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RIZINバンタム級王者・井上直樹インタビューです!防衛戦からUFCまで12000字です(聞き手/松下ミワ)


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――
昨日、買っておいたRIZINウエハースを食べようと思って開けたら、なんと井上直樹選手のカードだったんですよ、ほら(カードを見せながら)!

井上 あ、そうなんですか? でもウエハースって売ってました?

――
今回はコンビニなんかでも、けっこう見かけましたね。

井上
 たしかに。自分も『サミット(関東圏にあるスーパーマーケット)』や『ドン・キホーテ』に売ってるの見ました。というか、ボクら選手にはRIZINから発売前に3箱ぐらい送られてきたんですけど。

――
YouTubeの企画で何個か開けてましたよね?

井上 1箱20個入りだったんですけど、最終的に3箱全部開けて自分のカードは2枚しか出なかったです。

――
全36種類なので、まあ妥当な気が(笑)。というか、井上選手って『サミット』とか行かれるんですね。

井上
 もちろんですよ! 自分のご飯を買いによく行くのは『サミット』か『まいばすけっと(同じくスーパーマーケット)』か。逆に行かないですか?

――
こっちは庶民なのでめっちゃ行きますけど、井上選手も行くんだなって(笑)。

井上
 そりゃ、行きますよ。まあ、料理も本当に簡単なものしかつくらないですけど。

――横浜での一人暮らしが続いているわけですね。それにしても、アメリカから戻ってきてもう長いですよね?

井上
 コロナの緊急事態宣言が出たあとぐらいに帰国したので、戻ってきたのは2020年ですか。というか、「井上直樹って、ずっと日本にいるよな」ってなってますよねえ(苦笑)。

――
なんとなく、コロナが落ち着いたらすぐアメリカに戻られるのかなと思っていたので。

井上
 でも、こっちのほうが居心地がよかったんです。やっぱりいろいろ考えちゃうと日本のほうがいいのかなと思ってきちゃって。病院にしても日本のほうが行きやすいし、アメリカだとよけいにお金かかりますし。たとえば、インフルエンザが最近流行ってますけど、アメリカで緊急で病院に行ったとしたら何十万円とかかかっちゃうので。

――
アメリカの保険事情は大変そうですね……。

井上
 そういう金銭面を考えると、日本のほうが気軽に接骨院とかにも通えますしね。

――
接骨院も向こうではけっこうお金かかるんですか?

井上
 アメリカでも針とかやってもらってたんですけど、1回100ドルくらい取られるんで。いまだと1ドル160円とかになっちゃうじゃないですか。なので、日本円だと1万6000円とか。

――
そんなに! ちなみに、やっぱりお正月も日本のほうがいいです?

井上
 今回も実家に帰ったんですけど、いやー、過ごしやすい。なんか静かでいいなーって。姉(魅津希)は村田夏南子ちゃんと一緒に温泉旅行に行ってたのでいなかったんですけど。

――
その地元で朝倉海選手にばったり会ったことをXでポストされてましたよね?

井上
 そうなんですよ。

――
むしろ、ウエハースで自分のカードを引くより凄い確率なんじゃないかという(笑)。

井上
 自分がちょうど豊橋に帰ったときに、朝倉海選手が豊橋から東京に帰るタイミングだったみたいで。本当に入れ違いでバッタリ会って。自分は気づかなかったんですけど、朝倉海選手から声をかけてもらって、歩きながら地元話をしゃべってましたね。

――
なんか井上選手って朝倉海選手とめっちゃ縁がありますよね。

井上
 そうですか?

――
高校も同じだし、同じベルトを引き継いで。

井上
 いやー、豊橋って狭いなーと感じちゃいましたね。

――
そんな中、今日は大晦日興行のお話から聞きたいなと思うんですが、井上選手も会場にいらっしゃいましたけど、大会全体をご覧になっていかがでした?

井上
 会場にはいたんですけど、もう自分のことしか考えてなかったです。

――
ど、どういうことですか?

井上
 まず、大会が始まる前にトークショーがあったんで、朝10時半に会場に集合して。高木凌選手とヒロヤ選手と一緒に出演して。試合が始まったのが13時とかでしたっけ?

――
雷神番外地のスタートが13時でした。

井上
 そのときは関係者控室で待機してたんで試合を観てたんですけど、そのあとの休憩時間にYogiboを買ってくれた人と一緒に写真を撮るイベントに参加して。そのあとのRIZIN.49では元谷友貴選手と秋元強真選手の解説がありましたし、その流れで3月大会の自分の試合発表だったんで。

――
けっこう大忙しいですね。

井上
 14時間くらい会場にいましたけど、ホント忙しかったです。RIZIN.49が始まってからも、会場にいたり控え室に戻ったりいろいろで。うろちょろしてたらショーン・オマリー選手にも会いました。

――
おお~、会ったんですね。

井上
 ちょうど、RIZINスタッフの方に着物を着せてもらってる最中でした。だから、試合はちょくちょく観るぐらいで、やっぱり自分のことでいっぱいいっぱいでしたね。

