「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
 無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!

 今回は、2024年10月22日(火)配信のテキストをお届けします。

 次回は、2024年11月5日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2024/10/22配信のハイライト

  • 『子供の科学完全読本』重版と「日本のアニメは労働搾取?」
  • 激しい進歩のなかで数少ない、役に立つ資格
  • アルゼンチンの「何回目?」と「賭博の解禁」
  • 視聴者質問「衆院選について」
  • SpaceXのスーパーヘビーにはなぜ脚がない?
  • 「一電子結合」と「窒素を取り込む藻」

『子供の科学完全読本』重版と「日本のアニメは労働搾取?」

山路:最初に告知というか、お知らせというかさせていただきたいと思いまして。先月出版しました『子供の科学完全読本』、こちらなんですが、発売1ヶ月で重版決まりまして。

小飼:いやーびっくりです。

山路:どうもどうも、皆様のおかげでございます。ありがとうございます。

小飼:これは本当びっくりです。こういう判型の大きな本っていうのは、けっこう売るのが難しくなってきてるっていうのを聞いてたので。

山路:だけどこれ、今回の本って紙ならではの質感ありましたしね。

小飼:そうなんですよ、そうなんですよ。電子版もあるんですけれども。

山路:(コメントを見ながら)買っていただいた方もいるということで、

小飼:ありがとうございます。

「続編の高度経済成長編、はよ」(コメント)

山路:何かこれに関して、いいお知らせがそのうちできるといいかなと思いますね。

「めでたい」(コメント)

山路:ちょっとこれ、ミリオン狙っていきたいですよね。

小飼:hundred million、じゃあさおだけ屋の山田先生よろしく、本屋さんという本屋さんを行脚して。

山路:けっこう勉強になって、割と楽しい本に仕上がってるんじゃないかと思っておりますので、まだの方はぜひよろしくという(笑)、

小飼:これを編纂するにあたって、こんなに知らなかったのかという。これほど知らなかった、知らなかったの体験というのは僕が、僕の著者名で出た本の中では本当にもう初めてというのか。

山路:つまり、自分の知らなかったことについて書くという経験が、ということですね。

小飼:そうそうそう。書いたおかげで知ることができたという。

山路:でも、本の内容というのを理解するために本を書くのが一番というのは、昔からよく言われますよね。

小飼:そうそうそう。知らなかったら教えろというね(笑)。誰だったっけ、それ言ってたのは。

山路:本当に私もいい経験になりましたし、特に昭和の戦争、戦前戦中戦後とかあの辺のところってものすごく曖昧だったんで、自分でも。

小飼:たぶん学校の授業とかでも、ないがしろにされがちなんですよね。あの近代史というのは。

山路:なんかこう、戦争はいけないことみたいな文脈で多少言われても、それが一体どういうプロセスで起こって、どんな風な庶民が暮らししたのか、そういう解像度ではぜんぜん教えてもらってなかったですね、

小飼:ぜんぜん出てこないね。いや、特に日本の近代史っていうのはすごい、もう最後の帝国みたいなところがありましたからね。帝国になって、帝国を潰されたという。ものすごい短い間にやったので。本当に半世紀ぐらいでバーッと膨らんで、ビヤーッと縮んだっていう。

山路:日本人にとってだけじゃなくて、世界史的にもかなり興味深い現象だった、

小飼:興味深いです。興味深いではすまない国々とか地域とかってありますけれども、それを加味してなおっていう。

山路:ということで、よろしければ、ぜひ『子供の科学完全読本』をよろしくという、

小飼:まだ持ってない方はぜひ。一家に一冊。

スタッフ:いいですか? 『子供の科学』私、書籍版と電子書籍版両方、

小飼:ありがとうございます!

山路:お買い上げありがとうございます。

スタッフ:電子書籍版、カラーいいですね。

小飼:そうなんですよ。じつは紙の泣きどころというのは、やっぱり物理的に内容を紙に転写しなければいけないので、一色増えるというのはものすごいコスト増になるんですよ。電子書籍の場合っていうのはそこがかからないので、最近けっこうマンガの鉄板ベストセラーをカラー化するというのが流行ってるじゃないですか、もう特に『ジャンプ』系とかが。

