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第5回  レスがほしくなる

青春ガールズ公演を見るのは至福の楽しみだった。自分でも香菜推しになったと自覚し、さらに数回公演に入っていると見えてくることがあった。個性豊かで、かついつも見かけるファンというのはたくさんいたが、そういう人はファン目線からも「あの人は○○推し、あの人は○○推し」、といったことが明確に分かってくるのだ。すると必然的に、メンバー側からも「その人が誰のファンか」ということは理解されているだろうということは容易に想像された。つまりは認知されているという状態である。それくらい狭い空間だったのだ。舞台に立っているアイドルが、客席にいるファンのことを認識している。これはすごいことだと思った。メンバー、つまりは小林香菜にぼくが認知されるなどということはまだ考えられなかったが、とある欲求が湧き出てくるのである。ぼくも小林香菜に対して、自分がファンであるということを認識してもらいたい。【※1】そしてそのためにも第一段階として、何らかのアクションを起こして反応を引き出す、つまりはレスをもらいたいと思い始めたのだ。

レスとは、推しメンやあるいはどのメンバーでも良いのだが、自分に対して何かしらのアクション(レスポンス)をくれるということだ。目線を合わせて微笑むものから、ダンスの振り付けの流れでビシッと指を指す「指差し」や、おもに「AKB48」という楽曲の「♪明日も見に来るでしょ?必ず~」のところで人差し指を指してクルクルまわす「ybkr(ゆびくる)」など様々なパターンがあった。もしそれが自分に向けられていたら、しかも推しメンからのものであれば・・それは言葉がなくても確実にコミュニケーションが成立する至福の瞬間【※2】だ。

しかし「レス」というのはまた、「脳内(=勘違い)」という言葉と常にセットにされる、危ういものだった。