ビュロ菊だより

<菊地成孔の日記 2023年3月6日 午前2時記す>

2023/03/06 10:00 投稿

コメント:13

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「ウエイン・ショーター

 そんなモンの統計なんかきっと誰もとっていないだろうけれども、旧正月明けて今年が始まる直前から始まった「有名人の訃報」は、まるで淘汰かレミングのようで、異常値を示していると思う。トゥルゴイと笑瓶ちゃん(通信簿ガチのオール1)を見送ったと思ったら(「新音楽制作工房」の代表としてTwitterをしているのですが、彼ら2人への手向けの写真を掲げた。我ながらなかなか良いと思うのでチェックしてみてください。芸人がフリースタイラーとしてマイクを握るブームがまだ続いているかどうかは知らないが、あの写真が天国のデ・ラ・ソウルだ)、いつも歌っている「G.o.a.P」の作曲者である、元ムーンライダースの岡田徹さんが亡くなったかと思うと(岡田さんと僕は、一時期同じ事務所にいて、そのつてでライダースのアルバムにサックスで参加していたりするのであるが)、「あ、、」という感じでウエイン・ショーターが亡くなった。

 

 とはいえまあ、ウエインは既に死んでいたか、あるいはまだ死んでいないと思う。「現世でも200は行くな」と踏んでいたけれども、そんな事したら人々が驚く。仏法はそれほど詳しく知らないが、長生きによって人を驚かすのは(早や死にによって驚かすよりも、遥かに修行が必要で、徳の高い事であろうとも)善行とは言えまい。なんの信心もない人々の平均値では「十分天寿を全うした」と言わせしめる89歳である。

 

 僕のテナーサックスのケースには(大好きな)シールも(そんなに好きではない)有名人のサインも一つも貼っていないが、ウエインのサインだけが記されている。それは2005年に彼が来日した時に、僕と村井さんでインタビューに行った時のものだ。最近、この日記に、やっぱり写真を添えようと思い始めているのだが、デジタルカメラを買わないといけないので、買ったら自慢げに披露するが、そこには「2005 good future!  Wayne Shorter」とある。僕は42歳で、精神分析治療の最初の段階を終え、1stソロアルバム「デギュスタシオン・ア・ジャズ」のあと、2ndソロアルバム「南米のエリザベステーラー」をリリースしたばかりだったが、仏の力は凄まじく、あれ以来、僕の未来はグッドなままだ。ありがとうウエイン。僕は数ヶ月後に還暦になるに際し、古いサックスを全部オークションにかけることにしたけれども(ガチで。楽譜や服なども放出し、売り上げは全てペペトルメントアスカラール財団に寄付します笑)、あのケースだけは一生大事にするよ。 

 

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コメント

userPhoto 菊地成孔
(著者)

>>9

 コロンボのメモは、アレは犯人をイラつかせるためにわざと探してるだけで、結局は出てきますけどね笑。有名(?)な、「水には電気が流れている」は、モンクに元ネタがあって、その元ネタはアイザックアジモフだと言われていますね。

No.11 13ヶ月前

>>10
菊地さん、ごめんなさい。レヴューはMMでした!クソレヴューですよね〜!スターウォーズで言うところの師範代的な方だったのでしょうか。いずれにしても、作曲家としてのウェインショーターは菊地さんのダブセクステットなどの作品でしか食っていない=消化されてない感じがしてます。国内外問わず。

No.12 13ヶ月前
userPhoto 菊地成孔
(著者)

>>12

 MMといえば、ミステリーマガジンですね笑。だったらジャズのことはわからなくても仕方がないですね笑。

 ウエインの音楽自体は広範に影響与えていると思いますが、第二期黄金クインテットの作曲家としてのウエインの楽曲は、確かに僕ら以外にはあまり継承者いないですね。

No.13 13ヶ月前
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