田中康夫公式ブロマガ「だから言わんこっちゃない!」

「だから、言わんこっちゃない!」2月3日号

2013/02/03 20:34 投稿

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【ブロマガ月別アーカイヴ: 2012-12 / 2013-1 / 2013-2生放送はこちら 】

「発送電分離」は果たしてバラ色か、を今回は論じます。う~む、かなり長尺になりそうな予感(苦笑)。

列車事故が多発する原因となったイギリスの国有鉄道=ブリティッシュ・レイルの上下分離方式民営化の悲劇。
電力供給を投機商品化してカリフォルニアの大停電を齎(もたら)した末に破綻したエンロンEnronの悪夢。
こうした過去の失敗から学ばぬ展開へと陥る蓋然性(がいぜんせい)が極めて高いにも拘らず、“理ならぬ利”で語られる「発送電分離」ベクトルに警鐘を鳴らず向きは、何故か少ない島国ニッポンです。

畏兄・宇沢弘文氏が定義した「社会的共通資本」とは何か、という観点から「発送電分離」問題を扱わねば。
いんや、その前に、殿様商売なノーメンクラトゥーラ集団だった東京電力を「3・11」直後に新社・旧社へと、即ち「存続会社・清算会社」へと分離、詰まり「供給会社・補償会社」へと分離しなかった日本の「問題先送り」体質を一刀両断せねば。
電力館の運営費も銀座の飲み代も発電の為の「コスト」として計上し、「コスト」が掛かれば掛かる程、自動的に利潤も増える計算式に基づく「総括原価方式」! ネズミ講も真っ青な、崩壊した社会主義国のノーメンクラトゥーラも垂涎(すいぜん)の「総括原価方式」を断ち切るのが先決でしょ。
にゃあんて以前から思っていたところ、以下の記事が掲載されました。

「発送電分離、5年後めど 経産省検討、改正法案付則に 家庭向け自由化、3年後から」
と見出しを打って「朝日新聞」が報じたのは1月31日(木)朝刊です。
この記事を嚆矢(こうし)=皮切りに、他紙も“後追い”を始めます。
「経済産業省の有識者委員会は31日、電力会社から送配電部門を切り離す『発送電分離』を5年後の2018年度をめどに始めるよう求めることにした。これに伴い、電力会社のほかにも家庭向け電力の販売を認める『小売り自由化』を3年後の16年度から段階的に進める。経産省はこれに沿った計画を今国会に提出する電気事業法改正案の『付則』に盛り込む方針で電力改革が具体的に動き出す」
「有識者委員会」が「発送電分離」を「求める」当日の朝刊で、それも1面右肩トップで「朝日」のみが報じたのですから、警察や検察同様に「面子(めんつ)」を重要視する他紙の皆々様は「抜かれ」ちゃった訳で、当然、面白くない。

「朝日」だけが内密に入念に追い掛け続けてスクープした嘗ての「リクルート事件」みたいなブッチ抜きでしたら他紙も、現場記者のみならず経営幹部・編集幹部を含め全社的に諦めが付くでしょうが、今回の「発送電分離」導入は経済産業省を担当する記者クラブ的には当然の助動詞“べし”の「規定事項」で、「護送船団」として何時、報道解禁するか、みたいな事象ですから、このボケッ!何やっとるんじゃ~ぁ、と現場は怒鳴られたに違いありませんね(爆)。

その悔しさが後掲の「日本経済新聞」や「共同通信」の記事に漂う、些(いささ)か屈折した後追いに繋がる訳なのでしょうが、時間軸を一旦戻すと実は、
「電力市場に競争原理を導入するために『発送電分離』の方向性が見えてきた。政府が2月中に開催する『電力システム改革専門委員会』で実施に向けた具体策をとりまとめる予定だ。電力会社の送配電部門を独立の会社にする『法的分離型』になる可能性が高まっている」 
と「スマートジャパン」石田雅也記者の署名記事をアップしていたのですね。

とは言え、「アイティメディア」はネット界の皆々様が韓国・中国と並んで「大~ぃ好きwなソフトバンク」が株主で、「スマートジャパン」はその傘下でしょ。
全国紙・通信社・在京TV局が会員の「経済産業記者会」メディアではないですから、この段階では「誤送船団・忌捨クラブ」も安穏・安閑としていられた訳です(苦笑)。