山路:私『ゴールデンカムイ』全巻買い直しましたよ。

小飼:ははははは。

山路:あと普通に単行本でも、雑誌掲載紙のカラーを電子版のほうはそのまま載せるみたいなやつもありますよね。

小飼:そうそうそう。

山路:なかなか楽しいですよね、そういうのは。

スタッフ:あと、私4Kのでっかい大画面モニターで大写しにして新聞紙サイズぐらいでだいたい見てっていうのも、なんかすごい新鮮でした。

小飼:山路さんもそれが、

山路:私もやってるけど、あれいいですよね。特にBluetoothのプレゼン用のリモコンとか買ってページめくりすると楽しいですよ。ぜひぜひ、本当になんかマンガの楽しみ方が変わるんで。

小飼:でも、これは本当に紙でなければ、こういう質感にならないというのがけっこうあるので。そうなんだよね、まだまだ電書のほうは触覚にはちょっと対応してないというのか、別体系になるので。

山路:まあ電子版は電子版でぜひ(笑)、

小飼:お願いします。

山路:いただけると、というので。じゃあちょっと軽い話題からいこうかなと思うんですけど、弾さん、今期のアニメなんか見てます?

小飼:えーとですね、今期はちょっと諸般の事情で割とリアルが忙しいおかげで、あんま見てないんですけども、『ガンダム』は見ました(笑)。

山路:いかがでした? ちなみに『復讐のレクイエム』ですよね。

小飼:うん、そうそうそう。

山路:私は、かなり見応えあって、よくできてるなと思ったんですけどね。

小飼:いや、でも白い悪魔、あんなもんじゃないでしょ。

山路:(乗っているのが)アムロ・レイだったらもっと怖いぞと。

小飼:もっとヤバいでしょう。

山路:そこかいっていう(笑)。あの監督ドイツ人らしいですよね。

小飼:そうなの。

山路:第2次世界大戦ものみたいな、戦車戦とかのリアリティだったりとか、

小飼:グフがかわいそう、みたいな(笑)。

山路:あれは良かったと思うんですけどね。

小飼:ザクとは違わなかった、でした、残念、みたいなね。ザクとは違うはずだったのにな。あっさりと。

山路:『復讐のレクイエム』は、世界的なランキングでもかなり上位に入ってるらしいですよね。

小飼:ただやっぱり、何が足りないんだろうな。

山路:そうですか(笑)、足りませんでしたか。

小飼:なんか足りないんだよね。

山路:それは、富野節ですかね。

小飼:もあるし、やっぱり作画崩壊が含まれてないってところじゃないですかね。一年戦争中なのに。やっぱりこういうガンダムが出てくれないと、

山路:(テレビ版ガンダムの)「ククルス・ドアンの島」みたいな感じの(笑)、

小飼:そうそうそう。

山路:それはまた贅沢な(笑)。とにかく日本のアニメ今注目はされてるってことなんですけど、すごい数、『復讐のレクイエム』は3DCGですけど、2Dアニメにしてもめちゃめちゃな本数、今期だけでも出てるじゃないですか。

小飼:いや、本当に、いやもう絶対に見切れない、倍速再生でも見切れないじゃないですか。

山路:しかもそのクオリティっていうのが、もちろんいまいちなクオリティのもいっぱいあるんでしょうけど、すごいクオリティのものはすごいクオリティだったりとかして。私『ダンダダン』見てるんですけど、あれのもうオープニングとか、狂ったように繰り返し再生しちゃいますね。スペイン人出身のアニメーターの方がディレクションしてるらしいんですけど、素晴らしい作品でした。

小飼:やっぱ『ジャンプ』の系統はわりと安心してアニメ化されてほしいというのは、アニメ化されていいなというのはありますよね。

山路:あと『MFゴースト』も見てたりしますけどね、それはそれで安心して見てるというか(笑)、もう100パーセント純粋なペーパードライバーの私でもレースシーンには熱くなるものがありますしね。

小飼:そうだ、セルアニメっぽいやつでも、今は実際はコンピューターで作ってるわけですよね。コンピューターで作れるようになったっていうのも、アニメの本数が増えたっていうことにものすごい貢献してるでしょうね。

山路:しかし本数が増えたって、ナオヤさんがブックマークしてたこの記事によると、一つのスタジオで一つのシーズンで9つ、

スタッフ:いや、今のシーズン。今のシーズンで今、要はその週に放送するアニメが9本、

山路:1つのスタジオで9本抱えてるところもあったりするとかいう。本当になんていうか、ちゃんとディレクション、マネジメントできてるのかみたいな話もあるんですけど。そこのところで問題なのが、国連からも日本のアニメは労働搾取じゃねえかということを、

