岡本一平は、朝日新聞で漫画記者を始めた頃はやはり美術学校出なだけあって。きっちり整った絵を描いていた。しかし性格もあってか、次第に簡素化、簡略化されていった。もっというと「イイカゲン」になっていった。
ただしそれは、文字通りの「良い加減」でもあった。マンガにとっては余計な情報がそぎ落とされ、多くの人が読みやすく、理解しやすくなっていったのだ。それで、すぐに広範な人気を獲得していった。
そもそも、岡本一平はフーテン気質で、良くも悪くも「芯」がなかった。美術学校時代から後に妻となるかの子との愛情に溺れ、勉強も仕事もそれほど一生懸命ではなかった。
しかし「不真面目」というのではない。子どもの頃から抜群に頭が良かったので、いろんなことを器用にこなせた。それで、なんでも「一生懸命」にやるのがバカらしくなるのだろう。すぐに結論が見えてしまって、忍耐が続かないのだ。
妻のかの子は、その逆であった。情熱的
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