「正解はない」という考え方は、論理的には簡単に論破できる机上の空論に過ぎない。しかし、これを信じ込む人が現代において圧倒的多数なのは、それだけ「机上」に生きている人が多いからだろう。「机上に生きている人」にとっては、空論の方がむしろ実感に近いのである。

では、「机上に生きる」とはどういうことか?
一言で言うならば、「人生をコントロールできると『誤解』していること」だ。自分はこの世界を管理できている――と思い込むことである。

そういう人は、台風や地震などの天災に出くわして初めて、「当たり前だと思っていたことが、実は当たり前ではないと分かった」などと言う。みなさんも、この台詞を何度も聞いたことがあるのではないだろうか。

この、彼らの言う「当たり前」と思っていたことが、まさに「机上の空論」である。そして、多くの現代人は、そうしたことを天災にでも遭わない限り自覚できない。

しかし、現代においても「