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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「宇宙ビジネス大打撃? 通信衛星より安上がりなイオン推進ドローンの可能性」

2018/12/10 06:00 投稿

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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/12/10
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今回は、ニコ生ゼミ12月2日(#259)から、ハイライトをお届けいたします。

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 宇宙ビジネス大打撃? 通信衛星より安上がりなイオン推進ドローンの可能性


 これも一見、地味なニュースです。

 “イオン風”ですね。

 「イオンのような」という意味ではありません。

 「“イオン風” を使うエンジン要らずの小型機、アメリカのMITが試験飛行」というニュースです。

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・・・

 マサチューセッツ工科大学の技術者チームが21日、学校内の体育館で、エンジンや化石燃料ではなく、イオンの推力を使ってほぼ無音で飛ぶ小型機の試験飛行に初めて成功した。

 試験機は重さ2,5キロ、幅は5メートル。

 数年以内に、ほぼ無音の小型無人機(ドローン)として実用化する可能性がある。

 試験飛行は11回行われており、2メートル弱の高さで約60メートルの飛行に成功している。

・・・

 これ自体は、実は枯れた技術なんですね。

 “イオノクラフト”、“イオンクラフト” って聞いたことありませんか?


 だいたい中学校とか高校の、物理研とか学園祭とかでやってるんですけどもですね。

 アルミホイルで作った、こういう輪っかみたいなモノを用意して、そこの中に電極代わりの針金が入ってて、電気を流すとソイツがふ~わふ~わって、空飛ぶ円盤みたいに浮いてるってやつなんですけども。


 まぁ、この “イオン推進” 自体は、『2001年宇宙の旅』のディスカバリー号の推進エンジンもそうなので、わりと枯れた技術というか、昔からある技術なんですね。

 で、その推進効率がどんどん上がって来ていて、この微弱なイオン推進の力だけで推進力が得られて、飛行機が飛べるようになったっていうのが、今回の実験の大元です。


 それで、これだけ見ても、何で僕がここでワザワザ大きく取り上げるか分からないと思うんですけども。

 これね、実は今の宇宙開発ブームに大打撃なんですよ。


 最近、民間の宇宙開発がドンドン盛り上がって来てるんですけども、“有人の宇宙旅行” とか “観光旅行” って思ってやっている所はほとんど無いんですね。

 あれは何なのかっていうと、要するに、みんな思ってるのは「いかに安く衛星を打ち上げることが出来るのか?」なんですよ。


 通信衛星っていうのは、全部 部品に寿命がありますし。

 あと宇宙空間のバン・アレン帯の近くとか、バン・アレン帯の外側とか、静止軌道とかを飛んでいる衛星は、実は寿命が短いわけですよね。

 何年かで寿命が来ちゃうわけなんですけどもですね。


 衛星っていうのは故障もしますし。

 ハッブル望遠鏡も寿命を終えました。

 あと軌道のズレも無視できると思ってたんですけども、だんだんズレて来ると静止衛星として利用が出来なくて使えなくなってくると。


 それよりも、実はこういう技術を使って、無人機を出来るだけものすごく軽く作って、その中に通信衛星と同じような部品を、またはWi-Fiの基地局のメチャクチャ軽くしたヤツを載せて、世界中の空を無数に飛ばす方がよっぽど安く出来るんですよ。

 で、その「よっぽど安く」っていうのが大事なんです。


 なんで民間が宇宙開発をやってるのかっていうと、「どれだけ安く通信衛星を飛ばせるか?」だと思ってたんですけども、もう通信衛星の必要は無いじゃんと。

 だってイオンクラフトで、いわゆる羽の上にソーラーバッテリーを無数に並べて、それを軽くしてですね、無人で何十年も飛べるような飛行機を開発しちゃったら、その中にWi-Fi局を積んで飛ばしたら、それを無数に飛ばす方がよっぽど安いわけですよね。


