SNSの普及によって、従来のテレビ中心のタレントだけでなく個人単位でのインフルエンサーが台頭しはじめて早10年ほど。マスメディア以外の第3の情報源としてSNSが人々の生活を彩る一方で、今までは知るよしすらなかった美男美女に触れる機会が増えたのをきっかけにルッキズムの加速が社会問題として取り上げられるようになりました。

より細く、より美しく……そんな悪循環が出来上がった結果、今若年層の5人に3人はSNSが原因でメンタル面での不調を訴えているというデータもあります。この状況を少しでも改善すべく、大手美容ブランドのダヴは“Cost of Beauty(美しさの代償)”という長尺ブランディング動画を公開しました。

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Maryという名前の1人の少女が主役を務める動画では、実際にMaryとMaryの家族が幼いころから撮影しつづけてきたリアルな映像を中心に進んでいきます。幼いころのあどけなさを残しつつ1歩また1歩と大人の女性へと成長していくMaryの様子は一見すると微笑ましい内容にも見えますが、途中からSNSを頻繁に見るようになり、そこに現れるインフルエンサーたちの姿を見ている内に摂食障害を抱えるようになってしまいます。

過度に美しさを追い求めるあまり、不健康な食生活と不健全なワークアウトを行なってしまうMaryは最終的に入院することに。動画のラストではMary同様さまざまなメンタル面での問題を抱えることになってしまった少女たちの姿をストレートに見せることで、ありのままの美の重要性とSNSがもたらす少年少女への負の側面を浮き彫りにしました。

多様な価値観と行きすぎた利便性の先に待つ危険に警鐘を鳴らしつつ、美を取り扱うブランドとしてダヴが掲げる理念を力強く描いた事例でした。

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