そんなステラ・アルトワが卸先のパブやバーに提供しているビールグラスはお酒好きの間で密かに人気を博しており、なんと年平均数千杯ものグラスが“うっかり”持ち帰られてしまうという特殊な問題も生じています。これを受けて同社が公開したのは、持ち帰ってしまった人たちを非難するのではなく、彼らの行動に理解を示すという意外な動画でした。
“Unacceptable, Yet Understandable(決して許される行為ではないけれど、理解はできる)”というタイトルの動画は、民家のキッチン棚や洗い物の水切りにあたかも当たり前かのように置かれているステラ・アルトワのグラスを紹介しています。本来であれば飲食店向けに展開しているグラスが、なぜか一般家庭にある……理由はさておき、あえて盗難行為に理解を示すことで自社のブランドがいかに魅力的であるかを表現しているのです。
ブランドが自らの言葉で語るより、結果だけを見せることで強烈にメッセージを描くという手法はすべての企業が真似できる手法ではありませんが、印象的なブランド資産を築くことができた数少ないブランドのコミュニケーションの一つの正解であると言えるでしょう。同時に公開された会話劇風の動画では、2人の登場人物がいかにしてステラ・アルトワのグラスを飲食店から盗むか、その計画を練っている様子を紹介しています。