ハックルベリーに会いに行く

台獣物語33(2,304字)

2016/09/10 06:00 投稿

  • タグ:
  • 台獣物語
第九章「愛こそすべて」

33

 二学期に入ってからしばらく経って、朽木碧の舞台の稽古が皆生駅近くで始まった。
 テレビ局のリハーサル室を使ったその稽古場に、ぼくとエミ子は学校が終わるとよく遊びに行った。それは、碧と会うことも一つの目的だったが、もう一つには、プロの舞台というものがどのように作られるのか、興味が大きかったからだ。
 ぼくらは、舞台については単に碧の友人というだけで全くの部外者だったが、碧が演出家の人に話をつけてくれたおかげで、自由に見学させてもらえるようになった。碧は、役どころもとても重要なものだったが、演出家の人にもとても気に入られているらしく、そうした話もすぐにつけてくれた。
 それで、大喜びしたのはエミ子だった。なにしろ、彼女はもともと趣味で変装してしまうくらいに芝居のファンで、だから鑑賞するのはもちろん、それが制作される舞台裏にも大きな興味があったのだ。
 そのため、

ここから先は有料になります

ニコニコポイントで購入する

チャンネルに入会して購読する

  • この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。

コメント

コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事

継続入会すると1ヶ月分が無料です。 条件を読む

ハックルベリーに会いに行く

ハックルベリーに会いに行く

月額
¥880  (税込)
このチャンネルの詳細