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【緊急対談】「松井玲奈とSKE48の8年間」吉田尚記・宇野常寛が語る松井玲奈の卒業 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.398 ☆

2015/08/28 07:00 投稿

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【緊急対談】
「松井玲奈とSKE48の8年間」
吉田尚記・宇野常寛が語る
松井玲奈の卒業
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2015.8.28 vol.398

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(画像)松井玲奈さんが表紙を務めた『PLANETS vol.7』(2010年発売)より 

今日は、SKE48を卒業する松井玲奈さんをテーマに、アナウンサーの吉田尚記さんと宇野常寛の対談をお届けします。ラジオ番組「ミューコミ+プラス」の舞台裏で見せた松井玲奈の知られざる素顔。また、SKE48での8年間の活動の中で彼女が果たした役割と卒業後の可能性について論じました。



▼対談者プロフィール
吉田尚記(よしだ・ひさのり)
1975年12月12日東京・銀座生まれ。ニッポン放送アナウンサー。2012年、『ミュ〜コミ+プラス』のパーソナリティとして、第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞受賞。「マンガ大賞」発起人。株式会社トーンコネクトの代表取締役CMO。おそらく史上初の生放送アニメ『みならいディーバ』製作総指揮。2冊目の著書『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)が発売3ヶ月で累計12万部(電子書籍を含む)を越えるベストセラーに。マンガ、アニメ、アイドル、落語など多彩なジャンルに精通しており、年間数十本のアニメイベントの司会を担当中。ラジオ、イベントを通して、年間数百人の声優・アニメクリエイターにインタビューしたり、アニメソングのDJイベントを自ら企画・主催したりしている、世界で一番幸せなアニメファン。
アマゾン著書ページ http://www.amazon.co.jp/-/e/B0041LAHFW
Twitterアカウント @yoshidahisanori

 
■ 突出したラジオパーソナリティの能力

宇野:今日はよろしくお願いします。玲奈ちゃんのことを話すなら、相手はよっぴー以外にいないだろうということで。

吉田:でも、松井玲奈歴で言うと、宇野さんの方が長いですよね。

宇野:僕は最初に好きになったアイドルがAKBで、『マジすか学園』でいっぺんにハマったんです。『マジすか学園』ってストーリー的には完全にヤンキー漫画のパロディで、今にして思うと、当時のAKBの比喩になっているような、気の利いたあてがきをしていたんだけど、そういうことは素人はわからないんですよ。ただ、演技は素人の女の子たちがものすごくマジでやってるのは伝わる。しょうもないドラマだけど、それを信じられなくらいみんな本気でやっていて、ドラマというよりはむしろドキュメント的な魅力に掴まれてしまった。ああ、アイドルってこれが魅力なんだなってはじめて気づいた感じで。

その中で一番いいと思ったのが、松井玲奈のゲキカラの回だったんですね。あんな化学反応が起きるとは誰も予測してなかった。アイドルってああいう奇跡が起きるんだってことに僕は衝撃を受けた。あれに僕は一発でやられて、当時編集していたPLANETSっていう雑誌の7号の表紙をお願いしたんです。撮影は恵比寿のマジックルームっていう、今はなくなっちゃったんですが、若いアーティストたちが、色んなドローイングをしているアートスペースで、特に二次元のキャラクターをモチーフにした作品が多かった。彼女はアニメが好きだから、二次元のキャラクターたちと三次元の松井玲奈っていう対比で撮ってもらって。だから、僕のアイドル入門は松井玲奈だったんだよね。

吉田:僕はアイドル自体はもう20年追っかけてるんですけど、AKBを見たのは、2005年の始まった直後にライブで番組を告知をするって話があって、そのときに秋葉原のドンキホーテで観たのが最初なんですが、ほとんど印象に残ってないんですよね。
それから5年くらい経った2010年に、渋谷公会堂で「アイドルユニットサマーフェスティバル2010」というイベントの司会の仕事があって、bump.y、スマイレージ、SKE48、ももいろクローバーが出演したんですよね。ちなみに、当時のももクロは、「スマイレージだー!」ってはしゃいで写真撮って喜んでるような状態でしたね。たった5年でこんなにも変わるもんなんだなって、色んなことを考えさせられますが。

そのイベントでは、出演4グループのパフォーマンス的にはももクロとスマイレージの一騎打ちに近い状態でした。その時点でも松井珠理奈と松井玲奈って子がいるんだ、くらいの認識でしかなかった。

で、次はもう「ミューコミ+プラス」の月曜のアシスタントで来るって話になってて、その時は『マジすか学園』も何も、ほぼ見てないという状態。「まあ、普通に受け止めてみようか」っていうところがファーストコンタクトですよ。で、そこからはもうひたすら「すげぇなぁ」のオンパレードっていう。

