<エリザベス女王杯>◇15日=京都◇G1◇芝2200メートル◇3歳上牝◇出走18頭

 6番人気マリアライト(牝4、久保田)が初のG1レースで重賞初勝利を飾った。直線早めの抜け出しから、同世代のオークス馬ヌーヴォレコルトの追い上げを首差封じた。勝ちタイムは2分14秒9。心肺機能に体が追いつき、蛯名正義騎手(46)の強気騎乗に応えてみせた。同騎手は武豊騎手以来2人目の牝馬限定JRA・G1完全制覇。久保田貴士師(48)も初G1となった。

dd4a059ced63c0275e812e0b6bb1bfa1af5062a3
マリアライト(左)が2、3着馬の猛追をしのぎエリザベス女王杯に優勝する

 直線入り口にさしかかったマリアライトの蛯名騎手は早くも手を動かしていた。「後ろに強い馬もいる。待っていては負ける」。ゴールまで200メートルを残して先頭へ。しかしその直後、外からヌーヴォレコルトが迫る。「鼻面が見えた。何とか・・・と」という鞍上の思いに応える。伸びてくるライバル。しかし同じだけ、マリアも伸びた。出走馬最小の430キロの体をちぎれんばかりにはじけさせ、首差しのいでフィニッシュ。鞍上は2度左手を掲げ、喜びを爆発させた。

 強気な戦法をとれたのは、勝算があったからこそだ。快勝した昨年1月のデビュー戦では、ゴール直後さらにコースを1周したほどで、当時から心肺機能は際立っていた。担当の伊坂助手は「間違いなくF1のエンジンだと感じた」と振り返る。3歳時は使えば体が減り、G1出走すらかなわなかった。「ならば、来年のエリザベス女王杯こそは・・・と。厩舎の人間は、みんな思っていたと思います」。

 今春、連戦にも耐えられるようになり始めた。夏の休養を挟んだオールカマー前には「牧場で食べに食べて、帰厩時は465キロくらいまで増えていた」と同助手は驚く。ようやく思い通りの調教が積めるようになり、迎えた初舞台だった。「体が追いついたら、どれほどの馬になるんだろう・・・。それをずっと思って、やってきましたから」。その答えが、この日出た。「まだ、うそじゃないかと・・・」。同世代のオークス馬をしのいでの栄冠。牝馬クラシック不出走の無念を晴らしてみせた。

 蛯名騎手は「ずっと我慢して使ってきた馬。まだまだ、これからです」と、さらなる高みへ気を引き締めた。管理馬初のG1勝利となった久保田師も「この馬にとっても待ち望んでいた。これからも期待に応えてくれると思います」と力強い。今後は未定だが4歳秋にして、キャリアはわずか13戦。マリアの女王道は、これからが始まりだ。【柏山自夢】