ちょぴっと引用すると、「『スマートジャパン』は、日本各地の企業・自治体にとって喫緊の課題である電力の有効活用と安定確保に向け、節電・蓄電・発電のための製品検討や導入に役立つ情報を提供」だそうです。
クンクン、「自治体にとって喫緊の課題」という箇所が臭いますねぇ(爆)。
ハコモノ公共事業と違って目に見えにくい=インヴィジブルinvisible な企画・コンサルティングという値段が有って無きが如しな、とても美味しい公共予算獲得の深謀遠慮作戦ですね、ソフトバンクの。
まあ、記事を担当した現場のスタッフには、そんな「深意」はこれっぽっちも無いのでしょうが。

で、お約束の道草wから話を元に戻すと、思うに「朝日新聞」の記事に、「発送電分離を5年後の2018年度をめどに」、「小売り自由化を3年後の2016年度から段階的に」と具体的に数字が入っていたのが、「面子」を傷付けられちゃった訳ですね。
5W1HのWhyやHowという分析・調査報道の部分ではなく、表層の数値に「過ぎない」4Wのマニュアル的というかアルゴリズムalgorithmな「客観的」な話で「抜かれてしまう」のが、「護送船団・記者クラブ」の面々にとっては、埃じゃなかった誇りを傷付けられるのですね、非常に。

なものですから、
「茂木経産相、発送電分離時期『これから判断』」 2013/2/1 11:08という「日本経済新聞」の記事になってくる訳です(苦笑)。
「具体的な時期はこれから最終的に判断する」という発言を引き出して、ほぉら、朝日のフライングでしょ、と暗喩してる訳です。ねっ、「面子」でしょ。
茂木敏充経済産業相は1日の閣議後の記者会見で、電力システム改革で送配電部門を分社化する法的分離を始めることに関して「具体的な時期はこれから最終的に判断する」と述べた。
 今国会に提出予定の電気事業法の改正案では法改正に時間のかかる発送電分離や家庭向け電力の小売り自由化は開始時期を付則に盛り込む方針。「専門委員会が今月中旬にも(報告書案を)とりまとめる。それを受けて判断していきたい」と語った。
 原子力規制委員会が31日にまとめた原子力発電所の新たな安全基準の骨子案では「安全性が確保される規制の実現に向けて、電気事業者に対して具体的なデータや専門的な知見をきちんと提供するように要請していきたい」と述べ、電力業界に改めて協力を要請した。
電力の発送電分離は4-6年後 経産省専門委の報告書案」と題しての「共同通信」配信記事も同様です。2月2日11:36配信


電力システム改革を議論する経済産業省の専門委員会が、電力会社の発電部門と送配電部門を切り離す「発送電分離」の時期を「4~6年後(2017~19年)」と報告書案に明記する方向で調整に入ったことが2日、分かった。
報告書案では、電力市場の取引を専門的に監視するため、電力会社の監督権限を経産省から一部切り離し、今後創設する新機関が担当する方針も打ち出す。これまで事業規模などに応じて電力会社ごとに免許を与えていた方式は、発電、送配電、小売りの事業分野ごとの免許制に改める。
経産省は、分離時期を盛り込んだ電気事業法改正案を開会中の今国会に提出することを目指す。


「報告書に明記する方向で調整に入った」って表現が意味深でしょ。調整に入った=未だ確定じゃないのに「朝日」が飛ばした訳よぉ、って言外に。クスッ。
(「電力市場の取引を専門的に監視するため、電力会社の監督権限を経産省から一部切り離し、今後創設する新機関が担当する方針も」の抜け目なき”深意”は後程、言及します)

何故か「朝日」は、ここまでよぉ、と思わせ振りな“チラリズム”ストリップ記事が多くて、冒頭の記事も会員登録すれば月に何本かは無料で購読出来るとは言え、「続きを読む」には「手続き」を踏まねばならぬのが面倒な御仁も居られるでしょうから、全文再録しておきます。


