プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回は年末年始のプロレス界振り返りす!


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――
今日は小佐野さんに年末年始のプロレスについてお伺いします!ここ最近のプロレス界は年末年始の興行が多いから、年の瀬を感じることはないんじゃないですか?

小佐野 クリスマスの頃から今日まで全部繋がってるから、本当に忙しかった。解説仕事だけでいえば、28日にDDT両国、29日は東京女子・後楽園ホール、大晦日は全日本プロレス・代々木第二、2日が全日本・後楽園、3日がDDT後楽園、4日が東京女子・後楽園。3日の全日本・後楽園は後入れの解説があるんだけどね。解説はしていないけど、当然1日のノア・日本武道館、4&5日の新日本東京ドームも行ったり。

――
解説仕事ラッシュですね!

小佐野 調べ物が大変だよね。選手それぞれのストーリーを追わなきゃいけないし、学生時代の勉強を思い出すよ(笑)。解説者となると視聴者が楽しめることを喋らなきゃいけないけど、あんまり辛口もよくないし、すべて褒めるのもおかしい。やっぱり褒めらんないものは褒めらんないから。

――
絶妙なバランスが求められるわけですね。本日1月8日は東京スポーツ制定2024プロレス大賞の授賞式もありました。各受賞者自体は12月に発表されましたが、小佐野さんはプロレス大賞の審査員としてどんな感想がありますか?

小佐野
 今回はコロナも収まったので5年ぶりに授賞式ができたんだけど、レスラーや関係者たちが一同に介することができて選手たちがすごい嬉しそうだったし、良い光景でしたよ。今回の選考で一番大変になると思ったのはMVPかなあ。「これだ!」っていうレスラーがなかなかいない中で、ザック・セイバーJr.が選ばれたんだけれども……それこそ全日本の斉藤ブラザーズがMVPを獲るような勢いもあったでしょ。

――
コンビがプロレス大賞はなかなか面白いです!

小佐野
 そこが議論になって「じゃあ個別に活躍した場合はどうするの?」と。たとえば今後、斉藤ジュンと斉藤レイがそれぞれシングルプレイヤーとして活躍したときの評価はどうなるのか。

――そのときも「斉藤ブラザーズ」として評価するのか?と。

小佐野
 そうそう。あるいは今回この2人を認めたら「これからは他のコンビやユニットも認めちゃうの?」と。たとえばロス・インゴ(ベルナブレス・デ・ハポン)をプロレス大賞に選ぶこともあるのかという話にもなるし、やはりMVPはあくまでも個人賞であるべきだろう、と。

――
そんな議論が起こるくらいMVPの選考が難しい年だったのかもしれないですね。

小佐野
 ちなみに今年のプロレス大賞はMVPとベストバウト以外は私の思ったとおりの結果にはなったから。だから満足かな。どの選考委員がどのレスラーに入れたのかは言っちゃいけないけど、自分が入れたものはべつに言っていいわけだから。あとはベストバウトも難しかったかもしれない。

――
ベストバウトは日本全国でいい試合をやってるから、そこで差をつけるのは難しいですね。

小佐野
 ぶっちゃけたことをいうと、すべての団体の試合を見ることは不可能なわけだから。

――「全試合、見てないだろ!」と鬼の首を取ったごとく騒ぐ人がいますけど、あたりまえですよね(笑)。

小佐野
 ベストバウトはどれだけ多くの人に届いているか。そうじゃないと評価はできないよね。どんなにすっごい試合をやっても、10人しか見てない試合はベストバウトとしては選びづらい。そこがまた難しいところで、ファンからすれば、自分が目撃した地方のシングルマッチがすごい試合の場合もあるから。あともうどうしても好みの問題も出てきちゃうから。

――
プロレス大賞って、その年を表すレスラーや試合が選ばれるべきものではありますけど、ファンの推しも分かれてますから、全員一致で選ぶのはなかなか難しいです。

小佐野
 たとえば男子と女子を一緒にしていいのかって話もあるし。今年はボブ・サップ以来の外国人レスラーのMVP受賞になったわけだけど。昔の選考基準と違ってきている。昔はあのスタン・ハンセンですらMVPは獲ってないからね。

――
ああ、そうかあ。スタン・ハンセンの活躍ぶりでもMVPはなかった。

小佐野
 たとえばザ・ファンクス(ドリー&テリー)やマスカラス・ブラザーズもタッグ部門を獲ってないからね。

――
プロレス大賞のあり方も時代によって変わってるわけですね。

小佐野
 私の場合、選考委員から何年か抜けてた期間があるんだけど、そのあいだにも変わってるわけだし。
――桜庭和志がグレイシーハンターとしての活躍から、MVPに選ばれたときは「桜庭和志はプロレスラーなのか」という議論になりましたね。

小佐野
 だからいつも「これはどうなんだ?」と騒ぎになる。でも、今回の2024年度は例年ほど、ファンの人たちが「冗談じゃねえや!」みたいな感想にならなかった印象を受けたんだけど。

――
ボクもそう思います。妥当すぎて文句が言えない(笑)。

小佐野
 今回のやつで文句を言われても困るんだけどね(笑)。

――
こういうのって文句を言って楽しみたいところもありますよね。毎年NHK紅白歌合戦に文句を言う人っているじゃないですか。それに近いところがあるのかなと。

小佐野
 なんだかんだツッコミたいわけだよね。プロレス大賞の結果をいつも私がXで発表するでしょ。朝5時からけっこうな反響があるから、やっぱりみんな注目してるんだけど、今年は例年と比べてあんまり文句が飛んでこなかったかなあ。もう決まったものだから、私に文句を言われてもしょうがないんだけどね(笑)。

――
プロレス大賞は毎年「忖度してるんじゃないか」と言われがちですよね。

小佐野
 みんなが「忖度、忖度」って言うけど、なんで忖度しなきゃいけないんだろう。忖度する必要なんてどこにもないんだよ。団体に対して「投票しますから、取材させてください」なんてお願いするわけじゃないし。

――
「ウチに投票しなかったら取材させないぞ!」なんてプレッシャーがあるわけでもないし。

小佐野
 いまどき取材拒否なんてないよ。

――
プロレス大賞が納得いかないから「取材拒否だ!」って笑いますよ(笑)。2024年のプロレス大賞も新日本プロレスが強かったんですが、その新日本は1月4&5日と東京ドーム2連戦でした。

小佐野
 観客動員のことがどうしても言われちゃってるけど。1日目が2万4102人、2日目が1万6300人。この数字でいえば、蔵前国技館のアントニオ猪木vsストロン小林は16800人の超満員の発表だったんだよね。まあ昔の主催者発表はけっこういい加減だったんだけど(笑)。

――
いまそんな数字を発表したら消防庁から怒られますね(笑)。

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