今までラジオパーソナリティとして、色んな人と一緒に仕事をしてきたけど、その中でも1位2位クラスの実力がある。ラジオパーソナリティで重要なポイントは2つあって、1つはものを良く知っていること。これはダントツに重要。もう1つが、これはエモーショナルな部分ですが、イージーに泣かない。これが長く活躍する人が備えている条件なんですよ。そういう意味で言うと、20代でこの両方を満たしている人って、男女共にほとんどいない。30代40代でも少ないくらいで、彼女がまだ24歳ってことを考えると、驚きのスペックですよ。

宇野:単に上手いんじゃないんですよね。なんだろうね。ラジオならではの距離感をつかんでる感じ。AKBのオールナイトニッポンって裏番組が強いせいで、担当ディレクターからよく意見を求められるんですよね。以前僕が提案したのは、パーソナリティを一人にして、そこにゲストが来る方式にしないと駄目だと。そして、今のメンバーでそれに耐えうるのは指原と松井玲奈しかいない。つまり、「指原莉乃のオールナイトニッポン」もしくは「松井玲奈のオールナイトニッポン」以外ありえないって言ったんですよね。だから卒業発表の時のオールナイトで、玲奈さんの一人語りだけで2時間が実現したときは複雑な心境だった。やっとこれが聴けた、と思ったら卒業(笑)。もちろん、松井玲奈とラジオの関係は続くわけだけど……。

吉田:これはラジオの不思議なところなんですが、覚悟が決まっている人じゃないと聞いてて面白くないんですよ。ラジオに出ること自体は覚悟がいることでもなんでもないんですけど、その人が最終的に追い詰められたとき、こうやって生きていくと決めてます、みたいな感じが出ているか、そういう腹のくくり方が見えてしまうんですね。


■「ドルオタなアイドル」の第一世代として

宇野:実は僕がアイドルのファンになりたての頃に、なんとかしてアイドルを語るロジックを自分の中に構築しようと思って、現代的なアイドルに必要な三要素みたいな感じで三角形を書いていたことがあるんですよね。

ひとつは、自分はこういうキャラクターだ、と自分から演じる女優的な能力で、もうひとつが逆に自分では自覚していないキャラを発見されて、それを打ち返していく能力。これがアイドル的な能力の核だと思う。そして三つ目がファンとの接触の能力、要するに握手会やSNSを通じて関係性を構築する能力ですね。松井玲奈はこの三要素をすべてを兼ね備えてる、ゆえに神である。みたいなロジックを考えていて。だから「松井玲奈こそ完璧なアイドルである」みたいな論陣を強く主張していた記憶がありますね。

吉田:彼女について、「孤高」とも言われてるじゃないですか。人見知りで、他のメンバーとも積極的にコミュニケーションしないと。でも、うちの番組に来ると延々しゃべって帰るので、そういう姿を見たことがないんですよね。だから、SKEのドキュメンタリーを見た時にビックリしたんですよ。あまりにイメージと違って。世間のSKEファンが見ているのはこっちの姿なのかと。乃木坂やSKEを観に行くと、全然違うなと思いますもん。うちの番組では笑ってるイメージしかない。多分すごく珍しいんでしょうね。

宇野:僕も何回か個別握手会に行ったことがあるんですけど、あれはかなり無理をして、自分の能力をフル活用しながら神対応やってるんじゃないかって思ったことが何度かあった。SKEって握手会はくらいついていくものって文化があると思うんですけど、松井玲奈は頭をフル回転させて話題を補うタイプの握手なんですよね。1枚10秒のサッと流れるような握手に、なんとか話題が途切れないように自分から言葉を足していく。こんなことやっててどこかで擦り切れないのかなって思っていたら、本当につまづくことなく昇りつめて行った。だからこういうこというのもなんだけど、松井玲奈って、僕が推し始めた頃よりもすごく成長してる。

吉田:自身がアイドルオタクで、デビュー前から自分は芸能界に入るものだと思っていたっていう話をよくしますよね。だから、自分がやってることに対してビックリしてないんですよね。アイドルとはこういうものであり、こういう風になるためにはこうっていうルートを辿るってことが、なんとなくわかってる。

宇野:松井玲奈って、オーディション受ける前からAKBが好きで入ってきた最初の世代で、その中で最初にトップクラスの超選抜に入った。ユーザー側から出てきたアイドルなんですよね。僕らオタクの分身としてのアイドルっていうのは、今やアイドルのキャラとしては鉄板になってるけど、それを最も大きい舞台で、しかもかなり早い時期に実践した先駆者だと思うんですよね。

吉田:この間、中川翔子さんがゲストに来てたんだけど、玲奈ちゃんがえらい緊張してテンションあがってたんですよね。「中川さんを見て芸能界に入ろうと思った」って話を本人にしてたんですが、彼女はこういう話を絶対に安売りしない。本当に中川翔子にあこがれて芸能界入りして、その事実を具体的に説明できる。そういうところに誤魔化しがないというか、アイドルが全方位から検証される存在であることが身に染みてわかってるんですね。やっぱり覚悟のあるアイドルなんだと思いますよ。


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