「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2024年11月05日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2024年11月19日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2024/11/05配信のハイライト
- 楳図かずお死去とMacの新ラインナップ感想
- 「すごい技術」と「すごい技術がテイクオフする」は同じくらい重要
- 「暗号化したデータを暗号化したまま加工して戻す」技術
- 視聴者質問「ZEN大学について」と「103万円の壁と給付付き税額控除」
- 金融関係の不祥事と「政府機関の中でどこが一番腐ってるかといえば」
- すい臓がん早期発見技術と「旧列強国の賠償」
楳図かずお死去とMacの新ラインナップ感想
山路:最初はあんまり楽しくないというか、残念なニュースからなんですけども。漫画家の楳図先生が亡くなられたという、88歳。
小飼:ついに。
山路:弾さん、楳図さんの作品で思い入れ、あったりします?
小飼:やっぱり『14歳』でしょうね。
山路:チキンジョージ博士。
小飼:『14歳』も、なぜ『14歳』かって言ったら、それが公の筆筆活動の最後の作品になっちゃったからですよ。それからずいぶん間が空いてるじゃないですか。だから、そこがすごい残念ですね。まだその後も何作も描けたはずなんですよ。だから、ある意味すごい悔いが残るわけですよ。こないだ御歳90歳になった筒井康隆御大とかは、ついこないだまで書いてたわけですよね。この間やっと『カーテンコール』という、これが最後だと本人は思ってるというのを出して、でもそれ以前に大全集出してるからね。たぶん10年後にまた似たようなことするんじゃないかと、生きていれば。
山路:楳図先生ですけど、2、3年前かな、美術展は油絵だったかな、その展示会を私、見に行ったんですよ。『私は真悟』のある意味、続編的なやつをやってて、
小飼:333から飛び移れ!
山路:そうそう(笑)、エネルギーすげーあったと思うんですよね、その時点でも。なんか漫画に対してちょっとわだかまりができちゃったのがすごい残念だなと思う、
小飼:いや、漫画ではなくてよねだから掲載誌に対して、だよね。心を端折っちゃったやつらがいるんですよ。
山路:(スライドを示しながら)これ、ぜんぜん楳図さんの絵柄じゃないんですけど、ChatGPTに楳図かずお死去という記事を書いてくれてって言ったら、こんな風に。
小飼:やっぱりChatGPTに手はどうやって描くんだって言わせるべきでしたね。
山路:げんこつはこう描くんですよと。
「80、90で面白い作品で作れるの?」(コメント)
小飼:って、いや、それこそ何をおっしゃいます、で。いかん、名前が出てこない、
山路:漫画家さん?
小飼:うん、富嶽三十六景の、
山路:あー、広重、
小飼:違う違う、広重じゃない、広重じゃない、
山路:あ、葛飾北斎、
小飼:葛飾北斎だ、葛飾北斎があと90歳ぐらいの頃に、あと10年くれれば俺は完璧な作家になれると、だからもう少し寿命くれと言ってたぐらいなので。いや、そういう才能の持ち主でしたね、明らかに。
山路:楳図さんも。
小飼:うん。いや、本当にいつになったらあの絵がすごくなるのを止められるのかっていう。いや、もう本当に、もう昔から怖かったけれども。『まことちゃん』とか怖いほど面白かったし(笑)。
山路:あの絵柄でギャグをやるっていうのがすごかったですよね。
小飼:で、あの時代の人というのは現在80代後半とか、90歳以上の超高齢者に今だとなってしまうけれども、でも彼らにも本当に元気バリバリの時代というのがあって、それで彼らが元気バリバリの時代というのは人権何それ? 美味しいの、な時代で『漂流教室』とか本当にそういう時代に書かれてたので。いや、某『ザンボット3』とかで人間爆弾とかやってたというのも。
小飼:いや、本当に恐竜、ごめん(笑)、『漂流教室』、復刊した時に僕もいただいたんですよ。怖かった、しばらくページめくれなかったです、あれ。
山路:楳図さんの作品って今、全部電子化されてましたか、あ、でも『わたしは真悟』電子版で読んだな、読めますよね、Kindleとかでたぶん。
小飼:いや、あれはもともと電子の話だったので。
山路:確かに。なんていうか、インターネット普及以前にあれが描かれてたっていうのがすげえなって思いましたよ。そんな技術的な知識はご本人、そんなになかったと思うんですけど。イマジネーションがすごかったですね。
