70歳以上の旅の後押しを目的に2022年にスタートした同サービスは、全国に展開する「界」ブランドの温泉旅館に年12泊できるサブスクリプションサービスです。宿泊人数に応じて3種類のプランが用意されており、一人旅はもちろん、家族や友人と一緒に巡ることもできます。
観光庁の「旅行・観光消費動向調査」では、70歳以上の年間旅行回数の平均は1回程度という現状が発表されていますが、同プランの初年度のユーザーのうち約9割が「年12泊」の界めぐりを完全制覇するという結果を残しました。宿でゆっくりできる温泉旅は高齢者と相性がよく、旅に出る後押しになっていると考えられます。
「界」は、全国の20施設(2024年開業の施設を含む)が対象であるため、定期券がきっかけとなり遠方へ出かける機会の創出にも貢献。同社の調査によると、シニア旅のハードルを上げているのは「宿の予約や手配の煩わしさ」とのこと。定額制で安心感があり、宿選びに迷う必要がなくなることでシニア世代の悩みを解決しました。
一方、同プランは繁忙期以外の月〜木曜日チェックインを条件にしており、ホテル側にとっては比較的空室が増える平日の稼働率向上に繋げられるとともに、顧客を囲い込むことでグループ全体の売上アップに期待できます。高齢化社会とホテル双方にとってのメリットを生み出すシニア向けサブスクサービス「温泉めぐり 界の定期券」。条件を絞りお得なプランを提示することで、宿泊客の安定性にもつながりそうな好例です。