていた。正式にインストラクターになったら、デビューはすぐそこまで来ているはずだった。ちょうどその頃、旧UWFの内部で何かが起きていた。前田さんと佐山さんの試合が大阪で行われ、前田さんが仕掛けた……らしい。このことは当人達に聞いたわけじゃない、専門誌で読んだ内容しか知らない。当人達が目の前にいても聞けるわけがないし。僕には本当のことは分からない。
真剣勝負を前面に押し出した旧UWFのスタイル。その牽引力となっていたのが佐山さん。だったら本当にやってやるよ、と仕掛けたのが前田さん。予定になかった仕掛けに佐山さんは応じなかった……らしい。何度も言うが、本当のことは僕には分からない。ただ2人の間にいつの間にか亀裂が入ってしまったことはおそらく間違いない。
旧UWFで佐山さんはたぶん孤立した。色んな憶測があるけど、僕には分からない。そんなことがあって、インストラクターになってすぐに僕は佐山さんから呼ばれた。他のインストラクターも一緒に呼ばれた。他のインストラクターの中に山崎一夫さんは入っていなかった。大阪の試合の少し前から、前田さんも高田さんもジムに来なくなっていた。何かが起きていることだけは僕にも分かった。
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