この記事は「RIZINのマッチメイク」を語ったDropkickニコ生配信を編集・再構成したものです(語り:ジャン斉藤)


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「プロレスとは興行である」とはプロレスの本質を突いたアントニオ猪木のけだし名言ですが、8月のRIZIN愛知大会で実現する堀口恭司vs朝倉海も「興行」のあり方を考えたくなるカードですね。

猪木さんのこの言葉は「興行を盛り上げるためなら何をやってもかまわない」というわけではなく、そこには仕掛けの説得力が当然求められます。猪木さんって「興行のプロ」に見えますが、何度も失敗している「しくじり先生」ですからね。なにしろ怒った観客が暴動を起こして会場に放火するんですよ? 「しくじり先生」に呼ばれたらエピソードが溢れすぎて1時間2時間じゃ済まないですよ!(笑)。

さて、今回の堀口vs朝倉海には「朝倉海にはまだ早いよ!」「バンタム級四天王より先なんて!」という声が聞こえてますが、堀口恭司という存在が突き抜けてしまっているので、そう言いたくなる気持ちはわかります。ただ、仮にRIZINバンタム級ランキングがあるとすれば朝倉海選手は1位か2位なんですよね。あの階級で堀口選手の次に勝利数を挙げているのは朝倉選手。四天王の石渡伸太郎選手、扇久保博正選手は堀口選手に2度負けていて、元谷友貴選手も1度負けている。未対戦の佐々木憂流迦選手はRIZINで1勝しかしてないし、ケガで朝倉海戦をキャンセル。堀口選手への挑戦権を巡って四天王同士がぶつかり合う必要はあったんです。

今回の愛知大会で堀口選手の対戦相手は3人の候補に絞られていたんじゃないかと考えられます。朝倉海、水垣偉弥、DEEPバンタム級王者ビクター・ヘンリーのいずれか。となると、この中でもっとも露出していて、愛知が地元の朝倉選手を選択するのは興行として自然なことなのかもしれません。それにいまの朝倉海選手を一番高く売れるカードではありますよね。チケットも売れる。

そういえばRIZINがプレイガイドと提携してやってる「選手応援シート」ってヤバイですよね。だって一般人気が実数で計られちゃうわけじゃないですか。手売り実績どころの騒ぎじゃない。昔デンジャー松永光弘さんが「会場人気」と「チケット人気」は実際は異なると言いましたけど、現代のウェブ社会でいえば、話題を集めてるけど券売には繋がなっていない……なんてことも可視化されるわけですよね。これ、他の団体も導入したら大変なことになるぞ!(長州力風)。

商品価値が高まっている朝倉選手に初参戦の外国人ファイターなんかを当てることは、商品価値のリスクが高まるわけです。朝倉選手に勝ったその選手がそのまま価値を引き継いでくれればいいんですが、そうはうまくいかないケースもある。だから初参戦の外国人ファイターって噛ませ犬タイプが多かったりするじゃないですか。最近のMMAは弱い選手を連れてくるほうが難しくなってますが、そうやってファイターの価値を守ることばかりに徹底しているとファンに見透かされる。どうやって価値を高めるか、どこで高く売るか。その見極めはセンスが問われるということですよね。
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