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小飼弾の論弾 #112 「手が届きそうで届かない未来、書評『東京の子』(藤井大洋 著)」

2019/05/13 07:00 投稿

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 「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2019年3月19日(火)配信の「小飼弾の論弾」の後半をお届けします。

 次回は、2019年5月21日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2019/03/19配信のハイライト(その2)

  • 『東京の子』の「東京デュアルは来ません」
  • 都市集中と米軍基地
  • 破産者マップに見る官報の「アホかいな」
  • 印鑑レスと電子署名とリテラシー
  • キャッシュレスで困る立場の人たち
  • 「堺マッスル」のしょぼい大阪
  • 失われた「Webの理念」とバックアップについて

『東京の子』の「東京デュアルは来ません」

【01:01:25】

山路:じゃあ『東京の子』の話いきましょうか。この『東京の子』ってすごいエンターテインメントとしてもなかなか。

小飼:とてもエンターテインニングに。

山路:藤井太洋さん、映像化狙ってきてるなっていう気もするんですけど(笑)。

小飼:あの主人公が本当に物理的にヌルヌル動くので。

山路:フランス生まれの体術というんですかね、アクション術みたいなの、パルクールでしたっけ。

小飼:はいYouTuberです。

山路:壁とかを走ったりするやつ、けっこう私もYouTubeで私も見たことがあるんでけど、凄いですよね。そういう人を主人公に持ってきて、まあ映像化も、映像化したらこれ当たるんじゃねえかなという気がしたんですけれども。

小飼:でですね、ここでネタバレにはならないよな、誤字というのか誤表記の指摘というのを。

山路:そこから?

小飼:指摘というのをそこから。近未来の話をしているだけあって、もちろん日本という国はそのまま登場します。『東京の子』という名前からもわかるように東京の地名というのはそのまま出てきますし、政府の書記官の名前というのも、まあそのまま出てくるわけなんですけれども。「大検」という表記が出てきて。

山路:大学検定。

小飼:大学入試資格。それはありえないんですよね。もうなくなっちゃったから(笑)

山路:ああ。大検制度が。

小飼:今はじつはアップグレードされてて、「高認」と言います。だから高卒と本当に100%互換なんですよ。

山路:今までの大検は違ったんですか。

小飼:違うんですよ。大検のほうが難易度が高いんですけども、高認のほうが資格としては強いです。でもそれはおいといても、そう大検という言葉がちょっと出てきて、そうそう、藤井先生もちょっとそれに気が付かなかったみたいで。先生、先生。

山路:まあ作品の本質に関わるようなところではぜんぜんないですよね。

小飼:ではないです。ではないけれども、うん、なんかいまだにPowerPCのMacが出てきたみたいな(笑)、そういう、ちょっとした違和感はありますよね。やっぱ近未来のものっていうのは、そういうところ凄い難しいですよね。『2001年宇宙の旅』という映画がありましたけれども。
 あれではそう、宇宙ステーションまで行く民間宇宙船は、パンナムが運行することになってましたから。もう20世紀のうちに潰れちゃいましたけど(笑)

山路:そこが1番予想外したとこだったっていうことですね(笑)

小飼:うん、けっこう難しい。

山路:この未来予測っていうところでいうと、この『東京の子』の舞台の東京って、東京オリンピックのその会場跡地が民間に払い下げ、安く払い下げられて、そこにショッピングモールだったり、介護施設。

小飼:そこがちょっと面白いんですよ。そこの部分というのが、大学を兼ねてるんですよね。

山路:東京デュアル。

小飼:はい。

山路:東京人材開発大学校なんですよね。大学ではなくて大学校なんですよね。

小飼:そうなんですよね。

山路:その兼ねてるっていうのは、どういう意味になるんですか。そこで、何と何が兼ねられている?

小飼:要は、そうそこで働くと、単位とお賃金を貰えるわけですよね(笑)

山路:これって何というか、今の日本の状況からしてみたら、かなり理想的なのではないですか。つまりその技能を学びながら、会社で。

小飼:いやあ、でも裏を返すと、今日本の労働力としかみなされてない、もっとぶっちゃけていうと、奴隷とみなされている外国人研修生と同じ立場に、制度がなるんじゃね? という。

山路:学べてお賃金も貰えるみたいなふうに見えるけれども、選択出来るほどの選択肢がない。

小飼:そうそう、そういう問題を孕んでいる。

山路:自由はないんじゃないのっていう。

小飼:凄い面白い舞台設定だなと。要は日本で生まれて、始め生まれた時から日本国籍を持っている人たちには縁がなかった境遇というのがもうそのまま降ってくると。

山路:ある意味、自分が移民になったような疑似体験というのかな。

小飼:そうそう。

山路:移民として日本で働くことになったらどうかということを真剣に考えざるを得ないということか。なるほどね。これでも、今の非正規とかなんかの、正社員と非正規の差別みたいなものがあって、雇い止めとかされちゃうっていうことがあるわけじゃないですか。それに比べてどっちがマシかみたいな、この東京デュアルのやつっていうのはどうなんですかね? っていう。

小飼:それもまあ実際に読んで確認してみて下さいという感じなんですけども。

山路:じつは藤井太洋先生との対談というのは、小飼弾の論弾でも行っていますのでこちらも。

小飼:今のこの2019年の日本には辿り着けないくらい、いい2023年にしてこれか! というところを楽しむ。

山路:この作品って、すごい読後感のいい青春小説じゃないですか。

小飼:そうなんですよね。

山路:それの後で、藤井太洋さんのインタビューを読むと(笑)、なんかこう。

小飼:(こういう未来は)ねえから。

山路:ねえからって、おいおいみたいな(笑)。それは小説っすからみたいな。このむしろ何というかな、二重の意味で。

小飼:現実つらー。

山路:現実つらーみたいな。この『東京の子』の小説の中の世界も決して、生きやすい世界でもないじゃないですか。けっこうキツいじゃないですか、それはそれなりに。それよりもちょっと現実はハードモードですかみたいな、なんかこの感じはあるんですけどもね。弾さん的にはこの『東京の子』で描いているみたいな好景気、そういうそれこそオリンピック跡地が民間に払い下げられて、そこんとこで再開発とかで景気が来るとは思わない?

小飼:じつは好景気云々はおいといて、東京デュアルが出来ないということまでは決まってます。もう跡地の開発計画というのは出来ちゃってて、どこに払い下げられるかというのも確か三井だったと思いますけど、だからかなりでかい、今の豊洲を更に一回り、大きくしたような、高層マンション街が出来る、タワマン街が出来るというのは、そこはもう決定事項ですね。
 東京デュアルは来ません。

 

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