今回は、その昔、井上陽水さんが使用されていたことでも有名で、当時「マーチンを忠実に再現した」と言われていた S.yairi YD-306 と本家の martin D-28 を比べてみたいと思います。
製造年も近いので比較になるかな。
ギター紹介
【martin D-28 1979年製】
D-28(画像01)
【martin D-28 1979年製】
D-28(画像01)
仕様は、ご存じ(トップ)シトカスプルース単板、(サイド、バック)インドローズウッド単板、(ネック)マホガニー、(指板、ブリッジ)エボニー。音は、よくアコギの基本の音と言われますね。私のD-28は、音量があり軽く弾けばやさしく、強く弾けばガッツンとアクセントを付けてくれます。激しいストロークでも暴れないところは流石です。
【S.yairi YD-306 1976年購入】
YD-306(画像02)
YD-306(画像02)
当時 S.yairi の型番の中では、受注生産のYD-308・307に次いで量産ギターでは一番上位の機種。(トップ)スプルース単板、(サイド、バック)ローズウッド単板、(ネック)マホガニー、(指板、ブリッジ)エボニー
音は、倍音があり、一弦一弦の輪郭がはっきりとした音。マーチンに近いがマーチンよりもジャキジャキ感があり、キラキラ。それが録音したときに力強いイイ感じの音になります。
【比較1】ヘッド・ペグ
まずは、ヘッド部分の画像を見てみましょう。形はほぼ同じですが、貫禄からすると貝のインレイが入った YD-306の方に軍配かな。でもシンプルなD-28も好みです。
D-28(画像03・04)
まずは、ヘッド部分の画像を見てみましょう。形はほぼ同じですが、貫禄からすると貝のインレイが入った YD-306の方に軍配かな。でもシンプルなD-28も好みです。
D-28(画像03・04)
YD-306(画像05・06)
ペグはどちらもシャラー製。D-28はmartinロゴ入りシルバー、YD-306はシャラーロゴ入りゴールドです。
D-28(画像07)
YD-306(画像08)
【比較2】指板・ネック
仕様はどちらも指板はエボニー、ネックはマホガニー。ドットの形状はほぼ同じですが、YD-306にはバインディングがありD-35の様です。指板のエボニーの材質はYD-306の方が数段良いものを使っているように思います。艶があり、目が詰まっています。
D-28(画像09・10)
D-28(画像09・10)
YD-306(画像11・12)
ネックについては、D-28は1本のマホガニーから削り出し?されていますが、YD-306は2枚のマホガニーを合わせていることがジョイント部分で分かります。
D-28(画像13)
YD-306(画像14)
D-28(画像13)
YD-306(画像14)
ネックヒールの形状はD-28がおにぎり型、YD-306は弾丸の様な形をしています。
D-28(画像15)
YD-306(画像16)
ちなみにネック幅はこんな感じです。ほとんど変わりませんね。バインディングがある分YD-306の方が若干広いです。
D-28(画像17)
YD-306(画像18)
YD-306(画像18)
【比較3】トップ面・ピックガード
トップ上部は、パッと見てもどちらかが分かりにくいほど似ています。YD-306は指板部分にバインディングがあるので判別できますけどね。トップ板は、D-28の方が目の粗いスプルースが使われています。これが柔らかく、ふくよかな音の要因なのではと思っています。
D-28(画像19・20)
D-28(画像19・20)
YD-306(画像21・22)
下部の方もほとんど違いが見つかりませんね。ブリッジの材質がD-28、YD-306ともに仕様ではエボニーのはずが、YD-306はどう見てもローズのようです。
D-28(画像23・24)
D-28(画像23・24)
YD-306(画像25・26)
ピックガードはD-28がべっ甲柄の物に交換しています。martinによくあるピックガードが剥がれ、マーチンクラックが出来たので修理と一緒に交換しました。
D-28(画像27)
トップ全体を見ていて、何となくmartinがスマートに見えるので、細かく測ってみると微妙に違うことが分かりました。簡易測定ですが、ギターのショルダー部分、クビレ部分、ヒップ?部分の幅の順にD-28が 29㎝、27㎝、39㎝に対しYD-306 29.5㎝、28㎝、40.2㎝とS.yairiが一回り大きいことが分かりました。逆にサウンドホールはD-28 10.1㎝に対しYD-306 9.9㎝とD-28の方が大きくなっていました。
D-28(画像28)
YD-306(画像29)
D-28(画像28)
YD-306(画像29)
【比較4-1】バック材
バックの形状を見てみましょう。まずはD-28ですが、ご存じローズウッドの2ピースですね。
私のD-28は、ちょうど中心付近に節のような木目があります。
私のD-28は、ちょうど中心付近に節のような木目があります。
D-28(画像30)
【比較4-2】バック材
YD-306は、3ピースになっています。MartinでいうとD-35タイプです。
で、問題はこの材質なのですが・・。1976年頃はハカランダ材からインドローズ材への変更期で、
両方の材が混在していたようなのですが、バンドの相方が言うには、こいつは「柾目のハカランダ」じゃないかね?とのこと。その根拠がこれ。
YD-306(画像31)
YD-306は、3ピースになっています。MartinでいうとD-35タイプです。
で、問題はこの材質なのですが・・。1976年頃はハカランダ材からインドローズ材への変更期で、
両方の材が混在していたようなのですが、バンドの相方が言うには、こいつは「柾目のハカランダ」じゃないかね?とのこと。その根拠がこれ。
YD-306(画像31)
もっと木目が分かる様にアップで比べてみます。どう思われるでしょうか?
D-28(画像32・33・34)
D-28(画像32・33・34)
YD-306(画像35・36・37)
【比較5-1】側板
D-28(画像38・39・40)
D-28(画像38・39・40)
【比較5-2】側板
YD-306(画像41・42・43)
YD-306(画像41・42・43)
一見同じようにも見えます。しかし、バック板同様よ~く見ると違う種類の木を使っているようにも思えます。バンドの相方が言うところの「ハカランダ説」はここから来ています。
・・とまあ、如何だったでしょうか?当時 Martinに憧れながらも、先立つものがなく購入することができなかった私は、外見の良く似た YD-306を購入しました。その後、やはり音がイイからと、結局D-28を購入することになったわけですが・・(笑)
とにもかくにも、音色はそれぞれ特徴のあるイイ音をしており、楽曲に合わせて使い分ければ、共に素晴らしい音を奏でてくれるギターであることに違いはありませんので、今後も大事に扱っていきたいと思います。
それでは、また次回!
On-premises(オンプレミス)会長:福永 善文
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