小飼:いや、でもウイルスがでっかくて触手がビョーンって伸びてたというのは、『14歳』の時のウイルスはあれなんですよ。ちゃんと肉眼で見えないはずなのに絵になってたんですけど、それが本当に良かったというのか。いや、でも楳図先生が示したもので一番大きいものというのは、一番強烈なホラーを描けるというのは一番強烈なギャグを描けるっていうのとほぼ同義だと。いや、山上たつひこがまさにそういう。
山路:ああ、こまわり君描いときながら、そのホラー、羊の、ああ、でもあれは小説、あれも漫画か、違う、あれは違う、山上たつひこ原作や、
小飼:怖いというのか、でたらめな話もいっぱい描いてますけどね。ギャグでデビューして、まぁその後ですけど、でも、楳図かずおの場合はもう、ホラーというのか、少女漫画というのか、本当に何と言えばいいのかな、漫画が描き捨てられてた頃、単行本として連載作品をリクープするというスキームがなかった頃からもう描いてらっしゃった方なので。
山路:人の感情の筋をコントロールする術をよく知ってるっていう感じなんですね。
小飼:でも、それを本当に読み捨て、本当に当時は漫画というのは読み捨てだったんですよね。後世に残す作品ではなかったんですよね。いや、『おろち』あたりでも確かそうだったと思います。
山路:おお、かなり読んでますね(笑)。
小飼:どころか『ウルトラマン』とかも描いてたんですよ。
山路:あー、覚えてる。覚えてます、『ウルトラマン』描いてましたね、楳図さん。
小飼:そういう描いては捨ての時代から漫画を描いてて、もう絶対頭からこびりついて離れないような、『漂流教室』とかものにした作家でもあるので。消えてしまったというのか、息を潜めてるギャグ漫画家の中の皆さんには、もうぜひミステリーとかでひっそり復活とかしてほしいですね。そう思いません? 岡田あーみんとか、そういう形で復活してくんないかな。
山路:相原コージさんは、最近うつ病の漫画描かれてて。
小飼:いや、本当に、でも相原コージ先生はもう初めからそういう才能はあったと思います、よいや、本当にやがて悲しき、というのは。『ムジナ』とかはまさにそうじゃないですか。
山路:確かに、確かに。
小飼:いや、だから今一番見たいものというのは榎本俊二のホラーとかね。サスペンスに近いのはあるんですよね。『斬り介とジョニー四百九十九人斬り』みたいに、もうひたすら斬って斬って斬ってみたいなのはあるんだけど、でも、まだホラーは手をつけてない。
山路:まぁそれにしても本当に惜しい人を亡くされましたが、でも大往生だったとも言えますけどもね。
小飼:年齢的にはそうだったけれども、でもあと2、3作、あと『14歳』クラスの連載作品を3作、4作は残せたはずなんですよ、ペースからいって。
山路:化け物だなぁ、つくづく。いやいや本当になんか惜しい人亡くされましたということで。じゃあ、ちょいと変わってITの関係いっておきましょうか。Macのラインナップが一新されたという。
- Apple、M4 ProとM4 Maxを発表
- Appleの新しいMac miniは、よりパワフルに、より小さく、そしてApple Intelligenceのために設計
- 新しいMacBook Pro、M4チップファミリーとApple Intelligenceを搭載
小飼:いや、いっぺんにそんなに出されてもっていう感じはしますけれども(笑)。Mac miniはあのついに来ましたね、という。
山路:ついに? 何が?
小飼:過不足のない。
山路:一番安いモデルって本当に10万、
小飼:切ってますね。
山路:本当に、なかなか買いやすいものになりましたよね。
小飼:それでいて目いっぱい積めるモデルもあって。M4も単なるM4でなくて、M4 Proでメモリも、メモリ64というのは決して多いほうではないんだけどね、今の基準では。で、ストレージが8TBあって。あと10GbEを、
山路:ああ、イーサネット、
小飼:全部詰め込むと70万超えるんだけど(笑)、
山路:10万ぐらいから70万って、ラインナップ同じ機種で幅ありますよね。ずいぶんこれ、Mac miniとか盛り盛りにメモリとかも積んだら、相当、たとえばローカルLLM動かすみたいなことにも使えたりする、
小飼:だから、そういう用途を念頭に置いてるでしょうし、さらに念頭に置いてて欲しかったと一部の人たちが強く思ってたのはラックマウント。ヘッドレスで使う用途。
山路:それに今回のMac miniは適している?