小飼:すごい、ILOから物言いがついたという。

山路:この記事のタイトルによると、Netflixなんかからそのうち弾かれんじゃねえの、みたいな。もうウイグルで作ってるアパレル製品みたいな扱いに。これ、今そのアニメーターの労働環境がひでえみたいなことっていうのは散々言われてて。

小飼:もう昔からですよね。もう虫プロの頃からですよね(笑)。

山路:手塚治虫の。これってどうしてったら適正な水準の賃金っていうものが、制作に携わっているスタッフとかに行き渡るようになるんでしょうかと。

小飼:えーとね、ならない。

山路:ならない。

小飼:なぜかっていうと、好きでやってるから。
 だってマンガって労働搾取とは言わないじゃないですか、少なくとも同人誌の作品を描いてても、それは労働搾取って言わないじゃないですか。それで二桁、下手すると一桁しか出なくても、明らかに食ってけないけれども、食ってけないというのが認められちゃってるものですよね、コンテンツ産業というのは。むしろそれが当然の状態だと。という一方で、現在のアニメというのは立派な産業でもあるわけですよね。けっこうな部分というのが、海外に外注されてて。ものによっては北朝鮮で作られてたっていうので問題になったりもしたじゃないですか。そういうところというのは、あくまで労働なんですけれども。いや、これ前から言ってるように、労働しなければ食べていけないっていうのは、じつはもともと破綻してるし、それで回るようになったというのは本当に人類の歴史の中でわずかなものだし。

山路:昔はある意味、家族に養ってもらってたから、その地域でなんだかの形で養われてたとか、

小飼:そうそうそう、

山路:稼ぎ手、稼ぐやつがちょっといて、そいつが面倒見てたみたいな形もあったりしたわけですもんね。

小飼:そうそうそう。でも、前にも言ったように今のアニメというのは、まあ確かに産業でもあるわけですよね。同人誌ってべつに、(締切を守れなくて)流しちゃってもいいわけじゃないですか。アニメってなかなかそうはいかないですよね。もうけっこう厳密なスケジュールが組まれてて、それに合わせるようにいっぱい外注使うわけですよね、北朝鮮も含めて。

「ベーシックインカムはよ」(コメント)

小飼:なんですよ。

山路:今の段階で言うと、個人の「好き」に金を動かす人たちがつけ込んでるところがないですかと、

小飼:あるあるある。それでやっぱりちゃんと産業としてやってるところだってあるわけじゃないですか。ジブリとか京アニとか。

山路:(『ダンダダン』を制作している)サイエンスSARUも労働環境はいいみたいな話を、ちょっと聞きましたけどね。じゃあなんていうんですかね、アニメ制作会社の経営者の問題だったりもするんですか、多くは。

小飼:そうなるでしょうね。

山路:うーん、そこのところのきちんとビジネスとして成立させる手腕みたいなもんだったり。

小飼:うん。いや、そもそもこんなに作品数がいるのかと、そう、思う一方で、アニメ化の障壁というのが下がったというのはめでたいことでもありますよね。

山路:それはテクノロジーの発展でってこと?

小飼:テクノロジーの発展だけではなくて、

山路:配信サービスとかの、

小飼:配信サービスとか、そうです。

山路:マネタイズの手段が増えたというのがありますよね。これってベーシックインカムはすぐにはできないにしても、なんかお上がコラッていうことではないんですか。たとえば制作委員会のあり方みたいなこととかっていうのは、何らかの形で法規制をしたほうがいいんじゃないかとか。最近ちょっと議論で出てきたのは、制作に関わる制作会社にもIPを持たせる、何パーセントかはIPの権利を持たせるみたいな方向を、

小飼:いや、でもIPを持たせてもちゃんとアニメーターの皆さんに分配がいくのかな、とも思いますね。

山路:ああ、権利は単に与えられるだけでは意味がなくて、それを上手に活用して儲けるノウハウがないと、あんまり意味がない。

小飼:そうそうそう。

山路:うーん、なるほどね。まぁしかし、今の話を聞いてる限り、

小飼:いや、だから時間制限とかはできるかもしれない。あるいはもう、もう同人誌方式で今期間に合いませんでした、のノリというのもあるというのか、最近出てるじゃないですか。

山路:増えてますよね。

小飼:増えてます、増えてます。

山路:なんか同じ話数、何回も放映したりとか。

小飼:そうそう、

山路:総集編がやたら多かったりとか(笑)。

小飼:もうあるいは延期しちゃったりとか。

山路:うんうんうん。

小飼:労働時間というよりは拘束時間制限っていうのはやってもいいと思います。

山路:これ、でも難しいのがアニメーターって必ずしもサラリーマン、従業員じゃなかったりするじゃないですか、

小飼:あのね、ずるいのはフリーランスっていうことに形の上ではしてるんですよね。その場合も、ちゃんと下請け法という法律があるんですけれども、労基法以上に守られてない法律なので。

山路:じゃあなんか政府がやることがあるとしたら、きちんと下請け法を厳密に運用するみたいな話だったり?

