関東学院大学長、小山先生は一貫して「企業と社会」の関係を研究され続けておられる方です。明治乳業の食中毒の論稿は私が若いうちに読んで、たいへんに感銘を受けた論文のひとつです。

雪印乳業の食中毒は、イレギュラーに対して、「加熱消毒すれば大丈夫」とする、ある種の過信、神話によって起こった。企業事故は悪意だったり、楽をしようとしてだけ起こるのではない、現場でつくられていく神話によっても起こるのだ、と。だから、それを疑う姿勢が大切なのだ、と。

さて、今回は『日本経営学会誌』に掲載されている最新論稿「社会的課題解決装置としての企業」を拝読しました。

①ステークホルダー概念が、近年拡張されており、かつては企業と直接的な交換関係を取り結ぶ存在だけに絞られていたが、今日では相互の活動がお互いに影響を及ぼし合うすべての対象がステークホルダーとなる。

②ステークホルダー対応は基本的には企業にとって「コスト」とみられてお