 経済産業省の有識者委員会は31日、電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」=キーワード=を5年後の2018年度をめどに始めるよう求めることにした。これに伴い、電力会社のほかにも家庭向け電力の販売を認める「小売り自由化」を3年後の16年度から段階的に進める。経産省はこれに沿った計画を今国会に提出する電気事業法改正案の「付則」に盛り込む方針で、電力改革が具体的に動き出す。
 電力システム改革専門委員会(委員長・伊藤元重東大大学院教授)が2月8日にまとめる報告書案に「工程表」として示す。経産省は、発送電分離の関連法案が多く法改正の作業に時間がかかるため、今国会はまず、法律の主な事項(本則)を補う付則に進め方や時期を盛り込む。
 これで、政府は付則に基づいて法改正の準備を進めなければならなくなる。ただ、電力業界の反発で法改正が遅れたり骨抜きになったりするおそれが残る。
 委員会は東京電力福島第一原発事故を受けて12年2月から電力改革を検討し、昨年夏に発送電分離を進める方針を確認した。今年1月には電力会社の子会社に送配電部門を切り離す「法的分離」(別会社方式)を採用する方針も固めた。
 分離によって、風力や太陽光などの自然エネルギー発電に乗り出した新会社にも公平に送電網を開放するよう促す。電力会社にしか認めていない家庭向け電力の販売も自由にできるようにして競争を進め、電気料金値下げや自然エネ普及につなげるねらいだ。
 電力業界は「検討の余地があり、まだ判断できない」(電気事業連合会会長の八木誠・関西電力社長)などと抵抗している。電力業界の支援を受けてきた自民党内にも慎重な意見が根強い。ただ、「電力業界寄り」との批判を避ける必要もあり、茂木敏充経産相は「方向性は出ている」として電力改革を進める意向を示している。
 一方、発送電分離や小売り自由化を進めると、電力の安定供給にだれが責任を持つのかがはっきりしなくなるとの批判もある。電力供給が不安定になれば、逆に電気料金値上げにつながるとの見方もある。(藤崎麻里、堀口元)

 ◆キーワード
 <発送電分離> 日本の電力会社は地域ごとに発電と送電をほぼ独占しており、この発電と送電の事業を切り離す。自然エネルギー発電などの新会社に送電網を公正・中立に使わせ、競争を促すねらいがある。欧米の主な国では1990年代以降の電力自由化で採用された。日本でもたびたび検討されたが、電力業界の反対で見送られてきた。

うーむ、「(発送電分離で)電力改革が具体的に動き出す」!?
そうなの? 本当なの?
と僕は思っちゃう訳ですね。当ブロマガの勘性鋭き購入者も同様に、臭うなぁ、と気付いていた筈。
学問に限らず、王道は存在しないし、魔法の杖だって存在しないでしょ。
なのに、しかも、伏魔殿の「電力業界」が、発送電分離というワン・イッシューで全て解決する訳ですかねぇ?

・小選挙区制さえ導入すれば、政策本位の政治が実現する!
・郵政民営化さえ断行すれば、社会も経済も活性化する!
・TPP参加こそは平成の開国だ!

金科玉条=golden rule=黄金律の如くに唱えられた“机上の空論”なスローガンを思い出しますデス。
誇らしげに「計画経済」を掲げた社会主義国は、実は“机上の空論”な「非計画経済」だったが故に溶解していきました。
それと酷似していますね、心智が。