 で、この飛行機、「まだまだ小さいじゃないか」と思うでしょうけども、飛行機っていうのは、小さく作る方が難しいんですよ。


 “ゼロ戦” って飛行機は飛びますよね。

 じゃあゼロ戦のラジコン機を1/16のスケールで精密に作ったら飛ぶのかっていうと、飛ばないんですよ。

 飛ばなくて、落ちやすい。

 実は飛行機っていうのは、強度とかもあるんでしょうけども、実際は大きく作れば作るほど飛びやすいようなものなんですね。


 僕は今は仮に、これをイオノクラフト・ドローンと呼びますけども。

 30センチぐらいの、イオン推進で動く簡単な複葉機のような壊れにくいドローンの無人機を作って、そこにWi-Fi基地局を付けて飛ばすと。

 それで動力は翼の上の太陽電池で、まぁだいたい高度5000メートルくらいを飛行させる。


 何でかっていうと、高度3000メートルぐらいになってくると、もうほとんど雲が無いわけなんですよ。

 そうすると太陽電池のソーラーパネルの効率が最大化されるわけですね。

 それを数キロ間隔に一機ずつ飛ばすと。


 ま、そこでずーっと周回して飛ばせばいいわけですね。

 雲の無い上空では、太陽電池はドローンとしては理想のエネルギー源でしょうし。


 ドローンは故障警報があるまで、もう同じ場所をずーっと周回して飛ばしていればいいだけなんですよ。

 それで故障警報があったら、指定の場所に着陸させて、修理して、また飛び立たせると。


 多分、地球全域をカバーするのに、10億機もいらないと思います。

 コストが安いものを10億機 飛ばすっていうのは、日本ぐらいの経済規模がある国だったら簡単に出来ちゃうと思うんです。


 気流に流されるし、もちろん台風とかいろんな影響があるんでしょうけども。

 ただ一ヶ所のドローンが、たとえ100キロ、500キロ飛ばされて移動したとしても、それは別の所のドローンがそこにやって来るわけですからですね。

 地球全域で、だいたい、ほぼ均等にドローンが配置されてりゃいいんですよ。


 だから台風みたいなエラい事があったら、その数時間のうちはまだ通信衛星を使うでしょうけども。

 その台風が止んだら、それぞれのドローンはGPSを持ってるでしょうから、やがて風上のドローンから順番に再配置をして、地球全域を数キロ四方ごとにポンポンと周回で飛ばすっていうのは可能だとは思います。


 そうなってくると、もう静止衛星の目的っていうのは測位情報ぐらいになる。

 いわゆる「自分が今どこにいるのか?」っていう位置情報ぐらいになってくるんですけども。

 これも、数十個、多く見積もっても数百個しかないような通信衛星を使ってやるよりは、おそらく常に地上と通信をしているドローンの方が、GPSの座標としては分かりやすい。


 たとえば日本中や世界中でポイントとなるような、いわゆる兵庫県の明石とか、イギリスのグリニッジ天文台みたいな場所と通信をして、ドローンが自分の絶対位置というのを常に分かっていれば、おそらく そのドローンら複数と通信を取った方が、数センチとか数ミリ単位の自分の座標が分かるというふうになってくると思います。


 なので通信衛星を打ち上げるよりも、この無限に飛べる通信ドローンっていうのが実用化されれば、圧倒的に安上がりになってですね。

 「化石燃料を大量に使って衛星を打ち上げて、壊れたら諦める」っていう現在の宇宙ビジネスは、あっという間に廃れると思います。


 だから、「これからは宇宙ビジネスだ!」と思っている人は、まだこの可能性にあまり気が付いてないと思うんですね。

 「それは、もっと安くて簡単な技術で取り換えが効く」っていう発想になってないんですね。


 多分、近未来の夕焼けは、普段は見えない数キロごとに空中に浮いている無人のドローンが、夕焼けの時だけパーッと光ってですね、空全体にドローンの反射する光の帯がブワーッと東から西へ流れていって、日が沈むのが見えると。

