世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その72(1,643字)
宮崎駿は『千と千尋の神隠し』の前作である『もののけ姫』を制作しているときから引退をほのめかしていた。それは『もののけ姫』に自分の人生をかけるくらい集中していたからでもあるが、もう一つ大きかったのは『もののけ姫』が若い頃に考えた映画企画の最後だったので、これ以上アイデアは出ないように思えてもいたからだ。
このため『千と千尋の神隠し』以降の作品について、宮崎駿は「何もないところから絞り出すように作った」と言っている。しかし、この「何もないところから絞り出すように作る」ということが、宮崎自身の大きな転機ともなるのである。
『千と千尋の神隠し』は実は企画が二転三転している。『もののけ姫』以降引退をしようという気持ちはおさまり新たな作品こそ作ろうと思ったものの、何を作るかというのはなかなか決まらなかった。いうなれば「生みの苦しみ」を味わっていたのだが、興味深いのはその過程で奇妙な堂々巡りをくり返して
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