嫉妬するほどのよい研究。鐘紡の歴史を紐解いて、組織が長年にわたって衰退し続ける原因は、その歴史の重さにあるとした。研究方法は質実剛健。研究成果はアカデミアとして言い過ぎのない適切な範囲で述べられ、そしてそれは実務的にたいへん有意義な成果となっている。

・栄光の歴史が、重しとなって変化できない原因となる
・失敗の歴史もまた、そこからの学習が変化を阻害するものとなる

結論はシンプルにこれ。
何にせよ学習が進む結果として、組織は変われなくなっていく。
運命論的なものなのかもしれない。歴史は重い。

だとすれば、歴史という文脈からフリーになることは、組織の存続にとってとても大切なことなのかもしれない。

社会として一番早いソリューションは、歴史のない企業をどんどん生み出すことかもしれないけれども。