本当に"意識が高くなければ
生き残れない"のか?
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20代のための"キャリアとお金"の
ぶっちゃけ話 現場レポート
ぶっちゃけ話 現場レポート
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2014.4.09 vol.048
去る3月31日、多くの企業が入社式を控える中で行われたPLANETSならではの働き方についてのイベント。ワークライフ・バランス代表の小室淑恵さんから詩人の水無田気流さんまで多様な登壇者を迎えて、皆様の仕事にまつわる悩み相談に回答していきました。
本イベントは4月1日(月)、東京・芝浦の「SHIBAURA HOUSE」にて開催されました。現在若者を取り巻く労働の状況は、問題が山積みです。元エリートサラリーマン、起業家、研究者、人材コンサルタントから元ハゲタカ(?)まで、様々なバックグラウンドを持つ登壇者に、参加者のみなさんからキャリアや子育てについてのリアルな質問が寄せられました。この記事では、2時間に及ぶイベントから、登壇者のみなさんの解答をピックアップしてお届けします。
◎文:池田明季哉
当日の動画はこちらから。
まず最初に宇野常寛から、このイベントの趣旨が説明されました。
宇野「ここ2年ほど、ノマドブームや新卒一括採用批判が盛り上がっていましたが、僕は「こういう議論に参加していた若者たちが本当に知りたかったのは、本当にそういうことなのだろうか?」とずっと疑問に思っていたんです。こうした議論が気になってしまう人に、本当に必要な言葉はほかにあるんじゃないか、という思いがずっと拭えなかった。だからひととおり議論が出揃った今、いろんな立場のいろんな経歴の人を集めて、若い人たちの質問にひたすら答えていきたいと思っています」
続いて登壇者のみなさんが、個性的なこれまでのキャリアや、現在のライフスタイルを通じての自己紹介をしてくれました。イベントでは事前に来場者やニコ生視聴者のみなさんから質問を募集しており、その質問に対するアンサーから議論を深めていきました。
■【質問1】
会社員(男性 27歳)
「安定しているけれどつまらない仕事を続けるか、不安定だけれどやりがいがあるNPOのような仕事に行くか、なかなか決断できない」
南「まあ、面白いと思ったら本気になれるし疲れないし、面白い方に行ったらいいんじゃないの? というのが僕の基本スタンスですね。人間、精神的に辛いのが一番きついですから。僕はその上で、なんとかお金をやりくりできる方法を考える、という順番でいつも考えていまね。例えばNPOをやっていたときは、お金が厳しいことはわかっていたので、土日だけでもたくさんの人数を集めようということをやって、その経験が起業に繋がっていきましたから」
秋山「おそらくこの相談者さんが勤めているのは、すごく大きい会社なんじゃないかと思うんです。で、最初はベンチャーをやってる人の方が元気なんですけど、50歳くらいになると、立派な会社の立派な仕事してるやつって、結構立派になってくるんですよ(笑)。「ポジションが人を育てる」というのは本当にあるんですよね。超大企業って、けっこう捨てたもんじゃないので、無理して辞める必要はないんじゃないかな」
小室「私、プレゼンテーション講座のボランティアをやってるんですけど、本当にこういう質問をしてくる学生が多いですね。共通しているのは、完全にその会社の仕事一色になっている、ということ。私が「辞める前に一回試してごらん」と勧めているのは、とにかく今所属している会社の仕事は6時になったら上がって、本当にやりたいと思うことを6時以降に毎日やってみるということなんです。一回「辞めよう」という気持ちになったら、会社のなかでの評価も気にならないから、残業も断れるんですよ。それで一旦ボランティアで1年くらい関わればスキルもつくし、本当に欲しい人材だと思われたら声がかかるし、本当に好きなら続くんです。だから、それからでも辞めるのは遅くないよ、と言っています。それで6時に帰るようになると、その会社の仕事が、嫌いじゃなくなる人がすごく多い。そればっかりやるから嫌いになってしまうんです。だからどっちに対してもフルに時間を使えない飢餓感のようななものを持ち続けるのがコツなんだよ、という話はいつもしています」
■【質問2】
出版社営業マン(男性 25歳)
「スーパーブラック企業に就職してしまいました。①私が一番得な辞め方はどんな辞め方でしょうか? ②働く先に待っている「辞める」ということについてはみなさんどうお考えでしょうか? ③中途、あるいは第二新卒の採用に当たって、職歴が短いのはどの程度マイナスになってしまうのでしょうか?」
宇野「これは明日失踪ですね(笑)。出社しない、電話も出ない。もう得られるものはないので明日失踪してください」
南「いちばん大事なアセットって時間だと思うので、できるだけクイックに辞めた方がいいです。世の中には成功と学びしかなくて、失敗は学びなので、「こういう会社はダメだな」ということをサッと学んで次に行った方がいいですね。採用する側の立場からいうと、生き方とか選んできたものが一貫していればいいだけの話なんで、1社目がたまたま短くてもぜんぜん関係ないです」
小室「私が採用するときに、前職がブラック起業だったのでそこから抜け出てきたかったんです、っていう子は不採用なんです。それは自分が逃げたいだけだし、しかも解決できてない。そこで、何を学んでどうしていったのかということが大事です」
■【質問3】
大学院生(男性 21歳)
「研究職に行きたいんだけれども、学閥やヒエラルキーのようなもので気後れしてしまいます。学歴ロンダリングってどうなんでしょう?」
竹内「私は経済学者なので経済学の場合で言うと、数学上の定理があって、仮説が証明できたら学歴は関係ないです。それでノーベル経済学賞取ったりということも、本当にあります。でも、工学系や実験系はマジで体育会系のところがありますね。結局ピラミッド構造なので、上に教授がいて、自分がそこに行きたいんだったら、ピックアップしてもらうしかないわけなんですよ。だから気後れしてる場合じゃないですね。好きなら絶対になんとかなります。もちろん能力があればいけるし、能力がなければいけないという厳しい現実は待っていますが」
■【質問4】
会社員(女性 29歳)
「考えれば考えるほど、夫婦共働きなら子供を作らない方が得なように思います。女性が働きながら子供を作るのはクソゲーだと思うんですが、お子さんをお持ちの方は、どうして子供を作ろうと思ったんでしょうか? 子供を産んでみて良かった点があったら教えてください」
ここで「子供を作るのはクソゲー」という言葉を受けて、水無田さんの準備していたプレゼンテーションが炸裂、会場を大いに湧かせました。なぜ女性が働くことは困難なのか? ということをクソゲーに例えてわかりやすく解説。ここではダイジェストでお送りいたしますが、その熱いプレゼンテーションの全容は、ぜひとも動画でご確認ください。
水無田「クソゲーとは「誰も勝てない=幸せにしないゲーム」であると言えますが、女性が働くこと自体がクソゲー化しているんですね。どうしてクソゲーかというと、
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