ディズニー名作のどこかがゆがめられた“もしも”の世界を描く、「ディズニーツイステッドテール」は、全米で累計発行部数250万部を超えるニューヨーク・タイムズ・ベストセラーのYA(ヤングアダルト)小説シリーズです。邦訳版は、2021年『パート・オブ・ユア・ワールド(リトル・マーメイド)』を皮切りに5タイトルが発売され、国内でもシリーズ累計11万部を超える人気シリーズとなっています。
このシリーズは、だれもが知っているおなじみの物語の“どこか”がゆがめられることによって展開が大きく変わって、予想もつかない方向に進むところが醍醐味です。ただ、もともとの物語をよく知っているからこそ楽しめるという、ある意味“ファン向け”という側面が強いものでした。
今回題材となる「シンデレラ」の物語は、まさに「だれもが知る」定番中の定番のおとぎ話ゆえに、シリーズ6作目にして、もっとも「ゆがめ甲斐のある」作品となっています。舞踏会で落としたガラスの靴の片割れを履くことができなかったシンデレラは、どのような運命をたどるのか? 王子さまにふたたびめぐりあうことができるのか? ディズニー版のアニメーション映画を見ていても、いなくても、だれもが楽しめるエンタメ作品となっています。
ディズニーの名作を見ていなくても、下敷きになっている童話やあらすじは誰しも知っているもの。そもそも人気のコンテンツに「もしも」の世界を加えることで、さらにその世界観や魅力を増すというアイデアには脱帽です。だれしもが、いちどは考えたことのあるイフストーリーを、プロが描いたらどんな驚きの展開が待ち受けているのか、全米でも人気になるのもうなずけますし、日本語訳版のシリーズが重ねられ、部数を伸ばしているのも納得です。
主人公だけでなく、悪役側のヴィランにもスポットを当てるなど、ひとつの物語世界を多角的にコンテンツとして仕立てる巧みさに、続く「もしも」の世界という手法。「ゆがめられた世界」というワードも効いています。
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