人間は、旅をすることによって成長する。
このことは、人類がその歴史を積み重ねてきた中で得た経験則だ。
ではなぜ、人間は旅の中で成長するのか?
旅の中でどのように成長するのか?
それを、「第九軍団のワシ」という小説をモデルに見ていきたい。
「第九軍団のワシ」は、イギリスの作家ローズマリ・サトクリフが書いた歴史冒険小説だ。
時はローマ時代、ローマの職業軍人だったマーカスは、イギリスでの戦いによる怪我で片足が不自由に成り、除隊を余儀なくされる。マーカスは、亡くなった父親も軍人で、小さい頃からそれに憧れていたので、生きる目標を見失ってしまう。
そんなとき、父が所属していた第九軍団の軍旗がだいぶ前に消失していたのだが、それがイギリス北部に持ち去られたという情報を耳にする。軍旗は軍団の象徴そのものだ。それが失われたため、第九軍団は今や消滅していた。
そこでマーカスは、目医者に扮してイギリス北部へと旅す
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