小飼:どうなんだろうな、というのはスイッチの位置とかさ。
山路:あのスイッチの位置は大量導入を考えて、ではないですよね(笑)。
小飼:なんだけども、AWSとかで使ってるM1、M2というのを、一昔前のMac miniというのはやっぱり電源まわりというのはカスタムというのを、自作してたみたいですね、
山路:もうボディ分解して中身だけ並べとくみたいな感じ、
小飼:接点の部分というのは。
山路:そういう用途によってはじつはすごくお買い得なものになっているのかもしれないですよね。
小飼:(コメントを見ながら)今1Uって言ったら、ちょっとデカすぎるね、Mac Proでもそんなに容積は食わないので。
山路:まだ発売されてないんですけど、ベンチマークの、
小飼:そうか、まだ出てないのか。まぁ予約は聞くしね。
山路:ベンチマークでけっこうM4 Maxとかすごい良好な成績を上げてるみたいな。
小飼:まぁでもMaxはMac miniにはラインナップないんだ、
山路:そうですね、これはMacBook Proのほうですね。これ、来年にはMac Studioとか、あるいはMac Proとか、新しいさらにM4の上位バージョンを積んでくるんじゃないかみたいな話あって。
小飼:M4 Ultraとかね。
山路:そうそう。
小飼:いや、今回一番貧乏くじ引いたのはMac Studioでしょ。
山路:なんかね、早く出してくれと一番上位機、望んでる人もいるとは思うんですけども。なんかMacっていい感じにApple Silicon、Armチップへの移行、だいたいうまく、
小飼:華麗に、
山路:やりましたよね。
小飼:済ませましたね。いや、M1が良かった、なんと言っても。M1の頃はもう何ジェネレーションか費やしたところで、そろそろいいっていうふうな移行をするかと少なからぬ人が、僕も含めて思ってたんですけれども。M1があまりにも良かったので、みんなけっこうエイヤで乗り換えたんですよね。
「○周年モデルはやめとけ伝説」(コメント)
山路:確かに、なんかAppleの何周年モデルとか、なんだ、Spartacusとか、あとはなんかG4 Cubeみたいな、
「それに比べてIntel」(コメント)
小飼:いや、Intel大丈夫かっていう。
山路:そこのところで、
小飼:Intel息してる? 状態になってるっていう。
山路:CPU業界なんか妙にいろいろ熱い展開が続いて、Intelもそうですし、なんかIntel、Appleが買収するんじゃねえかみたいな噂記事で出てましたけど、
小飼:それはないな、
山路:ただSamsungが買収するんじゃねえかとかみたいな記事出てましたけどね。
小飼:こう言っちゃなんだけど、一番いいのはAMD買ってくれることかな(笑)。
山路:前回の「論弾」で言ったかな、そうやってAMDとIntel、ちょっとパートナーシップ、命令なんかを揃えようみたいなところでパートナーシップ結んだから、全くないわけでもない、ゼロではないと思いますけどね、可能性。その一方でCPU、Intel x86アーキテクチャーがちょっと伸び悩んでるというか、だいぶ浸食されている中でArmのほうが伸びてるんだけど、ArmとQualcommが大喧嘩しているという話なんですよね。これってどうなるんでしょうと。弾さん的にどう見ます?
小飼:どうなるんでしょうね。
山路:要はQualcommがArmからライセンス受けてArmチップを作ってたんだけど、QualcommがNUVIAっていう別の会社、これもArmチップを作ってた会社を買収して、その時のライセンスの更新をしなかったというか、拒否ったのかな? それに対してArmがいやいや、NUVIA買収して、それのことのライセンスに関しては別でしょう、それに関してはちゃんと払えよと言って、Qualcommのほうは払わねえって大喧嘩になっているという話なんですけど。
小飼:いや、でもIntelも似たようなことをしてるんですよね。Armチップ作ってたところを買って、StrongArmを作って、その後にマーベルという会社にそのIPを手放したということがかつてあったんですけれども。その時にはこれだけのニュースにはならなかったというのは、
山路:市場規模がぜんぜん違う、
小飼:も違ったし、もう当時のIntelはそれを次期の主力に育てるとかっていうつもりはもうぜんぜんなくて、もうあくまでもサイドビジネスとしてやってたので。
山路:これ、ArmとQualcommの喧嘩なんですけども、あと60日だったか、そんなぐらいでとりあえずの何らかの決着をつけないといけないみたいな話になってるらしいんですけど、これってどっちにしても、だってArmにしてもQualcommがArmのチップ作って売ってくれなかったら困るわけじゃないですか、そんなことないですか?
小飼:どうなんだろうね、Appleもライセンシーだし、みたいな感じなのかな。あとなんだかんだ言ってSnapdragonのシリーズから手を引くというのは考えがたいしとか、そういう考えなのかね、Armの立場からすると。
山路:じゃあ少々ふっかけてもというか、強く出てもQualcommとしては払わざるを得んでしょって思ってる?
