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僕らの石岡さんがついに
メルマガでも不定期連載を開始!
「石岡良治の視覚文化「超」講義外伝」
vol.1
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2015.3.20 vol.286
PLANETSチャンネルで毎月1回放送中のニコ生番組「最強☆自宅警備塾」でおなじみ、批評家の石岡良治さんによる不定期連載が始まります! 「紀伊國屋じんぶん大賞2015」2位にも選ばれ昨年の話題の書となった石岡さんの『視覚文化「超」講義』。300ページ強の本のなかに入りきらなかった内容や、本書のコンセプトを講義形式で解説していきます。
※本連載は、PLANETSチャンネルニコ生「石岡良治の『視覚文化「超」講義』刊行記念講義」(第1回放送日:2014年7月9日)の内容に加筆・修正を加えたものです。
■ はじめに
自宅警備塾を放送している石岡良治です。今日は発売されたばかりの『視覚文化「超」講義』を取り上げて、月一で連続講義を行っていきます。まだ一回目ということで試行錯誤をしながら、(ニコ生の)コメントで皆さんのリクエストも聞いていきたいと思います。
早速、講義を始めていきたいと思います。
まず、購入していただいた皆様、ありがとうございます。また興味を持っていただいた方、購入の検討よろしくお願いします。
通常、自宅警備塾が毎月後半の水曜日に行われていますが、隔週で連続講義を行います。
■ 本書の趣旨
本書の主旨に関してなんですが、この本が出ているフィルムアート社ホームページの『視覚文化「超」講義』のページに
YouTubeの動画があります。そこでは、この本についてのショート・ヴァージョンとロング・ヴァージョンの本書ポイント解説動画が上がっています。動画をフル画面でも観ていいのですが、このフィルムアート社のページと2窓で観ていただければと考えています。この本についてはいろいろなところで語っているのでお分りいただいていると思いますが、3つ4つのウインドウを複窓で観たり、人によってはマルチモニターで観たり、よくあるのはスマホと、テレビもしくはパソコンの画面を観るなど、今現在ニコ生を視聴するとき、複数のウインドウを同時に観る経験がよくあると思います。なので、フィルムアート社のページとこのニコ生を同時に観るということに挑戦していただきたい。
今日は「はじめに」の前書きの部分と「あとがき」を取り上げます。この2つで本書の成り立ちについて解説しているので、ここを詳しく解説します。あとは本書に載せることのできなかったこぼれ話を織り交ぜながら解説していきたいと思います。
本書はタイトルの通りなんですが、「視覚文化」について主にポピュラー文化を対象にして5つの視点から語る講義です。第1回から第5回までのレクチャーが載っていまして、分量として一番長いのは第5回で74ページあります。
具体的な内容や構成については最後に語ります。
主にポピュラー文化を取り扱うと本書で書きましたが、個人的には「ポピュラー」と「ハイアート」の枠組みをできるかぎり取っ払いたいと思っています。
実は仮タイトルでは「教科書」と書いていたのですが、教科書的な雰囲気を減らしたかった。最初期、「教える」とか「入門」のようなことを書いていたのですが、個人的には本書に入門という意識はないです。
具体的に、本書の舞台を「消費社会」と設定してみました。その起点は1950年代のアメリカとしています。
「人類文明と視覚という壮大なものを期待していたら、映画以降の話なんですね」という読者からの感想があったのですが、実は少しだけ壮大な話を示唆はしています。第5回での「イメージについての人類学的な研究」の話をしたり、実はレクチャー1回につきハンドアウト1枚を制作しています。このハンドアウト一枚を一回分として、その収録時間に90〜120分を想定していたのですが、「あとがき」にも書いているように、一番長い収録で5時間を超えてしまいました。それゆえに書籍化する際にかなり刈り込んでいます。第5回は74ページあるのですが、当初は75ページ×7回を想定していました。でもそれだと500ページを超えてしまいます。そこで、収録したものを削ったり、再構成して入れ替えたり、再収録して加えたりして、その際に編集の方にお世話になりました。このような紆余曲折があり、本書は刊行されました。また、例えばメロドラマやPVを扱ったチャプターでは、既存の本や論文をかなり参考にしています。注意書きにも書いているので是非ともご覧ください。参照した本を読んでいただくと、取り上げた作品の内容のあらすじや解説が多いことに気づくと思います。そういう意味で私の語っている事柄は、完全に独創性のある主張はしていません。しかし、消費社会以降の現代に至るまでのカルチャーのうち「視覚的イメージ」または「視覚的表象」を含むものを想定してみて集めてみました。
主旨としては今言ったように、映画論の歴史などの体系的な密度よりは、時代と対象領域の広がりを重視しています。
そのため話が断片的であったり、飛び飛びだったりします。ゆえに内容が濃いと思っていらっしゃる方の予想と異なるかもしれません。
あと、議論が枝葉末節に入り込んでいるかもしれません。これはぶっちゃけて言うのならば、「ヌルい」「浅い」と思われるおそれです。現にフィルムアート社ホームページでのロング・ヴァージョンの動画で「この書籍は大学生の私が超disりそう」と自分から言っていますね。この本の「ヌルさ」や「浅さ」についてはあとで簡単に説明していきます。
ポイントとしては「分野の横断性の意識」、これが一番大きいです。フィルムアート社のホームページと2窓にしていただいていると思うのですが、その状態について考えたいということなんです。
コンセプトがわかりにくいかもしれないというコメントがありましたが、「視覚文化論」的なものを想定しています。
まえがきにも書きましたが、すごく大雑把に言うならば、基本的に文学理論として展開されていた「批評理論」という流れに、「ポピュラー文化」が加わることで割となんでも語れるという雰囲気が生まれました。ただ、人によってはそれでは雑であると考えたり、ポストモダンというだけで怒る人もいます。このように必ずしも万人に受け入れられる基準であるとは言えない。また、各自、得意不得意な分野がありますよね。私は大学時代、ジル・ドゥルーズやミシェル・フーコーに興味があったので哲学科にはいづらく、フランス文学科にいました。音楽については、高校から大学生時代、いわゆる洋楽好きでした。けれどもとりあえず文学と音楽は「視覚文化」からは外してみる。そういうイメージでぼんやりと考えてみてください。
しかし、例外も多いです。映画を考察するときに映画音楽は避けて通れないですね。それに第3回の後半では「PV」の話をしています。いくつか文学の話もしています。例えばステファヌ・マラルメの詩ですね。私はマラルメの詩をガチで読みこめるほどの語学力はないのですが、好きでした。
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