その文脈で、
発送電分離に協力迫る 経産相、電事連会長と会談 原発事故後初」と題する1月31日付「日本経済新聞」朝刊も“深読み”しておきましょう。

 茂木敏充経済産業相は30日、電気事業連合会の八木誠会長と会談した。経産相と電力業界首脳の会談は2010年12月以来で、東京電力福島第1原発事故の後では初めて。茂木氏は「(発送電分離の)大きな改革を推し進める。懸念があるから前に進められない、いま決められないということでは困る」と述べ、電力システム改革への協力を強く迫った。
 電力業界からは水野明久中部電力社長など10社を超える首脳が参加し、原発の再稼働、システム改革、エネルギー政策の3点の考え方を述べた。電力システム改革について八木会長は「前向きに協力するが、原子力のエネルギー政策がみえないなかで、現時点で発送電分離がどういうパターンがよいかは判断できない」と慎重な対応を求めた。
 これに対し茂木氏は「国民の理解を得て電力政策をすすめるためにも電力システム改革が極めて重要」と強調した。震災後の電力需給や電力の値上げなど問題が山積していると指摘。「広域系統運用の拡大、電力小売りの全面自由化、送配電部門の一層の効率化の3つの大きな改革を推し進める。改革の方向と具体的な内容は近々打ち出す」との決意を示した。
 発送電分離をめぐっては電力システム改革専門委員会(委員長・伊藤元重東大教授)で、グループ内で送配電部門を分社化する「法的分離」を実施することで大筋合意している。経産省は通常国会への提出する予定の電気事業法改正案に盛り込む方針だ。
抜き出して比較してみると一目瞭然!
★茂木氏の発言
「(発送電分離の)大きな改革を推し進める。懸念があるから前に進められない、いま決められないということでは困る」
「国民の理解を得て電力政策をすすめるためにも電力システム改革が極めて重要」
「広域系統運用の拡大、電力小売りの全面自由化、送配電部門の一層の効率化の3つの大きな改革を推し進める」

★八木氏の発言
「前向きに協力するが、原子力のエネルギー政策がみえないなかで、現時点で発送電分離がどういうパターンがよいかは判断できない」

いやぁ、殆ど茂木敏充氏は小泉純一郎氏の霊魂が乗り移ってます。うんにゃ、正確には竹中平蔵氏かな(苦笑)。
対する八木誠氏=関西電力代表取締役社長は「Yes But」論法で腰が引けています。
「原子力のエネルギー政策」が見えてこないと「発送電分離のパターン」を判断出来ないと発言する辺りがね。
仮に原子力続行になっても、百万が一(苦笑)に原子力断念となっても、「それ=原子力発電」と「これ=発送電分離」とは別個の問題ですから。

では、この記事の中では「ヒール役」を演じさせられている電事連=電気事業連合会は、「発送電分離」に200%反対なのでしょうか?
余談ながら、もっと高い数値=パーセンテージを乱発して、いとも簡単に反故(ほご)にする首長よりも「200%」の表現は誠実でしょw。う~む、直前に用いた「百万が一」表現はどうよ、と茶々も飛びそうなので(汗)、寄り道を元に戻せばw、
興味深いのは、“電力業界の守護神”だった「日経」すら「発送電分離」推進を肯定の論調だ、って事実です。
何か手を付けないと「世論」が納得しない。で、所属する古参議員も新人議員も、本籍地というか国籍は自由民主党に帰化したい症候群wな日本維新の会を筆頭に、現住所は野党の議員の中には、「発送電分離」を声高に唱和する面々が数多い。
ならば、恭順の意を表する振りして、「大きな改革=実は些末な改革」の羊頭狗肉を打ってみますか、ってな経産省と電事連が阿吽(あうん)の呼吸で了解済みな「その『物語』、の物語。」(爆)。

だって、「電力システム改革専門委員会」という名の「有識者委員会」は、経済産業省が設置したんでっせ。
既存の電力10社(北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州・沖縄)の監督官庁だから当然でしょ、と善男善女の皆様は仰るでしょう。
でもね、委員会開催時の資料作成も会場設営も経産省が担当。委員への日当支払も経産省の予算。おっと、その前に委員人選も。
電力業界へ自分達の先輩がワンサカ天下っている経産省が事務局を務める「委員会」が“暴走”して「発送電分離」を打ち出す訳がないザンショ。

「発送電分離に協力迫る 経産相、電事連会長と会談 原発事故後初」と題して「日経」が報じた茂木VS八木会談冒頭のメディア“頭撮り”に於ける茂木氏の“脅し”は、「政治主導」でも何でもない訳ですよ。
論より証拠で、昨年末の新「政権交代」前から「委員会」は設置されていた訳で、(再度、性懲りもなく「二百万が一」を用いればw)二百万が一にも民主党の思惑で設置され、民主党の思惑で運営されてきていたなら、それこそ「政治主導」で茂木氏は委員会を刷新する筈でしょ。
原発は再稼働したいし、電事連も守りたい経産省の筋書きに、知ってか知らずしてか乗っかって演じていたw前任の枝野幸男氏とは異なり、恐らくは確信犯で原発は再稼働したいし、電事連も守りたいのが茂木氏でしょうから。

