「良いことをしゃべっていたが、言葉をどう現実の政治で実現するかはなかった」と「朝日新聞」が小沢一郎氏の指摘を報じています。
安倍晋三首相の所信表明演説を受けての発言です。
冒頭からオザワンの発言を引用すると、もぉう、それだけで極度に昂奮したり、極度に反発したり、マンセー=パチパチVSクレーム=ブーブーの不毛な感情的対立が起こりそうですが(苦笑)、
http://www.asahi.com/politics/update/0128/TKY201301280374.html
「私は全ての閣僚に『経済再生』『震災復興』『危機管理』に全力を挙げるよう一斉に指示をいたしました」

「大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という『三本の矢』で、経済再生を推し進めます」

というアベちゃんの文言(もんごん)自体は「良い」訳です。
その上で、
「この国のかたち」という外側から誰もが見えるヴィジブルvisibleな制度=システムの変更ではなく、「この国のあり方」というインヴィジブルinvisibleな心智=メンタリティの構築が問われている訳です。

こうしたセンスというかメンタリティ、哲学というか覚悟、「心智」同様に僕が編み出した惹句で言えば「智性・勘性・温性」を指導者のみならず執行者も持ち合わせているかどうかが肝要です。
その基本認識を共有した上で、中味であったり規模であったり時期であったり、の具体的議論を行い、的確な指示と迅速な行動が行われなければ、その成果や結果に対する明確な責任も生まれてきませんですね、まったく。

その意味でも、「震災復興」云々の具体策へと降りて議論する前に、「除染は『移染』に他ならぬ」と認識を改めるべき。これこそは、「震災復興のあり方」の根幹に関わる問題だからです。
出鱈目な処理を頬被りする「手抜き除染」と、国は直轄事業として1人1日4万6千円も予算計上しているのに、内部被曝と直面する現場の作業従事者に手渡るのは6千円~8千円と賃金の中抜きが問題となっている「中抜き除染」。
恬(てん)として恥じないゼネコン=general contractorが胴元として暴利を貪(むさぼ)る構図こそ、税金を投入しても投入しても地域雇用が生まれず、地域経済が潤わなかった「失われたウン十年」の、ダム建設に象徴される“間違いだらけなシャブ中毒的公共事業”の象徴です。
「移染」という「史上最大・最悪の公共事業」から脱却し、新しいOSへと転換しなくては、その他の事業も震災復興バブルで終わってしまい、望ましき「この国のあり方」は永遠に構築されません。

cf.として3本、リンクを張ります。

2011年12月8日「にっぽん改国」
「除染はもとより『除洗』も不要だ」
http://www.nippon-dream.com/?p=6463

2011年12月8日国会事故調意見陳述
http://www.nippon-dream.com/?p=6442

2013年1月14日 J-WAVE「JAM THE WORLD」出演音声
http://www.nippon-dream.com/?p=10089

「危機管理」も、先般の総選挙で「地上(じべた)十策」を発表する前から提唱してきた「サンダーバード隊」
https://www.youtube.com/watch?v=r71hhCLH2es

「地上(じべた)十策」
https://www.youtube.com/watch?v=bhbbkubHTOo

を御覧下さい。

はてさて、
前掲の「憲法・原発・消費税『なぜ言わぬ』所信表明に野党不満」という記事の中には登場していない舛添要一氏の発言を「朝日新聞」は別枠でアップしています。
http://www.asahi.com/politics/update/0128/TKY201301280376.html

「分配なければ格差ひどく」改革・舛添氏
  
■舛添要一・新党改革代表 2013年1月28日20時42分
 大胆な金融緩和政策はいいが、成長があっても分配がなければもっとひどい格差社会になる。北海道で生活が苦しくて無理心中したというニュースが流れているが、あっていいのか。3年半前、格差拡大で民主党に政権交代した。安倍晋三首相の所信表明では格差が広がっていることへの危機感がない。「何度でもチャンスを与えられる社会」と言っているが、一番大事な問題は富の偏在だ。
 たまたま株価や支持率が上がり、高揚感が目立っているが、半年後の参院選の前にボーナスが今より減っていたらどうするのか。株価が1万円を割る状況になり、円高が進んでいたら選挙に勝てない。選挙戦略としても稚拙だ。
(国会内で記者団に)

これはニャカニャカ鋭い意見で、であればこそ、「『脱・裁量行政』宣言」を掲げて、ベーシック・インカム=BIやベーシック・ワーク=BWを導入してこそ、福祉切り捨てではない「程良い大きさの政府」へと踏み出す話です。

一言だけ申し上げておけば(苦笑)
生活保護、3年で740億円減 厚労省
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS27029_X20C13A1NN1000/

と「新自由主義経済」の申し子の「日本経済新聞」も無批判・無自覚に厚生労働省の“お貸し下げ情報”をペースト記事で報じていますが、生活保護費は年間総額3兆7千億円でっせ。
740億円の削減って、コンマ以下の話でしょ。ヤッシー的言い回しだと、労使のベア交渉みたいなチンケな話でしょ。
他方で平成元年に65万世帯だった生活保護世帯は昨年10月には156万世帯=214万人に達していて、今後も増大していくのですから、国民年金同様に制度変更ではなく、新しい心智の「この国のあり方」に基づく新しい「この国のかたち」を社会保障でも提示しないと、日本に未来は訪れません。

これらの点は明日30日(水)16時~無料生放送で詳述しますね。
是非とも御覧下さい。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv123696845
御勤務や御勉学、御家事や御保育、更には御PGで同時間帯に御覧頂けない皆さまの為に、タイムシフト予約も可能です。

最後に今一度、安倍ちゃんの所信表明演説に戻れば、
「皆さん。今こそ、額に汗して働けば必ず報われ、未来に夢と希望を抱くことができる、真っ当な社会を築いていこうではありませんか」という件(くだり)がありました。
情緒的だ、抽象的だ、と揶揄(やゆ)するのは簡単です。
この僕も屡々(しばしば)、
「全国津々浦々で今この瞬間も真っ当に働き・学び・暮らす方々」
と表現します。
大切なのは、アルフレッド・マーシャルが唱えた「クールヘッド・ウォームハート」な智性・勘性・温性を併せ持って、単なるお涙頂戴に終わらず、富国強兵ならぬ富国裕民の社会を実現すべく、冷静・冷徹な心智を抱いて奮迅し得るか否か、なのですね。
ではでは、明日の無料生放送で。
若しかすると、その前に1本、「だから、言わんこっちゃない!」もアップするかも。お楽しみに。
(2013/1/29)