小飼:そうなのかもしれない、
山路:でも将来的にQualcommって、じゃあそんなにライセンスのことでガタガタ言うんだったらRISC-Vに移行しちゃうよってことはあり得ないですか?
小飼:わからん、けどもこの世界のIPというのは意外と強いというのはQualcomm自体が勝者として体験してるからね。かつてIntelがAppleのために、
山路:モデムチップ?
小飼:そうそうそう、5Gのモデムを作ったところを、それはQualcommのIPに抵触してるっていうことで、その時はQualcommが勝ってるんですよね。それでIntelは手を引かざるをえなくなって、
山路:でAppleがなんかそのIntelの通信部門、通信チップ部門を買収してみたいな、
小飼:そうそう、
「すごい技術」と「すごい技術がテイクオフする」は同じくらい重要
山路:なるほどな、もう本当にIT業界どっちもどっちみたいな喧嘩を常に繰り広げてるっていうことではあるんですね。まぁでもいろいろ業界的には影響の大きいことだから、まぁどうなるんでしょうねと。
次これは日本の話なんですけど、これもITには関わってくるんですが、これなかなか面白い話だなと思ったんですよね。不動産IDと、あと郵便受けに紐付けられた番号ってのを組み合わせて、住所を17桁のIDで表して、宅配なんかの配達をスムーズにできねえかっていうことを実験しようという。
小飼:いや、でも17桁で足りる? どうなんでしょう、そこは。もちろん人口を考えればぜんぜん足りるんだけれども、でも住所の場合、どうだろうなこれ。
山路:部屋番号分かれたりとか、あるいはそれこそ、なんか受け取るボックスごとにみたいな可能性ってありますもんね。これ、なんかどうも、
小飼:17桁とかっていうのではなくて、使用者をまたがった、たぶん各社とも私的なIDというのは多かれ少なかれ使ってるとは思うんですよ。
山路:じゃあ、そんなに劇的な効率になるかはまだわかんないって感じ、
小飼:わかんないけれども、でも日本の場合は住所の表記っていうのがちょっとデタラメに難しいですよね。たとえば京都の場合とか。
山路:なんたら下ル、みたいな、
小飼:そうそうそう。ざっくりと市区町村、何番地何番でさらにアパートメントであったら部屋番号というのはあるんですけども、ざっくりと。東京都の場合ほとんどそれでつくとは思いますけれども、京都とかね。ken_allの世界ですね。
山路:郵政省が出しているCSVデータですよね。
小飼:そうそうそう。
山路:私あれ、変換してMac用の辞書を作ったことあるんですけど、なんていうか頭のおかしい人が作ったデータ形式ですよね(笑)、なんか。本当にめちゃめちゃ例外が多いというか、処理しにくいCSVで。本当にCSVと言えるのかみたいな感じの、あれは苦労した覚えがありますけども。
でも、日本ってとにかく住所とかのなんていうんですかね、突合みたいな話っていうのがめちゃめちゃ難しかったりとかするので、その辺のところが多少なりとも改善していくといいかなと思いますけどね。とにかく宅配業者が大変すぎますもんね、今は。
で、AIの話とかいこうと思うんですが。いろいろAIの、相変わらずバンバン新しいサービスが出て。Githubなんかが自然言語だけでアプリ作れるサービス出してきたりとか。これ、どうです、まだ弾さん的には(笑)、
小飼:これ最初、自然言語をアプリで生成って僕読んじゃって、え?みたいな、人工言語をアプリが勝手に作ってくれるの?みたいな、
山路:エスペラント語的なやつを(笑)、エスペラントみたいなの作れると、それは面白いですけど。これは相変わらずまだ弾さん的にはそんな使う気にはならないって感じですか?
