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第19回 RPGの国産化とキャラクターアクションとの結合

 一方、AVGに続く物語体験型のゲームであるRPGに関しても、やはり日本的な文脈における独自化が始まっていた。最初期の国産RPGとして登場したのが、『ザ・ブラックオニキス』(BPS 1984年)や『夢幻の心臓』(クリスタルソフト 1984年)といった、『ウィザードリィ』『ウルティマ』の二大シリーズのシステムを折衷させたような作品である。
 コンピューターRPGという未知のゲームを日本人にプレイさせるにあたり、前者では、完全に主観視点で迷宮(ダンジョン)を探索する方式だった『ウィザードリィ』型のシステムを基本としつつも、画面内に『ウルティマ』のようにプレイヤーキャラクターと敵モンスターのシンボルをそれぞれ全員分描画する区画を設け、さらに敵味方の体力値を数直線化して示すなどの可視化を施すことで、プレイヤーのイメージを補助する要素が加えられた。後者については、画面内に『ウルティマ』型の見下ろし視点でのフィールド移動を行う区画を設けつつ、ランダムで起こる敵との戦闘場面は『ウィザードリィ』のようにメイン画面に敵のグラフィックを描画しながらテキスト区画上でコマンド選択式の戦闘を表現するというスタイルが採られた。