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今週の映画批評:『007 スカイフォール』

2013/01/18 13:38 投稿

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【クロスレビュー】今週の映画批評

毎週1本、公開中の映画を選び、
3人の映画評論家(+場合によっては宇野)が10点満点で採点!
週末の鑑賞ガイドにお役立て下さい。

【今週の映画】
サム・メンデス監督 『007 スカイフォール』
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「007」シリーズ第23作。『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』に続きダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる。各国のテロ組織に潜入している工作員を記録したMI6のハードディスクが何者かに奪われ、ボンドは犯人を追いつめるが、MI6の長官Mの命令で放たれた銃弾に撃たれ、橋の上から谷底へと落ちていく。Mはリストが奪われた責任を追及され辞職を迫られるが、これを拒否。しかしその直後、リストを奪った犯人によりMI6のオフィスが爆破され、さらなる犠牲者を出してしまう。このニュースを見たボンドは再びMのもとへ舞い戻り、現場へ復帰。犯人の手がかりを求めて上海へと渡る。

脚本/ニール・パービス 監督/サム・メンデス 製作/マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
出演/ダニエル・クレイグ、ジュディ・デンチ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、ベレニス・マーロウ
配給/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 公開日/12月1日


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☆☆☆☆☆  批評性の高い大力作だが、少しマジメすぎ?
☆☆
【森直人:7点】
シリーズ50周年記念作のうえ、ロンドンオリンピックイヤーの公開作であることも意識してか、気合の入り方は歴代でも最高値だろう。監督にサム・メンデス、主題歌にアデルなど、ほとんどイギリスの国家事業のような最強カードの揃え方。結果、ここまで監督の作家性が前面化した『007』は初めて。メンデスとダニエル・クレイグが前に組んだ『ロード・トゥ・パーディション』に近い。物語も、すっかりヴィンテージモデルと化したジェームズ・ボンドのスタイルを再検討するもので、非常に批評的が高い。とはいえ、『007』からここまで持ち前のチャラさが失われると、「しんどい」と感じる人も多いのでは?

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☆☆☆☆☆  昨年公開のアクション映画では随一
☆☆☆
【松谷創一郎:8点】
2012年公開のアクション映画では、もっとも面白い。冒頭の追跡劇から最後の籠城劇まで、飽きさせるところがまったくない。さらにスタイリッシュな映像美も満載。シルエットで描かれる戦闘には惚れ惚れする。こうした趣向は、もしかしたら既存の007ファンにとっては不満かもしれない。が、この水準でシリーズを塗り替えたという点で大成功と言える。若干弱いのはボンドガールと敵役の設定だが、演出が見事すぎてほとんど気にならない。

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☆☆☆☆☆  期待は裏切らない優等生
☆☆
【那須千里:7点】
歴代のボンドを見ればその時代に求められている男性像および世相がわかる。クレイグのボンドはとにかく任務に忠実で真面目。女遊びも下手。ダンディで軽妙なボンドを望む世代には退屈かもしれないが、今は憧れの対象よりも等身大に共感できる実直さが必要なのだ。これまたインテリの監督メンデスは過去のボンドシリーズで常識化されていた“お約束”にあらためて伏線を張って回収し、欠けていたパズルのピースを一つ一つはめて完結させる鉄壁の仕事ぶり。冒険よりも期待を裏切らないことの重要性は興収が証明している。


▼公開中!『007  スカイフォール』公式サイト
http://www.skyfall.jp


▼執筆者プロフィール
森直人
1971年生まれ。映画評論家、ライター。
著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)など。
http://morinao.blog.so-net.ne.jp

松谷創一郎
1974年生まれ。ライター、リサーチャー。
著書に『ギャルと不思議ちゃん論  女の子たちの三十年戦争』(原書房)など。
http://d.hatena.ne.jp/TRiCKFiSH
https://twitter.com/TRiCKPuSH

那須千里
映画文筆業。
「クイック・ジャパン」(太田出版)、「キネマ旬報」等の雑誌にて執筆。



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