こうして眺めると、
前掲の「共同」の記事(「電力市場の取引を専門的に監視するため、電力会社の監督権限を経産省から一部切り離し、今後創設する新機関が担当する方針も」)に加えて、「中国新聞」に掲載された「共同通信」配信記事

発送電分離は4-6年後 経産省専門委が調整」に登場する「全国の電力需給を広域的に調整する『広域系統運用機関』を設立」も、何とも抜け目なき公正中立を装う「天下り」機関の火事場泥棒的な新設で、「発送電分離」こそ不可欠と唱和してきたみんなの党の面々は、怒るべきですね。

電力システム改革を議論する経済産業省の専門委員会が、電力会社の発電部門と送配電部門を切り離す「発送電分離」の時期を「4~6年後(2017~19年)」と報告書案に明記する方向で調整に入ったことが2日、分かった。

 報告書案では、電力市場の取引を専門的に監視するため、電力会社の監督権限を経産省から一部切り離し、今後創設する新機関が担当する方針も打ち出す。これまで事業規模などに応じて電力会社ごとに免許を与えていた方式は、発電、送配電、小売りの事業分野ごとの免許制に改める。

 報告書案は8日に予定する委員会でおおむね取りまとめる。経産省は、分離時期を盛り込んだ電気事業法改正案を開会中の今国会に提出することを目指す。
 専門委員会では、発送電分離を、発電と送配電を別会社にする「法的分離」の形態とする方針。これまで電力会社が保有していた送電網を、太陽光など新規の発電事業者にも公平に開放して活用を促し、再生可能エネルギーの普及につなげる狙いがある。

 発送電分離に先立ち、15年をめどに、全国の電力需給を広域的に調整する「広域系統運用機関」を設立し、地域的な電力不足にきめ細かく対応できるようにする考え。16年をめどに、家庭が自由に電力会社を選べる電力小売りの自由化に移行する。

ところで、冒頭の「朝日」の記事は、
「発送電分離」の語句説明で、
「欧米の主な国では1990年代以降の電力自由化で採用された。日本でもたびたび検討されたが、電力業界の反対で見送られてきた」
と記す一方、
「本記」と符丁で呼ばれる記事本文の最後に、

「一方、発送電分離や小売り自由化を進めると、電力の安定供給にだれが責任を持つのかがはっきりしなくなるとの批判もある。電力供給が不安定になれば、逆に電気料金値上げにつながるとの見方もある」
と記す「誠意」も見せています。
無論、記者クラブ心智としての「記事のヴァランス」って事ではありますが、でも、大事な点です。

即ち、そうした事態に陥らない為の「リスクヘッジ」も取らぬ儘、闇雲に「発送電分離」を推し進めると、
列車事故が多発する原因となったイギリスの国有鉄道=ブリティッシュ・レイル=BRの上下分離方式民営化の悲劇。
電力供給を投機商品化してカリフォルニアの大停電を齎(もたら)した末に破綻したエンロンEnronの悪夢。
と同様の、「強きを助け・弱きを挫く」展開は必至な訳です。

続編として明日4日アップ(予定w)のブロマガでは、BRとエンロンに言及した上で、東京電力を「3・11」直後に新社・旧社へと、即ち「存続会社・清算会社」へと分離、詰まり「供給会社・補償会社」へと分離しなかった日本の「問題先送り」体質に触れます。
それは、日本国有鉄道の場合と異なり、旧「政権交代」直後に不可解な処理で済ませた日本航空の宿痾(しゅくあ)と同じですね。

なお、エンロンは
の解説に加えて、
映画「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?」
のカスタマーレビュー
を通読すると宜しいかも。

「社会的共通資本」とは何か、も言及しますので、お時間の有る方は、
宇沢弘文氏が手掛けた「未来への提言~コモンズからはじまる、信州ルネッサンス革命~」も、表紙と脚注も含めて78頁もありますが、予習教材として一読をお勧めします。
「あとは自分で考えなさい。」の非暴力・不服従な突き放し方を痛感する上でも。

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