<アルゼンチン共和国杯>◇8日=東京◇G2◇芝2500メートル◇3歳上◇出走18頭

 吉田隼人騎手(31)騎乗のゴールドアクター(牡4、中川)がゴール前の接戦を制し、重賞初制覇を飾った。08年スクリーンヒーローとの父子制覇を果たした。勝ちタイムは2分34秒0。管理する中川公成師(53)も重賞初勝利となった。

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アルゼンチン共和国杯を制するゴールドアクター。鞍上の吉田隼人騎手はガッツポーズ

 雨中の激戦で名コンビぶりを見せつけた。道中は大きな1つの馬群で進み、蹄跡の少ない馬場を求め、最後の直線で各馬大きく広がる展開。3番手の絶好位を進んでいたゴールドアクターの漆黒の馬体が力強く伸びてくる。「頑張ってくれ」。吉田隼騎手のげきに応え、完全に抜け出していたメイショウカドマツをゴール寸前でつかまえた。「4コーナーを回るとき、前の馬を目標にかわせればと思った。並んでからしぶとかったが、いい脚を使ってくれました」と鞍上はニッコリ。コンビを組んで6戦5勝。唯一の敗戦は昨年の菊花賞3着という最高の共演者とともに、ゴールドアクターが1番人気に見事応えてみせた。

 昨年の菊花賞後は休養で心身の成長を図り、7月の函館から始動。中川師の思惑通りに青鹿毛の馬体はたくましくなった。もの静かなトレーナーが「力が入った」とゴール前の心境を明かし、「行き脚もあって、折り合いもつくけど、なかなか勝ち切るまではできなかった馬。やっとそういう感じになってきた」と確かな手応えを口にした。重馬場で好位から3ハロン34秒1の脚を繰り出せば、後続も届くはずがなかった。

 臨戦過程もそうだが、4歳秋の本格化には父スクリーンヒーローの姿が重なる。父は08年オクトーバーS2着から53キロでアルゼンチン共和国杯を勝ち、続くジャパンCで頂点に立った。アクターは56キロを背負い、重賞ウイナー7頭を撃破。次走は未定だが、G1のタイトルが本格的に視界に入ってきた。吉田隼騎手は「順調にいってほしい」と話し、居城要オーナーは「すべて中川先生に決めてもらいます」とニヤリ。ジャパンC参戦か、暮れの有馬記念か…。いずれにせよ、古馬王道路線の勢力図を塗り替える可能性を秘めた主役候補が誕生した。【木南友輔】