<マイルCS>◇22日=京都◇G1◇芝1600メートル◇3歳上◇出走18頭
最強マイル王の誕生だ。ライアン・ムーア騎手(32)騎乗の4番人気モーリス(牡4、堀)が中団外から突き抜け、G1連勝で混戦を断ち切った。勝ち時計は1分32秒8。休み明け、外枠をものともせず、史上6頭目の同一年春秋マイルG1制覇を達成した。今後は12月13日に香港シャティン競馬場で行われる香港C(G1、芝2000メートル)、香港マイル(G1、芝1600メートル)の両にらみでG1・3連勝、世界の頂を目指す。
名手の右ムチがうなる。ムーア騎手こん身の鼓舞に、モーリスが即座に反応した。残り300メートル。中団外にいた春のマイル王は堂々とライバルをパスしていく。追いすがるフィエロも、内を突くイスラボニータも、絶好位から33秒1の脚を使われては、なすすべがない。同一年の春秋マイルG1制覇は6頭目。昨年の2着馬に1馬身1/4差をつける完勝で、戦前の混戦ムードは終わってみれば1強だった。
外から一気に伸びたモーリスがマイルCSを制した(撮影・上田博志)
青い瞳が三日月状になる。引き揚げてきたムーア騎手は、出迎えた堀師にそっと笑いかけた。「世界中でG1を取らせてもらっているが、その中のマイルG1でもレベルが高い。今日も18頭のうち、G1ホースが9頭もいた。すごく難しいレースだった」。鉄仮面と称される男の顔に笑みが浮かぶ。ピンク帽8枠での優勝は92年ダイタクヘリオス以来、23年ぶり。16番枠からのスタート直後、すぐ外の先行馬ロゴタイプの後ろにつけ、道中はじっと脚をためた。「返し馬の動きが良く、チャンスだと思った。1000メートルの地点で勝てると思った」。折り合いは完璧。あとは豪腕で17頭を従えるだけだった。
今年5連勝。秋初戦がぶっつけのG1でも、勢いはとどまるところを知らない。堀師は「装鞍所で落ち着いているのを見て、これなら大丈夫だと思った。スタートは今回、初めて上手に出た。安心して見ていられた」と話した。連休の渋滞により、輸送には通常より3時間以上も要す誤算があった。だが、発表馬体重は前走比マイナス2キロ。「関西圏だからといって、体重が減らなかった。その辺が馬の成長」。以前のように、ゲート内でチャカつくことも皆無。モーリス自身の精神的成長が、課題をすべてクリアにした。
国内制圧を達成し、視野は世界に広がった。次走には招待を受けている香港C、香港マイルが有力視される。「勝ったことに感激している。今後は馬の状態を見てオーナーと相談したい。今日のレースぶりでは距離延長に課題はないと思う」と堀師は語った。マイル、2000メートルの“2階級制覇”にも意欲満々。次は世界が驚く番だ。【松田直樹】
<マイルCSアラカルト>
★春秋マイル王 同じ年の安田記念とマイルCS勝利は07年ダイワメジャー以来8年ぶり6頭目。同一年ではないが両G1を制した馬も入れると10頭目。
★中169日 レース史上最も長い間隔での勝利。これまでは88年サッカーボーイの中92日が最長。過去に安田記念からマイルCSに直行した馬は7頭いたが98年オースミタイクーンと07年エイシンドーバーの7着が最高だった。安田記念を勝ってマイルCSに直行した馬も初めて。
★G1馬9頭の出走 グレード制導入の84年以降のJRA芝G1では14年有馬記念の10頭に次ぐ記録。
★メジロ血統 母、母母が「メジロ」の馬のG1勝利はメジロデュレン、メジロマックイーン、メジロドーベル、メジロファラオの4頭。モーリスが5頭目。
★堀厩舎 マイルCSは延べ13頭目で初優勝。今年のG1は4勝目で、池江厩舎と並びトップタイ。
★吉田和美オーナー マイルCSは初で通算は春の安田記念以来の6勝目。重賞は20勝目。
