函館記念(G3、芝2000メートル、19日)で、デビュー2年目の井上敏樹騎手(20=本間)がサイモントルナーレ(牡9、田中清)で重賞初騎乗を果たす。今夏の函館では先輩騎手にもまれながら、ここまで2勝。存在感を増している。
調教を終え、関係者に感触を伝える井上騎手(撮影・村野早祐)
またひとつステップを上がる。穴メーカーとして人気上昇中の井上は、函館記念で初の重賞騎乗依頼を受けた。松若、小崎、石川ら腕達者ぞろいと評判の競馬学校第30期の卒業生。「同期の中で重賞に乗ってなかったのは僕だけ。意識しないわけないですよ」。パートナーのサイモントルナーレには火、水と2日続けてまたがった。「9歳とは思えないくらい元気ですね。僕は初重賞ですが、馬は経験が豊富なので教えてもらいます」とチャンスに目を輝かせる。
昨年に続いて今年の夏も東西から実力派が集まる北海道を主戦場とする。「本間先生からは、乗る馬を自分で調教して育てろ。それがレースにつながると言われています。本当に勉強になりますね」。教えを忠実に守り、多い日は12頭の調教に騎乗。6月末の調教中に落馬し、顔を踏まれて耳を5針縫うなどアクシデントもあったが、日々の調教が成長の糧となっている。
当面の目標は31勝目に到達すること。今春のスイートピーSでは15番人気のトーセンナチュラルを2着に導き、オークスの出走権を獲得した。だが、G1騎乗可能な31勝に達してないため、腕うんぬんの前に本番(結果的には回避)に乗る権利はなかった。「なるべく早くG1の舞台に立てる資格が欲しいと思いました」と振り返る。今週18日の湯浜特別は、そのナチュラルの復帰戦。「スイートピーSは最後にフォームがバラバラになった。もう少し落ち着いて乗れていれば勝たせてあげられたかも。小回りにも対応してくれると思います」。初重賞騎乗の前日。この馬も1勝上積みを狙いたい1頭だ。【高木一成】
◆井上敏樹(いのうえ・としき)1994年(平6)12月5日、埼玉県生まれ。中学2年から乗馬を始める。騎手になりたいと決断したのが微妙に遅く、願書提出が間に合わなかったため1年間普通の高校生活を送った。昨年3月に騎手デビュー。14年4月13日中山8Rのバンクシーで初勝利を挙げた。今夏の函館では現在2勝。通算19勝。6月20日7Rのオルフィークは1着同着で、これが1番人気での初勝利。4人兄弟の次男。平成仮面ライダーシリーズなどを担当した同姓同名の脚本家・井上敏樹氏より有名になりたいというのも夢。
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