アートには、「未来をリードする」という役割がある。それは、アートが「新しいものの見方」を提示するからだ。それを見てインスパイアされた人々が、その「新しいものの見方」に則った何かを作る。そうして、未来が少しずつその「新しいものの見方」の方向性へと進むのだ。

ところで、現代には大きく2つの「豊かな欲望」というものがある。それは、「自由になりたい」と「寂しさを埋めたい」である。

このうち、「自由になりたい」はアートに結びついていない。なぜかというと、この欲望はあらかた満たされているため、必ずしもアートとして表現する必要がないからだ。つまり、「新しいものの見方」を提示する必要がない。

一方、「寂しさを埋めたい」という欲望は満たされていない。そのため、大量のアートを生み出している。それは、寂しさを埋めるための「新しいものの見方」を、人々が欲してやまないからだ。

人々は、その新しいものの見方を得ること