最強マイル王の誕生だ。ライアン・ムーア騎手(32)騎乗の4番人気モーリス(牡4、堀)が中団外から突き抜け、G1連勝で混戦を断ち切った。勝ち時計は1分32秒8。休み明け、外枠をものともせず、史上6頭目の同一年春秋マイルG1制覇を達成した。今後は12月13日に香港シャティン競馬場で行われる香港C(G1、芝2000メートル)、香港マイル(G1、芝1600メートル)の両にらみでG1・3連勝、世界の頂を目指す。
名手の右ムチがうなる。ムーア騎手こん身の鼓舞に、モーリスが即座に反応した。残り300メートル。中団外にいた春のマイル王は堂々とライバルをパスしていく。追いすがるフィエロも、内を突くイスラボニータも、絶好位から33秒1の脚を使われては、なすすべがない。同一年の春秋マイルG1制覇は6頭目。昨年の2着馬に1馬身1/4差をつける完勝で、戦前の混戦ムードは終わってみれば1強だった。
外から一気に伸びたモーリスがマイルCSを制した(撮影・上田博志)
青い瞳が三日月状になる。引き揚げてきたムーア騎手は、出迎えた堀師にそっと笑いかけた。「世界中でG1を取らせてもらっているが、その中のマイルG1でもレベルが高い。今日も18頭のうち、G1ホースが9頭もいた。すごく難しいレースだった」。鉄仮面と称される男の顔に笑みが浮かぶ。ピンク帽8枠での優勝は92年ダイタクヘリオス以来、23年ぶり。16番枠からのスタート直後、すぐ外の先行馬ロゴタイプの後ろにつけ、道中はじっと脚をためた。「返し馬の動きが良く、チャンスだと思った。1000メートルの地点で勝てると思った」。折り合いは完璧。あとは豪腕で17頭を従えるだけだった。
今年5連勝。秋初戦がぶっつけのG1でも、勢いはとどまるところを知らない。堀師は「装鞍所で落ち着いているのを見て、これなら大丈夫だと思った。スタートは今回、初めて上手に出た。安心して見ていられた」と話した。連休の渋滞により、輸送には通常より3時間以上も要す誤算があった。だが、発表馬体重は前走比マイナス2キロ。「関西圏だからといって、体重が減らなかった。その辺が馬の成長」。以前のように、ゲート内でチャカつくことも皆無。モーリス自身の精神的成長が、課題をすべてクリアにした。
国内制圧を達成し、視野は世界に広がった。次走には招待を受けている香港C、香港マイルが有力視される。「勝ったことに感激している。今後は馬の状態を見てオーナーと相談したい。今日のレースぶりでは距離延長に課題はないと思う」と堀師は語った。マイル、2000メートルの“2階級制覇”にも意欲満々。次は世界が驚く番だ。【松田直樹】
<マイルCSアラカルト>
★春秋マイル王 同じ年の安田記念とマイルCS勝利は07年ダイワメジャー以来8年ぶり6頭目。同一年ではないが両G1を制した馬も入れると10頭目。
★中169日 レース史上最も長い間隔での勝利。これまでは88年サッカーボーイの中92日が最長。過去に安田記念からマイルCSに直行した馬は7頭いたが98年オースミタイクーンと07年エイシンドーバーの7着が最高だった。安田記念を勝ってマイルCSに直行した馬も初めて。
★G1馬9頭の出走 グレード制導入の84年以降のJRA芝G1では14年有馬記念の10頭に次ぐ記録。
★メジロ血統 母、母母が「メジロ」の馬のG1勝利はメジロデュレン、メジロマックイーン、メジロドーベル、メジロファラオの4頭。モーリスが5頭目。
★堀厩舎 マイルCSは延べ13頭目で初優勝。今年のG1は4勝目で、池江厩舎と並びトップタイ。
★吉田和美オーナー マイルCSは初で通算は春の安田記念以来の6勝目。重賞は20勝目。
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