小飼:我々はそんなに要件定義が上手なのか、ということはありますね。過去にあるゲームを自然言語で再実装する、というのは可能だと思うんですよ。『スペースインベーダー』を作ってとか、『パックマン』を作ってとか、『ぷよぷよ』作ってとか。
山路:だけど今までなかったアプリを作ろうとすると、さあ大変。
小飼:そうそうそう。それでいったん作られたところで、たとえば『パックマン』だったらパワーエサの位置をここにしてくれとか、あとパワーがかかってる時間というのをちょっと長くしろ、短くしろ、あるいは永遠にしろとか。まぁよくある不死チートをかける。そう、残機が減らないチートをかけるとかっていうのをやる程度というのはできるとは思うんですけれども。
我々の言語能力というのはじつはそこまで高いのかという。
山路:あー、なんか結局コンピューターと格闘しながら、自分の中にあるものを形にしていかなきゃならんというか、自然言語でそもそも表現できてるわけじゃねえよという。
小飼:ただインターフェースにはなると思います。自然言語は。
山路:じゃあまぁこの自然言語でアプリ作れるからといって、今までアプリぜんぜん作れなかった開発者でない人がもうもりもり自在自由にアプリを作るという風になるわけではなさそうという、
小飼:ではないでしょうね。やっぱり作っては捨て作っては捨てしないと。でも、それを言ったら自然言語で物語を書く場合というのも、それやるわけですから。
山路:藤井太洋先生もおっしゃってましたもんね、そもそも人間の脳みそにとってそんな自然なことじゃないんですよ、本を書くのはということを、この前の対談でも。
小飼:ましてやアプリときたら。
山路:まだ人間とAIは距離はあるのかもしれないですよね。と言いつつ、このChatGPTがなんとかそのユーザーインターフェース、どんどん距離を詰めようと機能をもりもりと追加して、先週かな、検索機能を搭載してきたと。私、いちおう有料ユーザーなんで使って、まあまあ便利は便利ですよ、今までPerplexityとかで検索してたようなことをChatGPT上でできて、なおかつそれで検索した結果なんかをたとえばこんな指示して、こんな風に整理してくれとか、こんなデータ形式に変換してみたいな、そういうことが一つの画面でできるのは便利かなと思ったんですけど、まあまあ、これですごい検索ビジネス大きく変わるかと言われると、どうなんだろうみたいな。
小飼:いや、広告が入らない、むしろ我々が快適にそれで感じるとしたら、答えの質が高いというよりも、広告出てこないという(笑)、
山路:それはあるかもな(笑)、あとなんかとりあえずChatGPTサーチで使っているリファレンスの参照サイトっていうのが、まとめサイトじゃなくて割と信頼のできるマスメディアなのかな、それを優先的に表示するみたいで、「おわかりいただけただろうか?」みたいなやつっていうのはあんまり出てこないっていうのはちょっといいかなと思いましたけれども。
でも、これって結局、検索が云々というよりもAI企業同士の囲い込みやってるだけなんじゃねえの、という気もしたんですけど。たとえばPerplexityのユーザーとかこっちに引っ張ってこようとか、なんかそういう、全体のパイを広げるというよりはAI企業同士のなんか争いのようにも見えましたけどもね。
小飼:でもこの後の話でもちょっと出てくるとは思うんですけども、AIって一体どこで金儲けするのかっていうのが、まだ見えてないところがありますね。見えてないところがあるというよりも、まだぜんぜん見えないですよね。
山路:それのことについて、このAnthropic、そういうAI企業の一つですけども、そこがClaude、AIモデルのClaudeの新しいやつでパソコン操作できるようにしたよっていう、実験的なものですけどね、そういういわゆる最近、こういうのをAIエージェントっていうようになってきてるんですけども、これがすげえことなんじゃねえのと業界では言われてたりもする。
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小飼:じゃあAIエージェントができたとしましょう。我々はAIエージェントに、そもそもお金を払うでしょうか。あるいは払うとして、どういう形態で払うでしょうか。
山路:うーん。どこの部分でマネタイズする、うーん。たとえばなんかよくデモで出てる旅行計画立てるみたいなやつあったりするじゃないですか。AIエージェントにいろいろ頼んで、そういうのだったら、そこのとこに、旅行会社のところに誘導してみたいな、
小飼:でも、そうなるのがわかってたら、じゃあ人間の方がAIエージェントを出し抜かない?
山路:その有料の旅行代理店につながるようなところを回避するように、
小飼:そうそうそう、予定を作らせておいて、相見積を取らせる(笑)、
山路:確かにな、やるやる絶対やる(笑)、それ自体をAIにさせるわけですよね。
小飼:そうそうそう、
山路:相見積の処理を行わせるみたいな。そうだよな。本当に今のChatGPTみたいに毎月ナンボか取って有料で何かさせるみたいなこと以外で、確かにすごいやりにくいかもしれないですよね。AIエージェント来ても、まだマネタイズは難しいですか(笑)。
スタッフ:質問です。Yahoo!とかGoogleとかは結局どうやってマネタイズって、やっぱり広告でしたか、
小飼:広告でした、なんだかんだ言って広告でした。
スタッフ:あれらのサービスも、当初はやはりマネタイズに関しては苦戦したんでしょうか、初期の頃はわからない、
小飼:何も考えてなかった、Googleの中の人たちは。この技術すげえだろうと、こんだけすげえ技術なんだから、誰かが買ってくれるはずだったんですよ。よりにもよって、Yahoo!に買ってくれって言ったんですよね。その時Yahoo!が買ってたら、歴史変わってたんですけどね。
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