本日のメルマガは、批評家・福嶋亮大さんの連載「世界文学のアーキテクチャ」をお届けします。一八世紀、初期グローバリゼーションによって生じた「他者とのつながり」に文学作品はどう向き合ったのか、『ロビンソン・クルーソー』を象徴的な作品として分析します。
前編はこちら。
福嶋亮大 世界文学のアーキテクチャ
6、アジアの帝国から未知の新世界へ
われわれはふつう、文学の世界認識は狭小な段階から徐々に拡大していったと漠然と思い込んでいる。しかし、ヨーロッパ文学の歩みは決してそういうものではない。繰り返せば、古代ギリシアのアイスキュロスからして、すでに東方のペルシア帝国とのコンタクトを劇の中枢に据えていた。前章で述べたように、「今・ここ」を超越して、他者に憑依するガリレイ的言語意識も、ヘロドトスの『歴史』をはじめギリシア人の世界認識に早くも出現していた。
標語的に言えば、ヨーロッパ文学史とは他者を探
標語的に言えば、ヨーロッパ文学史とは他者を探
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