小飼:そう、いや、まあでもどこまで厳密にできるのかねっていう。いやー、なんか日本の法治というのは「法で納める」と書く法の法治というのは、ぶん投げの、放り投げる法の「放置」という側面というのもでかいので。

山路:あー、仕事してねえと、行政が。

小飼:いや、でも、そもそも行政がコンテンツ産業に絡むと、ろくなことにならないというのは、なんだったっけ、クールジャパンだっけ、狂うジャパンだっけ。ただこの場合というのはもう本当に、単純に労務を過剰提供させてるという。いや、たとえば時給、2500円だと8時間、1日8時間拘束されるとして2万円になるけれども、じゃあ16時間拘束してトイレの時間と寝る時間を除けば、全部働かせていいって言ったら、そういうことにはならないでしょ。いや、仕事と仕事の間のインターバルっていうのを少なくとも11時間置こうっていう、

山路:ドライバーなんかのそういう、

小飼:あるわけじゃないですか、はい。それはやってもいいと思う。志願者が多い分野でも。

山路:しかし、なり手の多い業界っていうのは本当になかなか買い手市場になっちゃいますよね。

小飼:全世界的ですね。

激しい進歩のなかで数少ない、役に立つ資格

山路:じゃあちょっともう一つ、労働に関してなんですけど。今度はSE業界、これ、SE業界で派遣社員の経歴詐称を派遣会社が支持したという。要はプログラマー経験が全くないのに、「できます」と経歴を偽っていけと。もうこんなの一発アウトな案件だと思うんですけど。

小飼:なはずなんですけれどもね。

山路:なんかこう、プログラマーとかなめられてません?

小飼:プログラマーに限らないと思うよ。

山路:なんでこんなやり方がまかり通るのかってもうびっくりなんですけど。

小飼:やっぱり、今なお急成長してる産業なので、クオリティコントロールが難しいってところはありますよね。士業というのは大抵の場合は、けっこう厳格な資格があるじゃないですか。たとえば建築だったら建築士というのがありますし。で、それの極北というのは医師ですとか、弁護士なんですけれども。ITに関しては、それでいちおうはIPAがいろんな資格を出してますよね。けれども、それが当てにならないんですよね。

山路:はー。情報処理なんたら試験、何級じゃないのか、

小飼:昔は一種二種ってあって、今は名前変わってるんですよね、応用なんちゃらとか。分かれてるわけですよ、セキュリティなんちゃらとかっていうのも。それもあんま当てになんないんですよね。

山路:弾さん、昔CTOやってた時に採用する時にコードを書かせるみたいなことを言ってましたね。

小飼:一番いいのはコードを見せてくれ、なんですけれども。今だったらGitHubがあるので、それはすごい楽ですね。

山路:(SEの派遣では)GitHubに自分のコードを乗せとくとかの、そういうことができる人とかまでは求めてない?

小飼:っていうのか、それができない分野っていうのはけっこうあるんですよね。

山路:メンテナンスみたいなもんだったり、

小飼:あるいはNDAに抵触してしまうとかね。僕もGitHubに載せられないコードって、けっこうありますよ。これを載せると法的に刺されるっていうのはありますよ、NDAの下でっていうのは。

山路:あとはサーバー管理みたいなものっていうのも、何をどうするっていうのを、その能力をアピールするのって難しいですよね。なんかこう、実績とか、人の紹介とかでなければ。

小飼:まあでもやっぱり作品があるっていうのは強いですね、この世界。そういう意味では、どちらかというとそういう資格が確立された建築土木ですとか、医療ですとか、法的サービスとかよりも、芸術のほうに近い、マンガ家とかのほうに近い。やっぱり作品があるのは強いので。私これ作りましたっていうのは、これが最強のカードなので。

山路:それこそ、いわゆる、税理士とかみたいなこの試験を受けていれば一定度基準クリアしてるみたいなやつを、基準を簡単に設けることが難しいわけなんですね。

小飼:基準そのものが時代でコロッと変わってしまう。

「未経験なのに経験者って肩書きでねじ込まれてる若手、何人か見た」(コメント)