 なんか、そういう美しい眺めになるんじゃないかなと思います。


 僕は「宇宙ビジネスは、これからは絶対にいける!」と思ってました。

 けども、この技術が出来てきたおかげで、ちょっと賭け金を下げようかなと思います。


 自分自身は「宇宙ビジネスには全財産の1/3ぐらいは賭けてもいいんじゃないかな」と思ってたんですけども、「ちょっと待てよ」と。

 「1/3を半々に分けて、半分をイオン推進ドローンにしといた方がいいかな」というふうに思いますね(笑)。


 まぁ、そういうのを「うざい」と感じるかどうかなんですけどねぇ。

 どうなんでしょうね。

 電信柱よりは気にならないし、新たな都市風景というか、地球風景になるんじゃないかなっていうふうに思います。


 じゃあそんなドローンが故障で、故障警報が出る間もなく落ちてきた場合ですね。


 僕が考えている故障警報っていうのは、そういう近未来のドローンっていうのは、壊れる部品は あらかじめ見当が付いていて、それが壊れそうになると警報が出ると。

 つまり、今の通信衛星がそうですよね。

 「あと1年で、もう使えなくなります」って警報が先に出るんですけども。

 そういう警報が出たものは、勝手に着陸してきてどんどん修理されると思ってるんですけども。

 
 そんな故障警報も間に合わなくて、たとえば台風で吹き飛ばされて、他のドローンと衝突したみたいな事ですよね。

 それで落ちてくる場合ですね、墜落ヶ所をそのドローンが選べる時ですね。


 たとえばドローンは自分が落ちていく時に、墜落箇所に、幼稚園と老人ホームと二つあった場合。

 わりと巨大なドローンです。

 30メートルぐらいの、ある程度の重さのドローンがバーッと落ちてくる時に、そのドローンの中のAIが「このまま墜落すると、地面に落ちる」と。

 そして「まだ舵は効くけど、老人ホームに落ちるか、幼稚園に落ちるか選べる」と。

 そんな時に、そのAIは幼稚園と老人ホームのどちらを選ぶべきかですね。

 落ちた時に、それを選んだドローンに責任能力があるのか、問えるのか、ですね。


 それとも作った人間・メーカーが責任を持つのか。

 それとも、それを運用している会社に、それを実際に買ってドローンを配置した会社に責任があるのか。 

 それが次の話題です。


 日経新聞の「AIの判断、企業に説明責任 ルール作りへ政府7原則」っていう、新たな “ロボット3原則” のようなものが日本政府によって提案されたという話になりますけども。

 ここから先は有料放送の方でやろうと思います(笑)。


 ではAIに法整備っていうのはどうなっているのか?

 実はこの日本のAI7原則っていうのは、僕は自殺行為だと思ってるんですけども、そっちのほうを有料放送でゆっくり話そうと思います。
 
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コメント

30m x 5m の翼をすべて太陽光パネルで埋めたとして、パネル表面に降り注ぐ太陽光エネルギーが約150kW。パネルの変換効率20%だとすれば発電量は30kW程度。夜は発電できないし、動力以外にも電力が必要なので動力に使えるのは10kW程度だと思われる。

一方で、60kg程度の物体を飛ばすのに100kWくらい必要(http://jnaudin.free.fr/lifters/data/index.htm)(消費電力は重さに比例すると仮定)という2003年の報告があるみたいなので、幅30mの飛行機+太陽電池の重さを6kg程度にまで抑える必要がある模様。
今回話題になっている機体は5mの幅で2.3kgらしいので、あと80%くらい軽量化or出力アップできれば(バッテリーの問題をクリアする前提で)現実的な話になる。

いちばん問題なのが夜間の飛行で、夜間電力をバッテリーで賄おうとすると、必要電力量は 12時間 x 15kW = 180kWh である一方で、リチウムイオン電池の重量エネルギー密度は 200Wh/kg なので 1000kgのバッテリーを積む必要があるw

なのでまあ、昼間に高度を稼いで夜にグライダー飛行する方が現実的ですね。
というか、ここまで計算して、「もはや飛行船でいいのでは?」という気がしてきた(Facebook方式)

基地局に使うなら高速飛行する必要ないですからね……

あ、他の人も指摘してますが、GPS代わりに使うのは絶対にありえません。
人工衛星の軌道が厳密に計算できるから複数の人工衛星の信号の到達時刻の差から現在位置が割り出せるわけで、それ単体で厳密な位置が分からないドローンから信号を受信したところで何も使えませんし、厳密な位置が分かるのはGPSの信号を受信しているおかげです。

No.12 72ヶ月前

夜間の電源供給なんかは、地上からマイクロ波送電できないもんかね?
地上からエネルギー供給……クレイドル……?

No.13 72ヶ月前

なんか闘争を求めている人多くないですか?
やっぱりフロムは新作を作るべきなんですね

No.14 72ヶ月前
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