――解説という大役があると、待ってるあいだも落ち着かないですしね。

井上
 ドキドキしますし、とくに自分は初めての解説だったので「何を言えばいいのかなあ……」みたいな。だって、もう他の方々がいるじゃないですか。ケンコバさん、鈴木(芳彦)アナ、川尻(達也)さんもいるし、そっちのほうがいつも回してる方々なんで、その人たちの言ってることを遮って自分が何か言うのもなあって。

――
井上選手の性格的にも。

井上
 やっぱり、解説なんかは自分が強い人ができるんだなと思います。自分が言いたいことを「すぐに言いたい」「この展開のことをすぐに説明したい」という人がやるんだなと感じちゃいました。

――
鈴木千裕選手なんかはゲスト解説なのに独壇場でしたけど(笑)。

井上
 自分はもう「どうぞ、どうぞ」というタイプなので。誰かに話を振られないと、あれは参戦できなかったですねえ。

――
でも、振られたらしっかりお話しされていた印象もありましたけど。

井上
 いやー、ちゃんと言えてないですよ。

――
じゃあ、もっと言いたいことありました?

井上
 いや、言いたいことはなかったです(キッパリ)。

――
そうなんですね(笑)。

井上
 もう誰かが言ってくれるから言いたいことはないし、言えないし、みたいな感じですね。

――
解説を担当した元谷vs秋元の一戦はどうご覧になりました?

井上
 自分が勝敗予想で話していたのは、元谷選手が一本で極めるんじゃないかなということでしたけど、そこまで持っていかせなかった秋元選手もうまいなと思ったし、元谷選手もしっかり勝ちに徹底していたなと感じました。でも、元谷選手に関しては何か凄くガラッと戦い方が変わったのかなと言われると、そこまででもないのかなとも思いましたね。

――
へえ~、面白いですね。

井上
 打撃はやっぱり秋元選手じゃないですか。そこに付き合わないうまさもあったし、テイクダウンの持っていき方とかもうまくなってるのかなーとは感じましたけど。

――
3月に対戦する元谷選手のことはのちほどたっぷりうかがうとして、まず秋元選手はまだ18歳ということで、元谷選手にさんざんバックに奪われながらも一本は免れた。そこはどうでした?

井上
 うーん、どうなんですかね? 人によって得意・不得意があると思うので、そこの練習をしていたのかどうなのか。でも、自分は凄くうまいなとは感じなかったです。

――
あ、井上選手から見ると。

井上
 まあ、うまいか・うまくないかって、攻めるのはうまいかもしれないけど、ディフェンスがどうなのかなと思った部分もあって。たとえばバックにつかれる前にどうにかしないといけないじゃないですか。

――
き、厳しいですけど、たしかにそうですよね。

井上 いや、もちろん秋元選手もうまいですよ。金太郎戦のときを見た感じでも組みも丁寧だなと思いましたし。だけど、金太郎戦や鈴木博昭戦は打撃で圧倒して、組みでも圧倒して、ディフェンスはやられているところをまだ見せてなかったじゃないですか。今回は逆に攻められるとどうなのかな?と思ってたんで。どれくらいの力なのかがわかったかなという感じですね。

――
しかも足で4文字ロックを組まれると、あれって本当にまだ逃れる技術はないんですねえ。

井上
 まあ、ガッシリ掴まれちゃうとなかなか大変じゃないですか? そこはチョークだって腕を回されたらけっこう終わりみたいなところもあるし。だから、やっぱりそういう展開に持っていかせないためにどうしたらいいかということだと思います。

――
じゃあ、秋元選手は凄い凄いと言われているけど、井上選手から見たら……。

井上
 もちろん凄いと思います。まあ18歳だし、伸びしろもあるし、まだ凄くなる選手だと思います。

――
というか、井上選手の18歳の頃もまさしく天才って感じでしたもんね。

井上
 いやいや、天才じゃないんでボク。だって、7歳からやってるんですよ? それだけやってたらそれは実力もつくし、技術もつきますよ。

――
そこは努力してきたからこそ、逆に「天才」と言うのは失礼なんですかね。

井上
 じゃないですか? しっかりアマチュアから戦績をつくってきてますし。だって最初のほうなんて、ボクそんなに勝ってないですから。同じジムの女性選手とやって負けてたくらいなんで。だから、RIZINの試合しか観てない人にとってはそう感じるのかなとも思います。本当にボクのことをジュニア時代から知ってるのは、関わりのあったジムの人とか親とかだと思うので。

――
でも、DEEPに参戦していた頃はもう怪物でしたよね?

井上
 そんなことないですよ。UFCに出てるときでさえ「ああ、自分は全然だな~」と思いましたもん。最初、アメリカのセラ・ロンゴで練習してたんで、アルジャメイン(・スターリング)とか、メラブ(・ドバリシビリ)とか、世界のトップの選手と練習することで「こういう技術があるんだな」っていろいろ知ることができた感じなので。


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