山路:って、やっぱ普通にあるみたいですね。

小飼:でしょうね。でも、やっぱり作品で判断されるというのは本当に、氷山の上の部分で、その下の部分というのは僕もこうです、とはちょっと言い切れない。特によSIerとかって呼ばれる世界というのは、僕は間接的にしか知らないですね。

山路:企業向けにSAPを導入するみたいな、

小飼:そうそうそう、

山路:それって何をどうその人のスキルがあるかって、人のコネとかそういう紹介とかでないと、なんか分かんないですもんね。いやー、なかなか、とりあえずはそういう経歴詐称を指示した派遣会社とかは全部しょっぴくしかないとは思うんですけどもね。

小飼:どこにもいっぱいあるけども、でも本当に資格の価値というのがこうもさっさと変わってしまうというのはね。

「いっぱいあるよ」(コメント)

山路:って書いてありますね、なるほど。

小飼:要するに経歴詐称、

スタッフ:このSE業界ってたぶん旧派遣法時代からの古式ゆかしい派遣だった業種だったはずですけど、

小飼:です、です、です。

スタッフ:その当時から、私はその派遣だったんですね。の当時から比較すると、なんかちょっと緩いなって感じが、経歴詐称なんてありえないですからね。

山路:へええ。

スタッフ:その旧派遣法時代。私は確か日立直下の系列の派遣会社だったんですけど、すごい事前面接とかもやったりとかっていうのありましたから。

山路:じゃあ、いろんなところでこうガバガバになってきてるっていうことなんですかね。そういうところというのが。これは本当にちょっと、ちゃんと派遣会社のほうを取っ捕まえるみたいなことは政府のほうにはやってもらいたいもんだと思いますけども。

小飼:やっぱ物事の進歩が激しすぎる、少なくとも激しすぎたんだよね。そういうところにあって数少ない、役に立つ資格というのはじつはコンピューターサイエンスの学位です。数少ない信頼のおける。進歩が激しいと言っても、変わらない部分っていうのはあるわけですよね。そういう部分っていうのをきちっとやってるところというのを見る、というのはありですよね。

山路:なるほど。じゃあちょっと次に、ノーベル賞が先週、先々週とかいろいろ立て続けに発表されましたけど、

小飼:本当にAI、ここまでAIの年というのは、自然科学のやつはもう全部AI絡みでしたからね。ほんとAIに席巻されたという。

山路:普通同じような分野の研究ノーベル賞の違う部門で受賞って、あんまりなかったような気がするんですけどね。

小飼:いや、まあでもマリー・キュリーみたいに化学賞と物理学賞、両方取ったという例も、

山路:同じ年じゃないじゃないですか、

小飼:同じ年ではない、でも同じ人物が、で。

山路:物理学賞で基本的な理論の人が取って、そんな化学のほうでその応用の取ったというのはすごいことだったなと思ったんですけども。

小飼:本当にAI、自然科学のほうはAIが席巻した。

山路:ある意味これって、AIに投資しようかなっていう思ってた人に対してノーベル賞の委員会がお墨付きを与えたみたいなところがあるのかなっていう(笑)。

小飼:そうね、だとしたらちょっと遅いというのか。まぁでもノーベル賞ってそうだからね、本来はこの賞金でさらに研究に励んでくれよ、なんですけれども、もう、

山路:DeepMindの人なんか、もう超金持ちやんみたいな(笑)、

小飼:そうそうそう、

山路:ノーベル賞、経済学賞も発表されたんですけど、この経済学賞の意義というか、これって今回受賞したアセモグルさんでしたっけ、その方が言ってる、受賞されたんですよね。私、私この方の本はちょっと読み始めたところなんですけど、まだ読み始めたところで偉そうなことを言うんですが、要はこの方がおっしゃってるのはテクノロジーの進化っていうのをべつにほっといたらみんなが幸せになるとか、豊かになるってことはぜんぜんなくて、そこのところできちんとした制度みたいなものがあって、富を分配させるようなそういうような制度ができて初めて、そういうふうにちゃんとテクノロジーの恩恵をみんな受け取れるんだ、みたいな話をしてるというふうに理解したんですけど。これってなんか、当たり前といえば当たり前のような、そうでもないのか。

小飼:いや、けっこう、まあ要はたぶん、この手の分配の嚆矢というのは郵便制度だと思うんです。